GHQの思想的犯罪(四)

お知らせ

日本文化チャンネル桜出演(スカパー!216チャンネル)

タイトル :「闘論!倒論!討論!2008 日本よ、今...」
テーマ :「オバマ政権と米中同盟」
放送予定日:前半 平成20年12月18日(木曜日)19:30~20:30
       後半 平成20年12月19日(金曜日)19:00~20:30
       
パネリスト:(50音順敬称略)
      青木直人(ジャーナリスト)
      加瀬英明(評論家)
      日下公人(評論家・社会貢献支援財団会長)
      西尾幹二(評論家)
      西部 邁(評論家)
      宮崎正弘(作家・評論家)
司会:水島総(日本文化チャンネル桜 代表)

GHQ焚書図書開封 GHQ焚書図書開封
(2008/06)
西尾 幹二

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◆敗戦後も存続した大日本帝国

 さて、本日GHQの検閲のお話をするわけですが、この最初に出てくる付録1、つまり、GHQが日本政府に要求したこの封筒の差し出し名の部分を見てください。“Imperial Japanese Government”宛てになっているんです。これは終戦から8ヶ月もたっているんですよ。大日本帝国はあったんですよ、まだ。

 大日本帝国があったということは、大変な事実ですよ。ドイツは国家そのものがなくなっちゃったんですから。ドイツの敗戦と日本の敗戦を比較しますと、日本はずっと条件が良くて、今言ったように、国外で悲劇を蒙った人たちは無権力状態におかれましたが、国内にいた人たちは一定の保護を受けていたのです。確かに、あのころは戦後の混乱もありました。皆さんにも記憶にあるようなたくさんの戦後の悲劇があったのですが、それにしても岩田さんが話された坂口安吾の『堕落論』を読み直してもちっとも感心しないですね。私はいつか、「これはくだらない文章だ」って書こうと思っています。「甘ったれるな」と言いたいですね。

 一方、『麦と兵隊』という作品を書いた火野葦平という従軍作家がいます。あの人の文章は素晴らしい。これは実際に戦場を歩いているからです。先ほどから私が言っているのは、本当に肌でこの国家の崩壊を経験したのは、そういう兵士たちや抑留された人たち、満州から逃げ帰ってきた人たちや、そういう人たちであって、国内にいた人は、知識人も含めてみんな体験が浅く、駄目だったんじゃないかなと、そういうことです。

 せいぜい『リンゴの歌』と『青い山脈』で慰められるようなものではなくて、本当の意味での危機感、無秩序、そういうものに晒されていたらば、権力が必要だということ、国家は本当に骨の髄から秩序という物を作らないと駄目なんだということ、それらが腹のそこから沸き立っていたはずです。

 無秩序、無権力にたいする恐怖、これが当時なかった。ここに来て、この国が陥没している一番の原因はこれではないかと私は思います。しきりにこういうことを思うのは、ドイツとの比較をするからですね。

日本保守主義研究会7月講演会記録より

つづく

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