GHQ焚書と皇室

足立誠之(あだちせいじ)
坦々塾会員、元東京銀行北京事務所長 元カナダ東京三菱銀行頭取

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 西尾幹ニ先生

 拝啓、過日坦々塾では超ご多忙の中,目の不自由な私のためあたたかいお心配りを賜り有難く厚く御礼申し上げます。

 今回の坦々塾での先生のお話は日本の将来を左右するものと考え以下拙論を申し上げます。

 10日のお話は短い時間でしたが、100年の歴史で最重要なものだと感じました。
 
 個人的な考えですが、大東亜戦争は、開戦以前、昭和16年12月8日から昭和20年20年8月15日まで、終戦以降今日にいたるまで、と三段階に分かれると考えます。大東亜戦争、日米戦争はこの第二段階であり日本は敗れますが、第三段階でも米国は兵器を変えた戦争を継続し、それは続いている。日本は戦争に敗れて更に徹底的に洗脳され日本人のidentityは破壊されつつあり日本は崩壊しつつあります。

 こうして第三次日米戦争は最終段階を迎えつつあります。GHQの検閲の実態を研究し「閉ざされた言語空間」で明らかにしました。第三次日米戦争の反撃のチャンスでしたが、十分な反撃の成果までにはいたらなかった。

 先生の「GHQ焚書」は第三次日米戦争に日本が勝利し、日本の歴史と国の形を維持することに成功する、それは第一次から第三次日米戦争を通じての勝利につながると考えます。
 
 ローマは二回のポエニ戦争に勝利したあとカルタゴを非軍事の国としましたが、それでも安心できずに第三次ポエニ戦争で徹底的に殲滅し僅かに残るカルタゴの土地には塩をまき不毛の土地にし、カルタゴは完全に抹殺されました。

 「GHQ焚書」は第三次日米戦争勝利の最後の武器となるものです。
 
 之に敗れれば日本人の精神は塩をまかれて不毛になったカルタゴの土地と同様になります。日本人を「ガラス箱の中の蟻」の状態にし続けたものは米国だけではないでしょう。中曽根康弘始め多くの自民党政治家までが第三次日米戦争では敵に回った。独ソ戦でソ連の最大の脅威はドイツ軍に加わったソ連軍捕虜だったそうです。政府、官僚機構を含めていたるところで「米国への投降兵」「シナへの投降兵」があらゆる汚い手を使い反撃してくるでしょう。

 [GHQ焚書]が世に知れ渡れば彼等の過去は否定されるからです。彼等に最も好ましいことは「GHQ焚書」が世の中から無視され、一部保守層に留まることです。それを排除していくことで国民に「GHQ焚書」を常識として浸透させることが第三次日米戦争での勝利、第一次から第三次までの日米戦争勝利に連なります。

 阿川弘之氏は「春の城」で日米戦争の開戦に「この戦争ならば体を捧げてよい」と思ったということを主人公(阿川氏自身)の言葉として記していますが、この第三次日米戦争に私も同じ気持ちです。「GHQ焚書」で負ければ本当に後はないでしょう。

 皇室問題、皇太子妃問題については弟にWiLLの5月6月号のお説と読者の感想を読んでもらいました。

 多くの国民は週刊誌などから伝えられる断片的な情報に何が本当の問題かは判らずに、ただ「何かおかしい」と感じていただけのことだったでしょう。

 先生の論文は国民に衝撃を与えました。この問題の本質が国のあり方に係わる深刻な問題であることを示され国民は粛然とした気持ちにおそわれたのではないでしょうか。敢えて発表された勇気に多くの人が感銘を受けたのだと思います。女帝・女系問題の際には多くの議論がありましたが、今回は右翼、左翼を含めてセキとして声なしの状態がそれを物語っています。

 この世の森羅万象は合理を越えたものでそれを狭い合理や言葉の中に封じることはできません。
 
 たとえとして適当かどうかはともかく音楽は最初に曲が生まれる。楽譜はそれを何とか記号で記録するものです。

 皇室の存在は文字や合理で説明でくるものではないのでありそこに価値があるのではないでしょうか。

 東アジアで日本だけが西欧に匹敵する文明を誇るにいたったのはここにあります。これも例として適切かどうか分かりませんが、日本は「人事を尽くして天命を待つ」という国体であったのではないでしょうか。その祈りを司ってこられたのが歴代天皇であると考えます。
 
 繰り返しますが、先生の論文の前に世の中は「シーン」となりました。日本が再生した場合、この論文はその魁となったものとして残ると存じます。

 退変乱暴な議論で恐縮ですが、引き続きご指導賜りたくお願い申し上げます。 

                    敬具   足立誠之拝     

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