西尾:ご発言いただいていない方、東中野先生いかがでしょうか。中国問題をに携わっていたお立場から。往時の中国大陸の研究をなさっていて、今の中国はあんまり変わらないと思いますか・・・・
東中野:ちっとも変らないですね。結局腐敗と、汚職と、水滸伝の昔からそれですし、史記の昔からそれですし、皇帝専制が今は共産党独裁。今日のお話で驚きましたのは、農民の叛乱が20万件、しかしながら中央集権国家の軍事力というのは、月とスッポンですから、農民反乱は太刀討ち出来ない、近代軍隊に対しては。しかしながら、常にどの時代も農民反乱で、社会が大混乱に陥り、農民反乱のリーダーが二回も皇帝になり、これからまた同じような近代版の、21世紀版のそういった社会変動というのが、中国を襲うのかなぁと。
しばらく小康状態が続いても、ネタはつきないわけでしょ。ぜんぜんネタはつきない。原因はぜんぜん消えていないわけです。金融問題だ、水問題だ、そして農民の不払い問題だ、すべてがそろっている。中国に向かって、アメリカは選挙をやってくれといいましたよね。中国のリーダーが農民は字が読めないんだ、字が読めないから選挙は出来ないんだと言ったら、アメリカはいや、インドネシア方式でちゃんと書いたものを配って、丸をつけさせたらいいじゃないかと、そこまで言ったんです。
結局私たち日本にとって、非常に大きな不安というのは、常に中国人民の感情を傷付けたといわれますけれど、世論のない、言論の自由のない国ですから、大きな問題はそこにありまして、中国が民主化するということ。選挙をやって、そして自分達のリーダーを選ぶという、民主化するということがはたして可能か、そこが非常に大きな問題だろうと思います。そういう意味で、海外のメディアの反応として、21世紀の問題はもう日本問題じゃないんだ、中国問題だと、言っている。私はそうだろうと思いました。
その意味では1930年代に、中国国民党が世界の問題は日本だと日本を問題視して言いましたが、それが20世紀まで続いて来て、21世紀に入ってようやく世界が日本を見る目を変えてきた。そしてアジアの問題は中国問題だと、こういう所に到達したところが、私としては非常に嬉しいと思います。
あわせて、今度は日本がどういう政策を取るのか。相変わらずアメリカとは足して2で割った政策を行っている。したがって台湾問題に関してはアメリカと妥協する。今度は北京に対しても、足して2で割った対応を取るのか。「すみませんでした、私がいたりませんでした、どうかよりを戻してください」こういった、足して2で割る発想で外交を行っていて、それでいいのか。日本人が南京の問題で今までこれだけもめてるというのは、あの時にきちんとした記録を政府が残さなかったからなんだと思います。
今回のバンドンの問題でも、政府はきちっとした記録を残してほしい。私たちはこういう発言をしたということを記録に残してもらいたい。やはり言葉だけでもいいので、先ほど西尾先生がおっしゃられたように、謝罪はする、しかしこれまで何度謝罪をしました、これが最後でございますと。そういう形で記録をきちっと残していかないと、50年たったときに、2005年のバンドン会議を歴史家が研究する時に、研究する資料がなくなるわけですね。政府がそういうものを用意してくれないと困る。
70年代の南京はそういう、資料を政府が用意していないから、ものすごく今苦労しているわけです。あまつさえ、敗戦の時に全部焼きましたから、日本陸軍、海軍は、とんでもないことをやっているわけですよ。あれが残っていれば非常に楽なわけです。私たちは外交交渉というのは、二国間交渉であると同時に、その二国間交渉を世界に向けて発信するというような、発想をしなければいけない。
合わせて、二国間交渉というのは50年後の日本民族に対して我々はこういうことをしたんだという記録を残す、そういう形でやってほしいなと思うのですが、ところが依然として村社会の発想で、足して2で割ることをいろいろなところでやっている。そういう気持ちで聞いておりました。
宮崎:一点だけね、今の中国の人民解放軍というのは、あれは国家の軍ではないんですよ。共産党に従属するもので、そういう意味ではプライベートアーミーなんです。それで第二軍、つまり人民武装警察、これが国に依存しているんです。そうしますと、近代国家の中央軍というのは、今の人民武装警察、これは機動隊の役目しかないんですが、ややとって代わりつつあるんです。そうすると、これからどうなるか。プライベートアーミーと、国家に属する軍隊というのがこうなる可能性がありますよ。人民解放軍はまた人数を減らすと言っていますから、240万今度、200万人になるのかな。
東中野:減らされた人民解放軍というのは、また私兵化するんでしょ?中国大陸では。
宮崎:それが皆盗賊をやるんですがね、それが危ないので、第二軍にいれているわけですよ。放っておいたら、この4月10日に北京でデモがあったように、やるんですよ。退役軍人は、暴動予備軍ですから、職がないしね。軍人恩給というものは
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東中野:退役軍人のデモがあったんですね。