九段下会議の歩みと展望 (四)

 お知らせ

《シンポジウム》
サマーコンファレンス2005道徳力創造セミナー
7月23日(土)本日!15時30分~18時
名古屋国際会議場(名古屋市熱田区西町1-1、Tel 052-583-7711)
基調講演: 西尾幹二
パネリスト: 兼松秀行、陰山英男、水野彌一
参加費: 入場無料  
主 催: 日本青年会議所
代表連絡先: Tel 090-8991-7123(宮崎修)

九段下会議の歩みと展望 (四)

 アメリカの企業を相次いで買収している中国企業はすべて国営企業か政府の一部門によって設立された企業であって、資本主義の原理で動いているわけではありません。それでも技術獲得には、熱心で、やがて日本の超優良企業をターゲットに敵対的M&Aを仕掛けてくる日もそう遠くはないでしょう。

 どうしてそういうことが可能かということを考える必要があります。ある本によると、中国は三つの手段でこの巨大資本主義的国営企業と最貧層の賃金の安い労働力との併用をコントロールしている。つまり、もちろんこれは共産主義国家であり続けているということが前提で、そして、それが古代専制国家とどこか繋がっているということ、昔の古代のですね、それが中国の持っている現段階の少なくとも強みであるということでありますが、その源泉の一つは戸籍制度であります。

 農民の戸籍制度と都市の住民の戸籍制度で人間を二つに分類してしまって、身分秩序というよりも、都市戸籍を持つものにはなんでもかんでも優位を与える。農村出身の者は、徹底的に不利になる。そしてそれで農村から都市へ流民のように這い上がってくるものには、戸籍はないわけですから、ほとんど何の保証もないような、つまり低賃金、そして奴隷労働、ということが実行されている。何年間かだけ許可して、都市に置いてやるということもやっているようです。ある時期が過ぎると農村へ追い返しちゃう。また別の違う労働力を入れる、つまりチェンジするということ、取り替えるということで、それでいつも賃金は安く使える。幾らでも農村に余剰人口、余剰労働力があって、それを都市へ自由に移動させて、そして2、3年居たらまた戻してしまうということで、そういうことが強権体制で可能になっている。

 それからもう一つは清朝の時代から続いている人民支配の手段として、これは僕は加地伸行さんからもその話を聞いたことがあるのですが、トウアンというのがある。トウは木へんに当たり前の当をつけて档、われわれは使わない文字です。アンは名案、思案、案ずるの案なんですが、档案といい、記録ですね、その人の人事ファイル。生まれとか出生とかあるいは、経歴などみんな書きこまれたファイルで、全人民がそれを持っていて、警察が管理しているのかどうかなんでしょうがね、結局は。

 ですから、何か犯罪でなくても、政府に楯つくちょっとしたことをやっても、例えば上司に楯ついて文句を言ったとかいうと、もう記録されちゃうそうです。だから政府が許可しないデモに参加したというと、それだけで記録されてしまう。そういう人事ファイルを党が握っていて、これに下手なことが書かれると、一生が不幸になるので、それに変なことが書かれないようにするのが大切で、いったんそれに書かれたら諦めて、反逆する側に廻ったりするんでしょうが、まあ、とにかくそういう名札がある。清朝時代から続いているやり方だそうであります。なんでも政府が自由に出来るシステムのひとつ、管理の仕方のひとつだといいます。そして、それがあるために、巨大な資金が中国共産党政府の手で自由になる。

 もう一つ、三番目には私有、土地の私有が一切認められていない。だから、土地は完全に党の自由になるから、今奥地でですね、ものすごい農民暴動が起っている。ダムを作ると言えば、政府がそう考えれば農民を追い立てても文句が言えないと。文句を言えないというよりも、農民も生きていかなきゃならないんで、暴動になる。それをまた警察の力で弾圧する。その一部がこの間、インターネット界に露出したわけでありますけれど、あれ、僕はアメリカが流したんだろうと思います。そういう推理ももうインターネットに早いうちから 出ていましたけれども、アメリカが流したんであろうと。

 つまり、小泉擁護ですよね。小泉さんが靖国でいじめられているから、中国はひどい国だよということを、愚かな日本国民に教えてやろうというような、まあ、アメリカはいつでもそういうことをやるわけで、あんな情報はおそらくいっぱい持っているんだと思います、アメリカはね。それで、時たまぱっと播く、また出すだろうと思いますね。だから何時の出来事とかわからないですよね、あれは。何月何日、何処というのははっきりしないんですから。でも事実としてああいうことは、たくさん用意されているんだろうとは思いますけれども、宮崎さんのサイトにも、農民暴動はもの凄い数があるという話は、よく書かれていましたけれども、撮影している写真が無かったですね、今までは。

 まあ、そういうことが行われていて、とにかく資本の移動というのが無い国で、通貨が自由化されておりませんから、全くわれわれは、中国でもって得たお金を他の外国のお金に替えることが出来なかった。普通考えられないことがおこっているわけで、そういう不自由な、拘束された状態の中で、政府特権階級だけが、自由に出来る巨額のマネーの蓄えを可能にしている。だからこそ、航空母艦を作るとか、アメリカの大企業を買い取るとか、計画が次々と出てくる。

「九段下会議の歩みと展望 (四)」への1件のフィードバック

  1. 西尾先生

     先日はわざわざ名古屋までお越しいただき、本当に有り難うございました。
     初めてじかに先生のお話を伺える機会に恵まれ、非常な喜びを感じております。
     先生のお話の中では特に日本の身の回りの美感を道徳とする考えは、実は大変怖ろしいことであること、「不定の神」の話、最近の子供が実は「キレる」という自覚すら持っておらず、手加減することもわからないということ、実験結果を改竄する学生の話、そして、何よりも「個性化・自由化・国際化」などの「通念」を疑わねばならぬということなどがつよく印象に残りました。
     これからも、先生のお考えを手がかりとして拳拳服膺しながら、この国の道徳力のあり方について考えてまいりたいと思います。

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