GHQの思想的犯罪(十五)

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◆戦わずして戦う~思想的戦い~

 皆さんの知っている昭和16年の11月の中央公論の「世界史的立場と日本」という有名な座談会があります。京都学派の哲学者が集った座談会です。アメリカとの戦争が一ヵ月後に始まるのに、アメリカは、映画と統計の国だよといって、馬鹿にしている。それでいて、ヨーロッパ文明の克服を論じているのです。非常に観念的ですね。目の前で戦争が始まるっていうときに。

 このように、日本ではアメリカを馬鹿にしていた哲学者や歴史家がいましたが、アメリカでは日本に来たことがない文化人類学、『恥の文化日本』を書いたルース・ベネディクトが、日本人の収容所に出かけて行って多くの日本人に会って、心理調査をして、日本人とはどういうものかということを一生懸命研究した。その内容がそれほど価値があるかどうかは別問題です。私はちょっと怪しいと思いますが。ただし、少なくともそうやって、当面に敵となる日本を調べるという姿勢がある。

 あるいは有名な作家、ヘミングウェイは日米がもし戦えば日本はどんな通路で戦ってくるかというのを一生懸命考えてそういう文章を残しているわけですよ。もちろん知識人や作家だけじゃなく、アメリカ軍当局は日本の戦い方を研究しているわけです。

 でも日本の知識人で、日本の作家で、日本の文学者で、日本の学者で、一体何人が、日米が衝突すればどのような形で合理的に戦えるかということを一生懸命考えた人がいたかというと、いなかったのではないか。そういうことですね。

 まあ、上手に戦うということ、戦うということの中には、戦わずして戦うということもありますから、そういうことが日本人の知識の弱点だということは事実ですね。

日本保守主義研究会7月講演会記録より

つづく

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