GHQ焚書図書開封 (2008/06) 西尾 幹二 |
◆危機に立つ日本
砂山が海辺に砂を盛り上げて、その砂に水を上から流して行くと、裾野をぞろぞろと水が崩していきます。そんな時代がずっと前から続いていて、その水が砂地の下へともぐりこんでいくのです。そして、ある時期が来るとボコっと真ん中が陥没してしまいます。
そしてそのボコっと陥没したところへ海からワッと大きな波が来ると、あっという間に砂山はなくなってしまいます。例えるなら、今、そのボコっと陥没したところへこの国は来ているのではないか。私はそういうイメージを持っています。私は今、皇室問題の危機について発言していますが、このテーマはまさに国家の中枢にボコっと穴が開いている証拠じゃないでしょうか。
もうひとつは、長年、この国を統治していた自由民主党の中から権力が消えてしまったということです。そう感じませんか?権力がなくなっちゃったでしょ、この国の保守政党から。中心にいるのが、あの森喜朗さんじゃどうもね(笑)。あの方が権力ですか?さまにならないですよね。権力というものがなくなると、国も組織も成立しない。権力を中心にして人が動き出し、そしていろいろな問題が解決して行くのです。権力が支配することで、とんでもない方向へ行くこともありますが、権力があるから反抗することもできるのです。しかし、権力なき今、反抗する相手がいなくなってしまいました。
私は次のように思っています。おそらく、自由民主党の国会議員の大半が福島瑞穂みたいなものじゃないか、と。自由民主党の三分の二ぐらいの議員が学生と同じレベルの知能しか持っていないのではないか。三、四十年前、ゲバ棒を振り回していた左翼学生と同じようなレベルです。あの時代、誰もが平気で反体制みたいなことを言っていましたからね。そういう連中が次の世代の総理大臣だというから恐ろしいことです。後藤田正純とか、河野太郎とか、みんな旧社会党みたいなことを言っています。それが次の次の総理大臣候補だというふうに週刊誌で名前が出ているものですから、私はあきれ返りました。
最近、大変驚いたことがあります。自民党の代議士が二人いて、その場で日米戦争の話が出た。その二人が、三十代か、四十代かは知らないけれど、日米戦争があったことを知らなかったというのです。高校生だったらある話ですが、腐っても代議士ですよ。今やここまできているんですね。
それはそうでしょう。学校で習ったことしか頭になくて、お父さんが代議士だったから代議士になったという人ばっかりですから。今、独立で全くのゼロからスタートしたという人は絶滅稀種じゃないでしょうか。
しかし、あの新しい大阪府知事などを見ていますと、世に人材はいるんですね。あの人はテレビで硬派ぶりを発揮したことで人気が出て、世の中への登竜門をくぐれたわけですが、他ではなかなか出現するチャンスがないわけですよね。才ある人に登竜していく道がない、というのがこの国の一番の危機です。こうした状況は、日本がまともな国家としてもう長くはないという証拠じゃないか。そう思わざるをえません。
日本保守主義研究会7月講演会記録より
つづく