九段下会議の考え方 (四)

2004年06月06日

*****「平成の革命勢力」を打ち砕く*****

八木: 今年、ベルリンの壁が崩壊して15年になります。当時、東西冷戦が終わって、西側が勝利した、左翼は今後いなくなると日本でも見られていました。しかし、気が付いてみたら周りは左翼だらけになっていた。政府や地方自治体から出てくる政策は左翼色の強いものばかり、政府も自治体も実は左翼に握られているのではないか、そう思わざるをえない状況に、ここ10年ぐらいの間になっているのではないかと思うのです。敢えて言えば冷戦崩壊後、左翼が体制派になってしまったという感がある。ところが、保守の側は相変わらず文字通り常に「守る」ばかりで、彼らが打ち出してくる政策に対し、常に軌道修正するという立場に甘んじてきた。

 九段下会議で論じたテーマも、決して新しいものではなく、本質的には以前から論じられてきたものばかりです。歴史教科書の問題も拉致の問題も、教育基本法やゆとり教育の問題あるいはジェンダーフリーや性教育の問題、靖国神社の問題に対中関係の問題等々・・・・・いずれも古いテーマです。しかし、そういう問題が一向に解決されないばかりか、逆に政府や地方自治体という権力の側がそれらを悪い方向にもっていくようになってきた。そこで、その原因を私たちなりに分析するとともに、現状を打破するための処方箋を提示したのです。

 保守がただ守りの側にあるだけでは、国家が衰退どころか崩壊の方向に向かってしまう。そういう強い危機感から、逆に政策提言に打って出たのです。従来の守勢の保守から、中西輝政さんが言う「押し返す保守」への転換をめざしたものが「国家解体阻止宣言」なのです。

 中でも重要なのは、これは『Voice』のサブタイトルとして入っているのですが、「平成の革命勢力を打ち砕け」という考え方です。あまり一般には認識されていないことですが、冷戦時代の左翼が、今スタイルを変えて、ソフトな形で権力の側に忍び込んできている。そして権力を利用して、「きれいな言葉」を一杯並べ立てて国民生活に介入し、国民の意識を変えていっている。それが、最近の日本の状況を理解するための重要なポイントではないかと思います。

西尾: 八木さんのお話を私なりに受け止めさせてもらうと、平成の革命勢力というものが、冷戦終結以後台頭してきている一方、そうした事態をみすみす台頭させてしまったわが国の独特の風土の問題があるということですね。結局、冷戦を本気になって戦っていれば、当然、倒した敵に対する追撃戦が起こるはずだった。しかし日本はアメリカの恩恵をただ受けるばかりで、自らは戦わなかった。その結果、日本の中では例えば自由ということについても、自国の防衛ということについてもまったく考えない、左翼的な言説に対してはまったく無防備な無思想的な空間が広がった。そこに乗じて平成の革命勢力が異常に増殖し始めたということではないかと思うのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です