今日沖縄は中国の海になった!(その五)

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 今日14日に『WiLL』の緊急増刊「守れ、尖閣諸島!」が発売された。ご覧の通り執筆の皆さんは中国憎し、民主党許せないの一点張りで、同盟国アメリカが最大の問題、アメリカに対する日本人の依頼心理をどう断ち切るかが今後の最大の課題だということが必ずしも中心主題になっていない。これは残念だが、言外には勿論、どの論文もそういう方向を向いてはいるけれど。

 西村眞悟氏と金美齢氏と塚本三郎氏との気迫のこもった奔ばしるような言葉の数々は魅力的だった。そのほかの方々もみな勢いのある鋭い表現を発し、次々と現実をえぐっているが、私が一番感心したのは青山繁晴氏の「中国共産党、二つの誓い」であった。私の気がつかない新しい発見がいくつもあった。例えば、

 私はいまから八年ほど前、ある政府機関の委託を受けて北京の人民解放軍の将軍たちと議論をしました。・・・・・

 私といちばん時間をかけて向き合った将軍はとても有名な方で、朝鮮戦争の指揮官の一人でした。彼はこう言いました。

 「青山さん。我々は1949年10月1日に北京に紅い星を立てて、共産党と人民解放軍による政府を樹立した時、二つのことを誓いました。これは今まで外国の方に言ったことはありません。

 第一の誓いは、中国は二度と周辺諸国に脅かされない。万里の長城のような役に立たないものを作るのではなく、積極的に周辺地域を抑えようと。

 第二の誓いは、人口です。当時は重荷だったが、やがてこのたくさんの人口が我々の財産となり、中国を世界一流の国に押し上げる。だから人口はあくまで増やし続けていく。

 この二つの誓いをドッキングして考えると、一つの国が思い浮かびます。わかりますか?」

 私が「それはインドですか」と聞くと、将軍は「その通りです」と答えました。インドだけが、やがて中国の人口を追い抜く可能性があるからです。

 中国がチベットを侵略したのはインドを抑えるためだった。これは西へ向けての企てである。次に北に向けて、1969年に中ソ国境紛争を起こした。

 モスクワで軍当局者に聞くと、ソ連はユーラシア大陸に大きな身体でのしかかるような国です。前や後ろは強いけれど、真ん中のおなかは柔らかい。そこを槍で突っつく奴がいる、誰かと思ったら中国だった、と私に語りました。中国はソ連の弱いところを見抜いて、戦いを仕掛けたわけです。

 北の次は南です。これもまた十年後の79年に、ベトナムと中国の中越戦争が起きている。中国は昔からベトナムに領土的野心を持っていた。ベトナムはフランスと戦い、アメリカと戦い、いずれも叩き出した。その様子をじっくり見て、アメリカは二度とベトナムに戻ってこないと確認してから、中国は南下を始めた。

 西、北、南と出ていき、一ヵ所だけ出てこない方向、東にあるのは日本です。しかし、今度はすぐには出てきませんでした。日本があるからではない。アメリカ軍が怖いからです。漢民族はもともと戦争に弱い。だから、二度と負ける戦争はしない。というのも現代中国の戦略なのです。

 1969年、ECAFE(国連アジア極東経済委員会)の調査によって、尖閣諸島の海底に資源があることがわかった。すると、翌年から中国が突然、尖閣の領有を宣言しました。ところが、行動には出なかった。先ほど言った通り、その頃は南下をしており、東シナ海より南シナ海に出ていこうとしていたからです。

 あれから40年後の現在、なぜこのタイミングで中国が東に出てきたのか。おそらく多くの人が、普天間問題で日米同盟が揺れたからだと考えているでしょうが、それはごく一部の動機に過ぎません。中国は目の前のことでは動きません。

 東側にいよいよ出ていく時期だと決断したのは、実は2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件が真の契機です。

 ここから先は青山さんの文章を直接読んだ方がいい。尖閣への中国の侵略がきわめて戦略的な、長期にわたって練られた行動計画の終着点だったことがここから分る。東西南北の四方向に向けてのこの国の深謀に根ざした膨張行動であることを考えれば、尖閣問題が今回の一件で終わるはずはないのである。

 戦後わが国は一貫して幸運でありすぎた。いよいよそうはいかなくなってきた、と思えてならない。これから怒涛のごとく押し寄せてくる変動にまずは心の準備をしておかねばなるまい。

 今朝参議院予算委員会での山本一太氏の代表質問をテレビで見た。山本氏は首相と官房長官と法務大臣に果敢によく噛みついていたが、いよいよの所で追いこめていない。船長の処分保留の侭の釈放は検察の判断であって政治は関与していないという例のごとき三人の答弁に対し、山本氏はむしろ「それならなぜ指揮権発動をして検察の暴走を防ぎ、政治に主導権をとり戻さなかったのか」と追い詰めるべきではなかったろうか。青山さんもこの見地からの指揮権発動の必要を論じているのが注目に値する。

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