次の写真は澤コレクションの所蔵現場である。
約15000点に及ぶ一私人による蒐集と所蔵は、それ自体が偉大な仕事で、強い意志と情熱なくしては果し得ない業績である。
蒐集には日夜古書店その他の渉猟、保存には夏に湿気を防ぎ、冬は乾燥を恐れ、言葉に尽くせぬご苦労らしい。
今は全冊門外不出である。紙の摩滅と造本の解体が恐れられるからである。しかし永久保存と国民的利用という相容れない要請が迫ってもいる。
澤コレクションは日本が日本人の心を取り戻し、真に甦るための量り知れないパワーを与えてくれる国民的財産である。
PDFその他による科学的方法での永久保存と万人への開放とを同時に行うような政策が求められている。そのために必要なのは資金であり、かつ広範囲の各層の関心と声援である。
これらの本の理解と評価によって、日本人は初めて8月15日の、占領軍によって押しつけられた裂け目を埋めることができ、歴史の連続性を回復することができるのである。
焚書された7100冊はもとよりのこと、氏によってあらためて蒐められた周辺関連本の約10000冊がことのほかに重要である。たとえ国立国会図書館にそのうちの約7~8割が現存するとはいえ、われわれの日常の視界から消えてしまった本は存在しないに等しい。誰が図書館に通って古書の山を丹念に研究することができよう。
インターネットで自由に検索し、解読し、あの時代の日本人の心を再体験する人が少しづつ増えてくることが何よりも必要である。
澤氏はその切っ掛けを与えてくれた。日本人が日本人であるための魂の蘇生に戦後60年にして一番大きな仕事を果したのは澤氏であったということになるだろう。一層のご研鑽と蔵書の維持努力への尽きせぬご配慮を祈りたい。
戦中の文章に
「そういうことを予感して、いざというときの難を避けるための口実、弁明できる一言をどこかに挟んでおく――そういうことを誰ひとりやっていない」
こととの対比として
「保守系の文学者や思想家の発言のところどころに、いざというときの難を避けるための口実、革命派に媚を売る一言、あとで弁明できるような文言をこそっと入れている例をよく見掛けました」
ということを持ち出しておられますが、「我々には、今の状況が永遠に続く、という無意識の前程がある」というある方の指摘からしますと、占領中の占領政策に合致した言論に、
「この先占領政策という今の空気が消えた時に備えた、あとで弁明できるような文言をこそっと入れている例がない――そういうことを誰ひとりやっていない」
という指摘をしたほうが適切ではないでしょうか。
戦中の空気に抵触する言論には
「いざというときの難を避けるための口実、革命派に媚を売る一言、あとで弁明できるような文言をこそっと入れている例」が占領中なり反安保なりの空気に抵触する言論の
「革命派に媚を売る一言、あとで弁明できるような文言をこそっと入れている例」
と同じようにあるのではないでしょうか。
つまり戦中も占領中もそして今も日本人の発想と行動は変わっていない。
西尾様 初めてコメントさせてもらいます。
日録にて毎日勉強させてもらっております。
GHQを使い焚書させた者達の狙いは何であったのか。
私が聞いた話では、最重要書物として真っ先に処理したかったのは、四王天延孝中将が書かれた「ユダヤ思想と運動」であったそうです。私は昭和六十二年に復刻されたものを読みました。(現在は廃刊)
四王天中将が調査・研究されたユダヤ・フリーメーソン問題が詳述してあり、巻末に「シオンの議定書」が載っています。
この議定書を偽書だと言っている人たちがおりますけれど、ここに書かれてある計画どおり、世界いや日本においては進んでいるように見えます。これを読むと彼等がこの書を処分したかった理由がはっきりとわかります。広く知れ渡ると困ると真剣に考え焚書にした書籍は数少ないと私は思います。
はじめまして。
いつもblogを拝見しております。
今回の更新分は、カレンダー設定が7月29日付けに
なっているようですが、
当方、RSSリーダーを使用しているため、
常に全購読リスト中の最上位に来てしまいます。
お手数ですが、本文と同一の7月2日付け設定に
修正いただけるとありがたいです。
つくる会内紛問題はともかく、「GHQ焚書問題」と名づけられる問題は、貴重な問題提起だと思います。
まだまだ戦後の言語空間の枠組みの中からしか遠望することの出来ない、日本がまだ「自由」であったころの言語空間を再現し、批評する作業、これはもう大変な大事業であろうかと思います。
先ずは題名、著者、テーマ、概要、出版された年代などの目録を作成してアップして頂ければ、後学の研究者にとって便益であると存じます。
ゆくゆくは、出来ればデータベース化して、インターネット上で検索も含めて完全に活用できるようになれば、日本近代史の研究は飛躍的に向上するでしょうね。特定の「歴史認識」さえ持てば、「歴史事実」は不用だ、と言わんばかりの問題は雲散霧消するかも知れません。
これは一大事業です。大学など研究機関が予算をつぎ込まなければ実現は難しいかも知れませんね。
歴史家の仕事は、昔も今も、極めて地道な史料の検証作業なのですよね。文学者はそれを踏まえつつも、想像力で検証不可能な物語も創造していくことが出来るわけです。
歴史の研究と、文学者の活動領域は、大いに重なる部分と、踏み越えられない部分とがある、という風に思われます。
初めてコメントさせて頂きます。
http://www.pro-tech.co.jp/
この機械、相当古い本でも、ダメージを与えずに、しかも高速で取り込めるらしい話を聞いた事が有ります。購入、或いはレンタルに幾らかかるのか……必要な予算が判れば、資金も集めやすいのではないかと思います。
YOさん、はじめまして
その機械、2625万円です
で、アメリカのリテールが円換算で約1380万円、エクスポートってことで、ホールセールプライスにさせて約780万円です
で、780万円はFOBプライスなんで、それにフレート代と通関費、関税を考えると、かけることの1.35・・・約1053万円ってとこですか
ただし、日本に入ってからのインランドチャージ(国内輸送費)がバカ高そうですが
アメリカだったら、Kinko’sにあるんですけどね・・・
「図書館員の愛弟子」のroeです。未だにトラックバックができない独善的な設定を維持しているようですね。
こちらのブログに有益な情報を含む記事を書きましたので、URLを示しておきます。同じ記事中にこちらの二つの記事を参照しておりますので、同じコメントを残しておきます。
例によって、このブログが最低限の公器たる意義をもちうるのか、このコメントが反映されるかで判断させていただきます。
http://lomax.cocolog-nifty.com/apprentice/2006/09/_1_b9b6.html