「大学入試センター試験訴訟」のその後

お知らせ

 月刊誌6月号の私の評論は

(1) アメリカとの経済戦争前夜に備えよ
     『正論』(短期集中連載第4回終篇)45枚

(2) 韓国人はガリバーの小人
     『Voice』22枚

 
 (1)は私にしては珍しい経済文明論である。日本の資本主義は何であったか、またこれからどうあるべきか、というこのテーマは今後さらに切り拓いていきたい。さもないとわれわれの現代史は見えない。政治や外交だけがすべてではない。

 6月号各誌をみると、中国暴動への言及が花ざかりである。毎月みんなと同じ声をあげるのも芸がないから、連載の終回はきちっと自分のテーマで締めた。

 (2)は抱腹絶倒篇である。韓国人は怒髪天を突くかもしれない。でも、真実である。

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「大学入試センター試験訴訟」のその後

 平成16年の大学入試センター試験の世界史の問題で「日本統治下の朝鮮」において「第二次大戦中、日本への強制連行が行われた」を唯一の正答とする出題に対し、それは歴史事実に反し、受験生に不当な思想統制を行うものである、という疑問や批判が提出された事件があったことを覚えている人も多いだろう。

 この件では大学一年生になったばかりの7人の学生が同年7月7日、大学入試センターを東京地裁に提訴したところまでお伝えした。拙著『日本がアメリカから見捨てられる日』(徳間書店)所収の「受験生が裁判所に訴え出た大学入試センター試験」に詳しい説明がある。

 その後の状況を報告すると、裁判所では、原告本人の話を聞くことにしたいと3人の在京の学生を6月7日に召喚し、約1時間発言を許すこととなった。近頃の勇気ある学生の行動に拍手し、幸あれと祈りたい。

 「強制連行」は高校のすべての歴史教科書にのっているから出題は違法ではないと被告の大学入試センターは言い張っていたが、「新しい歴史教科書をつくる会」の調査で29冊のうち12冊の高校教科書に「強制連行」の記述のないことが明らかにされていた。

 すると入試センター側は主張を変え、受験生は中学時代にこの事実を教科書で学んでいたはずである、中学の教科書にはすべてのっている、だから自分らに責任はない、というとんでもない詭弁をひねり出してきた。

 悪いのは中学の教科書の検定にあり、国に責任があり、大学入試センターや出題者には責任がないという、これまた笑うべき遁辞を述べ立ててきているそうである。

 教科書が悪いのは検定のせいで、すべて国の検定に責任がある、とはつねづねの私共の主張ではあるが、それを理由に大学入試センターという「公」の機関が責任逃れを言い出すに至っては、小役人を風刺したゴーゴリの『検察官』をも思い出させる喜劇の一幕を見る思いがする。

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