『GHQ焚書図書開封 4』の刊行(一)

GHQ焚書図書開封4 「国体」論と現代 GHQ焚書図書開封4 「国体」論と現代
(2010/07/27)
西尾 幹二

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 目 次 

第一章 『皇室と日本精神』(辻善之助)の現代性

国体論は国のかたちということ
読者の心に響かない演説口調の文章
日本は世界文明の貯蔵場
仮名の発明に見る日本文化の特質
外国思想を受け入れて変容した国体観念
国体観念の基礎には「皇室」がある
「君民一体の聖徳」が皇室の伝統

第二章 『國体の本義』(山田孝雄)の哲学性

第一節 時間論

山田孝雄博士の“ふたつの顔”
日本語ではなく「国語」、日本史ではなく「国史」
古代の宣命の中にヒントがある
『続日本紀』の文武天皇御即位の宣命
「中今」の解釈をめぐって
アウグスティヌスにおける「時」と「永遠」
ニーチェとハイデガーにおける「時間と生」
「中今」という言葉への注目から出発

第二節 皇位継承論

日本の「万世一系」、中国の「興亡破壊」
江戸幕府は中国を蔑視していた
時間的・空間的統一性をもった日本
日本を貶める網野善彦論文は国体論者への意趣返し
日本の歴史は「もうひとつの世界史」である
皇位継承の三条件
王家には家名があるが皇室には姓がない
皇室のあり方とコマの回転

第三節 神話論

「国生み」神話について
日本は「作られた国」ではなく「生まれた国」
神道は祈らない、感謝するだけでいい
日本人は神の子である
日本国家の三要素
国生みの物語は日本の国家原論である
日本は英仏独伊ではなくヨーロッパ全体と対応する「自然発生国家」だ
「国史」の前にも長い長い「沈黙の歴史」がある
自然発生的国家の「強み」と「弱み」

第三章  部数173万部『國體の本義』(文部省編)の光と影

第一節 神話と皇統

国民教育のスタンダードブック
皇室は神話と一直線につながっている
「現御神」ということ
神話と王権との関係
「神」の観念も中国や西洋とは大いに異なる
日本の天皇は道徳とか人格とかでは測れない

第二節 複眼を欠いた「和」と「まこと」の見方

現代社会に有効に生きている「和」の精神
「和」の世界には他者が存在しない
「個」としての弱さをさらけ出した日本人
「したたかさ」がなければ世界とは渡り合えない

第三節 鎌倉時代と江戸時代の扱い方への疑問

外国と日本のおける「国家」のちがい
日本には「維新」はあるが「革命」はない
記述に偏りのある『國體の本義』
「権権二分体制」という日本人の知恵
武家が活躍した時代を「浅間しい」とする偏見
皇室を永続させたのは「鎖国」と「権権二分体制」ではないか

第四節 恭敬と謙譲――日本人の国民性

豊かな自然、君民相和す正直な心
皇室と日本人の原点は「明き淨き直き誠の心」にある
日本人の「謙虚さ」が普遍文化の吸収を可能にする
「公」=天皇の前で辞を低くする「私」


第四章  国家主義者・田中智学の空想的一面

田中智学という人
 『日本國體新講座』と時代の空気
「日本の国体は万邦無比なり」
時代の節目ごとに「国体学」を叫んできた田中智学
熱に浮かされていた「あの時代」
「建国の三大網」とは何か
なぜ人は「積慶」「重暉」「養生」を見逃してきたのか?
「明治維新は神武天皇の御代への回帰である」
きわめて朝日新聞的な「人類同善世界一家」というスローガン
日本的国家主義の甘さはリアリズムの欠如にある

第五章 『國體眞義』(白鳥庫吉)の見識の高さ

昭和天皇の皇太子時代の歴史教師・白鳥庫吉
日本は現代の有力国のなかで最古の国
日本民族の起源を探る
「高天原」は海の向こうではなく“心の世界”である
白鳥博士の論と拙著「国民の歴史」との暗合
日本民族の起源を知るうえで重要なのは「日本語」と「縄文土器」だ
日本人の宗教は「万世一系の皇室」である
武家も手を出せなかった「天皇家」という謎
天皇は中国における「天」の位置である
天皇は国民を思い、国民は天皇を尊崇する

第六章  130万部のベストセラー
      『大義』(杉本五郎中佐)にみる真摯な人間像

第一節 「国体論」は小説になりうるか

軍神・杉本中佐と遺書『大義』
「唯一絶対神」と捉えた中佐の天皇観
国体論は結局言葉でも哲学でもなく「行動」なのではないか
「思想」と「行動」は小説に描けるか?
「熱烈鉄血の男児・杉本五郎君の参禅を許容せられたし」
「軍人」と「禅」がキーワード
杉本中佐の「結婚の条件」
「陛下の股胘を貴女にお預けします」
「男の姿」「女の思い」を描いたすばらしい一場面
「憂国」の悲憤慷慨談


第二節 あっと驚く『大義』の天皇観

「思想」というより「一神教」
「日本人は己の子すら私すべからず」
「世界悉く天皇の國土なり」
「思想」は単純だったが「実存」は立派だった
中佐は導師が認める立派な禅僧になっていた
「陸軍大学に行けといわれても習うことがない」
「文明開化」と「尊皇攘夷」は対立概念ではない
戦後は軍国主義ときめつけて自己検証をしないできた


第三節 山岡荘八の小説『軍神杉本中佐』の出征風景

地球上の全陸地の九割は白人に支配されていた
昭和十年前後、軍人たちは何を論じ合っていたのか
国民はつねに「世界史のなかの自国」を考えていた
出征前夜――無言で伝わる覚悟の別れ
杉本中佐をめぐる人情話
感動が電流のように走った出征風景
今上陛下にはぜひ「靖国神社ご親拝」をいただきたい

第七章  戦後『大義の末』を書いた城山三郎は
      夕暮れのキャンパスで「国体」を見た

『大義』に惹かれた若者は戦後をどう生きたか
『大義』をめぐる二つの不幸な出来事
「天皇制賛成論」は今やもの笑いの種になる
敗戦による「パラダイム転換」
見えなくなってしまった『大義』の世界
「天皇制」是非をめぐる学園の論争
少年皇太子がキャンパスにやって来た
少年皇太子の姿は『大義』につづく世界を考えるきめ手を与えた
天皇のご存在そのものの重みをはぐらかしてはならない

第八章  太宰治が戦後あえて書いた「天皇陛下万歳」を、
      GHQは検閲であらためて消した
              溝口郁夫

GHQの検閲をうけた太宰治の本
『パンドラの匣』とはどういう本か
『パンドラの匣』にみられる削除と改変
太宰治の天皇尊崇の念は明らか

あとがき

文献一覧
  

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