皇室と国家の行方を心配する往復メール(四)

西尾から鏑木さんへ(後篇)

 最近起こった愛子様不登校事件で、天皇皇后両陛下から次のようなお言葉があったと広く伝えられています。「学校や数名の児童が関係する事柄であり、いずれかが犠牲になる形での解決がはかられることのないよう、十分に配慮を払うことが必要ではないかと思う。」(週刊新潮3月25日号に依る)

 子供の世界の全体を見渡していて、皇室の与える影響の大きさを心得ているこのお言葉は、不登校事件は何事かと眉をひそめている国民にはじめて安心感を与えました。もしこのお言葉がなかったら、とても落着きのないものになりました。さすが両陛下のお心配りは違うな、と私も安堵の思いを抱きました。ご皇室と国民の関係を支えているのはやはり天皇皇后両陛下だな、とあらためて確認させられた次第です。

 一方、皇太子ご夫妻からは「愛子の欠席で国民の皆さまにご心配をかけ、私たちも心を痛めております」というコメントが発表されたが、このおっしゃり方に違和感を持った関係者も多かったようです。その後も「母親同伴四時間目限定登校」がつづいていると報ぜられていますが、詳しい事情は書かないようにと報道規制がなされています。ですからそれ以上のことは私共には伝えられていません。何が起こっているかまったく分らないので今われわれはこの事件に関して何も考えることができません。いろいろ憶測しても仕方がありませんから――。

 別の話ですが、昨秋皇太子殿下が演奏に参加された音楽会が開かれ、ご皇室の皆様が会場にお姿をみせたという報道がありました。演奏が終って、雅子妃殿下がおひとり真先に席を立ってさっさと帰ってしまったので会場から驚きの声が上ったと、報じられました。演奏会にひきつづき懇親会が催されたそうですが、妃殿下は欠席されました。そこまでは産経にも、他の新聞にも出ていました。

 むしろ私があっと驚いたのは『アエラ』がそのときのある事件を伝えた記事でした(記事を失くしているので正確に書けないのをおゆるし下さい)。演奏会の間、ご皇族の方々にショールのような膝掛けが配られていました。すでに晩秋で寒いからでしょう。妃殿下はおひとり真先に起ち上がってお帰りになったのですが、そのとき隣席の皇后陛下に、ご自分の膝掛けをぱっと渡して立ち去ったというのです。皇后陛下は驚いて、それをお付きの者に回したそうです。周囲では驚きのざわめきが起こったそうです。

 雅子妃殿下はやはりご病気なのだな、と私はそのとき思いました。以前私は妃殿下は病気ではないのではないかと言っていましたが、正常な人なら皇后に対しこんな礼を欠いた不躾な態度がとれるでしょうか。どういうご病気か分りませんが、仮病ではなく、しかも簡単に完治しないご病気なのではないでしょうか。

 昨年十一月にご病気に関する東宮医師団(じつは大野医師おひとり)からの詳しい発表があると伝えられ、十二月に延期され、一月になっても発表はなされませんでした。小和田氏がオランダから帰国しました。ご自身の病気治療もあったそうです。雅子妃は父親の病気を大変に心配した由です。小和田氏は雅子妃の病気に関する新しい情報公開を心配したのではないかと思いました。

 雅子妃ご自身が医師の予定する情報公開の内容が不満で、自分で納得のいくように手を入れているということも伝えられました。二月にやっと内容は公表されましたが、中味は今まで同様でした。徐々に快方に向かっているがまだ完治していないといういつもの言葉以外に、病気に関する新しい報告はありませんでした。

 私は全文を丁寧に読みました。気がついた新しい点は、私的な海外旅行が妃殿下の治療に役立つだろうという示唆が記されてあることでした。そうこうしているうちに愛子様不登校事件が起こりました。私は二つをつないで想像して、愛子様は国内では教育できないので海外の学校に入れる、という布石を打っているのかな、とも思いました。勿論これは私の推論にすぎません。

 さて、天皇皇后両陛下の配慮に満ちたお言葉が、今度の事件を安堵させ、騒ぎを広げない鎮静の役割を果していると私は先に書きました。勿論その通りです。しかしこのお言葉の効果はどのレベルのものでしょうか。他の子供に犠牲を出させないように、という配慮を示したお言葉は、皇室一般の国民への自制の表現ではありますが、雅子妃の一連の行動への釈明の表現ではありません。

 天皇陛下は皇族の言動がいかに周囲に大きくはね返るかを経験からご存知です。それが「他の子供に犠牲を出さないように」という社会的配慮に満ちた今度のお言葉になったものと思われます。この点を踏まえて考えると、皇太子殿下ご夫妻は皇族の言動がいかに周囲に大きくはね返るかをまったくご存知ないか、無神経なまでに意に介さないで振る舞っておられます。そこに大きな波紋の生じる理由があります。

 よくKY(空気が読めない)という二字で人を評するいい方がはやりました。まさに雅子妃はKYの典型と呼ぶべきでしょう。皇族の言動が周囲にはね返ることの恐ろしさを、天皇皇后両陛下は経験上よく知っており、皇太子ご夫妻はまったくご存知ないようです。だから学習院への干渉をめぐってモンスターペアレンツなどと呼ばれるのでしょう。自分が引き起こしていることの影響の大きさ、自分の恐ろしさが分らないのでしょう。それが経験の差なのか、ご病気のゆえなのか、それともお人柄から由来するのか――そこに国民の目が集中しているように思います。

 たゞ、皇太子ご夫妻の言動がいちいち引き起こす波動を天皇皇后両陛下はどの程度ご認識でしょうか。両陛下は自らが及ぼす波動を知っています。そこに両陛下の素晴らしさがあります。しかし、それはご自身の言動の及ぼす範囲に限られていて、雅子妃や小和田一家のKYぶりが引き起こす騒動の波紋について、両陛下はどの程度お気づきになっているのでしょうか。どの程度の危機感をお持ちになっているのでしょうか。これが今新たに湧き起こっている疑問です。

 私が憂慮しているのは、この侭放って置くと、国民の非難は次第に両陛下に向かっていくのではないかということです。両陛下は何を考えておられるのか、なぜ皇太子夫妻にもっと厳しい態度で臨まないのか、と。

 そういう声はじつはすでにあちこちで聞かれます。

 スカルノ・デビ夫人という方がいて、私は芸能人かと思い今まで関心がありませんでしたが、ある人に彼女のブログ「デヴィの独り言 独断と偏見」を教えてもらい、バランスのとれた見識のある人と分りました。鏑木さんもここを一寸読んでみてごらんなさい。彼女も天皇陛下が起ち上ってくださることを強く求めています。

 鏑木さんが心配している外国の影響、コミンテルン(?)の介入、皇室へのスパイの潜入はあり得ることですが、雅子妃がゾルゲのような強靭な意志の人で、意識的に加担しているなどとは到底思えません。彼女は弱い人で、女官も侍従も病的なまでに誰ひとりをも信用しないために孤立していると聞きます。一人の担当医と一人の教育係のほかには信頼を寄せる相手はなく、勢い実家の小和田家にすがって生きているようです。そういう意味では皇太子妃の仕事は彼女には荷が重すぎたのでしょう。十分に同情できますが、だからといって日々、皇室を毀損しつづける光景を日本人として黙って見ているわけにもいかないのです。毎日学習院に見張りに出かける元気があって、お庭掃除の奉仕団に会釈することは相変わらず一切なく、スキーに行く体力があって、どんな祭祀にも園遊会のような行事にもお出ましにならないこと今や常態となっている由であります。同じ嘆きをもうこれ以上言いたくありませんが・・・・・・。

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