宮崎正弘氏を囲む――中国反日暴動の裏側(十五)

西尾:それで中国の先行きは?

宮崎:先行きは、今申し上げましたように、エネルギー投資が余りにも無謀なので、そこから破綻を来たしそうです。

 軍のエネルギー確保の発想はパラノイア的です。

 長期契約で、向こう25年間に、2000億ドルをイランに出資するといって、今700億ドルを払ったらしいんですが、今から開発するわけでしょう。開発するのに、資金切れになったらどうするのか、そんなことぜんぜん考えていません。

 ですから、中国のやることが、あんまり無謀なので、メジャーがみんなプロジェクトから撤退していくわけです。東シナ海からもユノカルなどが撤退しましたね。コスト度外視ですから。

 新疆ウイグルから上海まで持ってきているガスも、パイプラインは完成しましたが、末端の消費者にとって、国際価格の3倍もするんですよね。だれも買わないでしょ。買わないから今度は共産党が押しつける。国有企業にこれをこの値段で、買いなさいと。

西尾:日本のように、中東から輸入するというラインだけでは足りないんですか?

宮崎:中東からも石油、ガスを輸入しておりますが、足りないというよりも備蓄設備が少ない。

C:中東から輸入するだけじゃなくて、スーダンからも石油を輸入しているらしいですよ。

西尾:そこで素朴な質問ですが、なんで日本はそんなに、がつがつしないでもやっていられるのでしょうか。

C:いえいえ、過去に於て日本がやろうとした同じようなことを中国もやろうとしているんでしょう。日本は最近政府が石油公団を廃止したりしましたけれど、一時国が金を出して、石油を自分の側に抑えて、それで安定輸入先を確保しておこうということでやっていたんです。その政策があまりうまくいかなかったので、というか一部分しか成功しなかったので、そのうち堀内さんなんかが批判するもんだから、やめてしまったんです。それで今になって、石油がなくなり、天然ガスがなくなろうとしているとき、もっと日本は自分の側に抑えておくべきだったんじゃないかという議論が、今ごろまた再発しているんです。

 中国は30年前の日本と似たようなことを、わぁ~っといっぺんに金をかけてやろうとしているんです。で、今宮崎先生が言われたように、全てのプロジェクトがうまく行くとは思えませんけれども、ただ彼等としては本当に必要なのは油とガスだから・・・・・

西尾:日本はどうなの。何度もききますが、日本はのんびりしていませんか?

C:日本も同じです。石油の値段がこんなに上がったのは、中国がそうやってたくさん買おうとしているからなんですよ。ですから、影響は全世界が受けています。

西尾:中国の経済が伸びれば伸びるほど、エネルギーはより必要になるということですね。

C:宮崎先生がいっておられたように、めちゃくちゃやっているから、プロジェクトとかなんかで、おかしくなるんじゃないかというのはとおっしゃる通りではないかと思いますね。

D:アメリカの共和党は、民主党もですが、チェイニーとかラムズフェルドあたりはニクソンの時代から、ワシントンに居た人間です。彼らはマッカーサー元帥が好きなんですよ。マッカーサーが辞めた時に、議会証言の中で、彼らは朝鮮戦争の体験を心情を通して語ったんです。それはつまり、我々アメリカというのは、アジアの戦争に勝てないと言っているんですよ。そこらへんが共和党の、中国に対する考え方の根底にあるんじゃないかと私は思うのです。

 戦争しちゃいけない、封じ込めくらいはいいけれど、戦争はとにかくやっちゃいけない。今やっているのは、日本式に金持ちにして、おだやかにソフトランディングにもっていこうというのが、共和党の政策の根幹だと思います。

西尾:金持ちになるプロセスで、日本の場合は平均して金持ちになり、静かになっていった、だからよかったけれど、中国は非常にドラスティックに差ができたりするから、金持ちになったとたんに情報が過剰になって、内乱が起きる可能性は中国の場合は高いですよね。

宮崎:富の独占という意味で、中国共産党という権力だけが富を独占するわけですから、庶民のことなんか共産党はどうでもいいんです。そこで必ず不満が堆積してくるんですね。今の段階は、なんといったって飯が食えるから、まあいいのですが、これで農民が本当に食えなくなったらあちこちで一揆的な暴動を起すでしょうね。暴動が起きても、今の軍隊240万と第二軍の人民武装警察70万とで抑えられる、ただ軍がそのうち、武器を敵に渡すなどの腐敗を始めるでしょうから、そうすると昔のように、群雄割拠じゃないけれど・・・・がたがたしてくるでしょう。

西尾:中国と北朝鮮とは違いますか?そういう意味で。

宮崎:いや、かなり違いますよ。

西尾:違いますね。抑えられない。北朝鮮の軍隊、北朝鮮の民衆は抑えられるけれど、本当に餓死者が出るようになったら中国の場合は抑えられないと。

宮崎:あの半島とは違って中国のように広いところでは、山西省は山西省で何をやるかわからないし、江西省は江西省はで何をやるかわからないという状況も出ないとも限らない。ただ、この間もその議論になったんですが、かつての地方軍閥のごとくにたとえば、旧満州では張作霖が出たり、天津からは袁世凱が、山東に閻軍閥、四川に朱徳、広東に葉剣英が出て「広東覇王」をなのるというような、旧来の軍閥かといえば、それは違うと思うのです。

西尾:ということはつまり、片岡さんがさっきから言っているように、現代の国家、主権国家が武力、軍事力を持ったら、地方軍閥は手が出せないということですね。

宮崎:地方叛乱ですね。もちろんそうですが、我々が昔からイメージしていた中国の地方軍閥というのは、もう消えかけてないと思います。

 軍の近代化以来、地方軍閥を警戒してきた。

 その結果、いまあるのは、総参謀本部、総政治部、総後勤部、もう一つ。この四つの「縦の系列」があって、それぞれが地方空間を束ねている。

 軍の中の四つの「縦の系列」にそれぞれ利権があるんです。どこどこのガスはここ、たとえばどこかに労働者を派遣するのはここ、サウジアラビアのミサイル管理はここ、ホテル経営から何から全部「縦の系列」で利権を取り合っているので、それが喧嘩を始める、(ま、今も喧嘩していますけれど)そのときが大混乱の始まりでしょう。

西尾:それが流血の喧嘩になるかもしれないと?

宮崎:なる可能性はある。しかしいい部隊にはいい武器が行くわけですから。

 外国にも出している。軍は輸出で儲けていて、たとえばバングラディッシュあたりは、全部中国製の武器ですよ。90パーセント。ロシアのカラシニコフを真似た機関銃ですが。一発打ったら弾奏が壊れるので、あれみんな“チャラシニコフ”と言っている。(爆笑)

 周縁諸国は、プロチャイナの国々でも、そういうものしか持っていない。まだ、それで十分だから。一方、中国は沿岸警備を含めて、海軍の装備が格段によくなったようですね

西尾:北京オリンピックの見通しはどうでしょうか?

宮崎:オリンピックまでは強権発動で持つと思います。その前に不動産と金融の問題がどうなるかですよ。

C:さっき宮崎さんがおっしゃった、株の投機は?メタル関係は?

宮崎:これは終わりました。鉄鉱石は上がっているんですが、ただ需要がもうないんです。いままで隠していたやつを今だして、それから発注っていうことになりますでしょ。

C:アメリカでも日本でも、そういうのは起っていますけれど、上がるとみんなが買いだめして。

B:上海の土地はもう下がるとおもいます。

宮崎:石油と金が上がっています。

C:日本企業の投資の問題ですが、ちょっと感想を述べさせていただきたいのです。過去10年、15年の間に中国向けの投資については、日本の企業は揺れているんですよね。中国はカントリーリスク――リスクと言う言い方はおかしいかもしれませんが――結局中国に投資して、うまくいくかということです。日本の企業も90年代の前半なんかは、相当慎重だったんです。それは現実に、うまくいかないケースもあったし、中国の中で売ろうとすると大臣が買い占めちゃうようなケースもあった。

 さっき銀行は不良債権が多いとおっしゃっていましたが、中国人は借りた金を返さない。それで日本のやおはんという会社が投資して、つぶれちゃったんです。結局、中国の中で商売しようとして、やっていけなかったのです。日本の企業はどっちかというと、中国で作らせて、それを買ってアメリカに輸出すると、その商売だったら代金はアメリカから入るわけですから、それで向うで割に伸びているのはそうです。

 私は中小企業の仕事をしていましたけれど、日本の中小企業も中国向けの投資がむずかしいなという感じをもっていたんです。ところが、90年代の終りごろから、少し様子がかわってきて、日本の大企業もうまくやるのが出てきたし、しかも中国の中で商売するイトーヨーカ堂とかですね、そういう所も出てきて割にうまく行き始めたもんだから、中国国内をマーケットにした商売の為の、投資というのが非常に増えてきて、つい最近まではものすごいブームになっていたんです。ただ、反日暴動の事件があったのでまたカントリーリスクが出て来たと思います。

 東南アジアの方に、アセアン諸国のほうにまた若干ウェイトが移っていくんじゃないかなと思います。それは中国にとっては、非常に大きな影響があると思います。しかし経済問題ですから、これはしょうがない。

宮崎:もうひとつ、今木下先生がお触れにならなかったことで、WTOの問題があるんですね。WTOで来年、金融の自由化とか知的財産権の保護とか、いろいろあるんですけれど、やはり繊維ですよね。繊維のクォーターがなくなって、中国がラオス、カンボジアに負けるんですよ。中国企業がみんなあっちへ行っているでしょ。価格競争に勝てない分野が中国でさえ今でてきた。

B:ストが起きているでしょ。賃金ストが・・・・

宮崎:ストは年中起きている。基本的にはみんな不払いなんですよ。工場長が持ち逃げしたり、約束の半分ももらえない、これ一番多いんですよ。

B:約束した金を払わないというのは、中国人なんですか。

C:中国に投資することに、通産省がかんでいます。通産省が熱心にやったような気がするんです。

西尾:台湾の悲運がここで問題になりますね。許文龍さんが涙を飲んだ事件がありましたね。愛国者だったのに、自分の会社の人間がおそらくひどい目にあって、仕方なく台湾の独立放棄なんて心にもないことを無理して書かされたんでしょうが、日本の企業も罪もないのに、10年の刑とか、そういう人があいついで出たりすると、日本の企業もこれは大変だということになって、逃げ腰になる、そんなことおこりませんかね。

宮崎:今小林陽太郎だの、一応財界が中国の言うとおりに動いているから、今のところ嫌がらせはないと思います。ただ、たとえばトヨタの会社あたりが全然違うことを言いだすと、やりかねないですね。

西尾:困ったもんですね。常識の存在しない始末に負えない国ですから、日本の企業もちゃんと分って、不当なことをされたらどうしたらよいか、今から対応策を考えておいてほしいですね。

「宮崎正弘氏を囲む――中国反日暴動の裏側(十五)」への4件のフィードバック

  1. 「宮崎:これは終わりました。鉄鉱石は上がっているんですが、ただ需要がもうないんです。いままで隠していたやつを今だして、それから発注っていうことになりますでしょ。」

    のところから発言が重複しているようです。おせっかいですが。

  2. さて、47thさんが中国海洋石油(CNOOC)によるユノカル社買収の話をエントリにあげてくださっているのでそれに関連して少し。
    ユノカルというのは上の路の会のエントリにあるように東シナ海における日本の排他的経済水域(EEZ)の境界線間際の春暁ガス田から手を引いたところです。

    大体、日本周辺のメタンハイドレート層は、水深500m以深の海域にしか存在しません。水深500m付近のメタンハイドレート層は薄いと考えられ、ある程度の層厚を持つ水深800-1,000m以上の水深で掘削を行われています。
    そうなると、長大な係留システムやGPSや音響機器などを利用したダイナミック・ポジショニング・システムと呼ばれる位置保持システムが必要になります。課題は位置保持だけではありません。大水深掘削なので、それに対応するための掘削機材量が増大します。掘削機材を搭載するだけのスペースがリグ上に必要で、掘削リグ自体が大型化することになってしまいます。世界的には石油・天然ガスの掘削を目的とした大水深掘削リグは増えてきましたが、その使用コストや船の開発費はまだまだ高いものです。
    この大水深掘削用のリグの技術は日・英・米が持っていて、中国は持っていないとのことです。

    FujiSankei Business i. 2005/6/23 中国企業による米企業買収が活発化 中国海洋石油→ユノカルなど

    話はこれだけではすみません。
    まだ確実な話ではなさそうですが、Financial Timesによると、このところ株価が下がっていたペトロカザフスタン(PKZ)に中国やインドの大手石油会社が興味を示しているとのことです。

    PetroKaz may put itself up for auction
    PetroKaz ‘for sale’ sign sends shares up

    ペトロカザフスタンはこれらのアプローチに対し、ゴールドマン・サックスを起用して会社の取るべき進路を模索中だというプレス・リリースを出しています。

    http://finance.yahoo.com/q?s=PKZ

    カザフスタンは内陸ですからどんなにリフティング・コスト(地中から石油を汲み上げるコスト)が安くても、それを陸上輸送するとコスト高になってしまいます。
    ところがカザフスタンと中国は国境を接しており、今、両国を結ぶパイプラインが来年の竣工に向けて急ピッチで建設されています。
    ペトロチャイナの精製施設の大半は中国の内陸にあり、大慶油田など内地の原油をプロセスすることを当初想定した川下資産ポートフォリオになっています。ですから中東などからタンカーで原油を持ってきても、ライバルであるシノペックが沿岸の陸揚げ、精製施設の大半を所有しており、コスト面で競争上不利な立場にあるからです。
    カザフスタンと中国を結ぶパイプラインはそういうペトロチャイナの弱みを強味に変えることができるわけです。しかもペトロカザフスタンはカザフスタン東部(つまり中国寄り)の油田、精製施設などを押さえています。ただ、埋蔵資源から考えるとペトロカザフスタンはいい買い物ではないのは確かです。

    ユノカルの話もペトロカザフスタンの話も、単純な買収における埋蔵量対買収コスト費などの経済合理性の話ではないような気がします。
    ユノカルを手に入れると海洋の原油やガスの発掘、ペトロカザフスタンを手に入れると弱みを強みに変えることができる。
    しかも、上のFujiSankei Business iの記事によると、中国の石油大手3社が今年4月以降、相次いで大量の重質原油の埋蔵が見込まれるカナダのオイルサンド事業への参入を決めており、中国のエネルギー政策は、国内外を問わず、原油・天然ガスの確保を最優先課題としている。
    とあります。

    ある意味、中国のほうが今のわが国よりもよほど戦略的に動いているような気がします。

  3. 47thさんへ

    ちょっと、何がいいたいのかわからないような話をしてみます。
    まず、これらのリンクのように

    エネルギーの未来、食料、自然環境

    Oil: Caveat empty

    石油の埋蔵量というと「ハバート曲線(Hubbert’s Peak)」というものが必ずといっていいほど出てきます。
    ハバートモデルというのは、原油の累積生産がロジスティック曲線

    Q(t) = Qmax /(1 + a exp bt)

    に従うというモデルで、この微分をハバート曲線と呼ばれます。シェルの石油採掘のエンジニアだったM.K. Hubertが1956年にこの曲線を過去の生産統計にあてはめ、アメリカの石油生産が1970年から減少しはじめることを予測しました。この予測が的中したことで、ハバートモデルは有名になります。
    ハバートの理論は個別の油田についてと、ごく限定されたもので、地球規模で当てはまるものではないはずですが、さまざまな人にこうして影響を与えています。

    その後、この理論を地球規模に適用する試みがなされ、石油地質学者のキャンベル(Colin J. Campbell)などは2004年を地球規模での原油のピークとしました。

    中国が今後の経済発展により、多量の原油を必要としているのに現状の石油は減産に向かうとなれば、原油は高騰するなどという文脈でわが国でも金子勝先生あたりがお得意の悲観論をぶっていました。
    ただ、よく考えてみると、ロジスティック曲線をあてはめて究極埋蔵量を推定するというのは、それ自体がむちゃくちゃで、世界全体の原油生産にはこの条件が当てはめるなどというのは疑問符がつきます。

    ここからは別の話です。
    今、潜在埋蔵量で世界のトップにあると言われる油田を列挙してみます。

    カシュガン(カザフスタン)、テンギス(カザフスタン)、カラチャガナク(カザフスタン)、サハリン-2(シベリア)、コヴィクタ(ロシア)、ACG(アゼルバイジャン)、ボンガ(西アフリカ)、タングー(インドネシア)。
    ここで、地政学的要素が出てきました。カントリー・リスクの高い国ばかりです。
    最近は原油価格が高いので、市場ではカナダのオイルサンドなどを扱っている会社の株も人気のようです。これらの多くは政治リスクの低い国で、しかも技術面でのリスクも低いです。
    ただし、インベストメント・リターンの数字を見ると非常に低い数字となっています。Profitableではないわけです。
    そこで世界のメジャーはこれらのポテンシャルは高いがリスクもある国にハイリスク・ハイリターンのビジネスチャンスを求めます。
    これらの油田やガス床は現地国のノウハウだけではどうにもならないわけですから、ここにビジネスが成立します。

    カスピ海周辺の主なパイプライン網

    カザフスタンというところがまた複雑な場所で、ネルソン・リソーシズという会社とペトロカザフスタンという会社があります。

    ネルソンはその事業の殆どを西カザフスタンに集中しています。西カザフスタンはカスピ海に近い場所で、先述したようにカザフスタンの油田ポートフォリオの中で最もアトラクティブな大型油田が集中している地域です。ネルソンはそれらの油田の権益を買収して大きくなっている会社です。
    ネルソンは事業そのものはカザフスタンで行ってますが、上場はカナダ(トロント市場)とロンドン(AIM市場)です。本社機構はイギリスにあり、会社の登記はバミューダです。会計方式はUS GAAPです。
    また、ネルソンのCEO、ニック・ザナは元々シェブロン・テキサコ(CVX)のテンギス油田の最高責任者だった人です。テンギス油田はシェブロンのアセット・ポートフォリオの中で最も重要な油田のひとつです。

    次にペトロカザフスタンですが、ここはネルソンとは反対に東カザフスタンに油田や精製所が集中していて、一種の「関所」となっています。

    ついでに、このカスピ海が「海」か「湖」かなどという、我々には、理解しがたいようなことでもめている話もご紹介しておきます。
    このリンク先を読んだ後にはここがいかにややこしい場所であるかがお分かりいただけるものと思います。

    カスピ海は海か湖か

    カスピ海石油をめぐる覇権争い

    わけのわからないことを記述して、核心に触れたくないことがお分かりいただけたとは思うのですが(笑)
    一応、ペトロチャイナとシノペックのパワーバランスも述べておきます。
    ごくごく、教科書的に。

    何度か書きましたが、来年カザフスタンと中国の新疆ウイグルを繋ぐパイプラインが竣工します。このパイプラインは中国のCNPC(中国石油天然ガス集団・ペトロチャイナの親会社)とカザフスタンの資源公社が共同開発です。
    この日録で宮崎氏も語っておられたように、中国の大慶油田は生産のピークを迎え、ペトロチャイナは今後新しい石油の供給元を確保しなければならないのですが、同社の精製設備などの固定資産は中国内陸に偏在しています。
    シベリア・パイプラインのルートを巡って、日本と中国が鍔迫り合いをしていたことをご存知だと思いますが、中国案が負けたら一番損するのは中国ルートの主唱者であるペトロチャイナだったのです。そこでペトロチャイナは2の手、3の手を考えていて、その一手がカザフスタンルートでした。

    これは、ここまでにさせてください。

    東シベリア地域の
    石油パイプライン網(計画案)

    尚、リンク先のInternational Highwayは地図のご紹介のためだけにリンクしています。このコメント中のすべてのリンク先の文章記述については、ご自分で十分に吟味され、そのまま鵜呑みにされないことをお願いします。

    最後にさりげなく?ペトロチャイナのニュースの転載をしておきます。

    XFN-ASIAによると、中国石油最大手のペトロチャイナ(中国石油天然気)は10日、親会社のCNPC(中国石油天然ガス集団)の保有する油田に、総額207億4000万人民元(約2700億円)を出資することで合意した。
      ペトロチャイナの発表によると、同社は、CNPCが保有する中国、カザフスタン、ベネズエラ、ペルー、アルジェリア、オマーン、アゼルバイジャン、カナダ、エクアドルの油田の権益50%を買収する。また、同社は、これらの油田を管理する会社を、CNPCと50%ずつ出資して設立する。ペトロチャイナが保有するインドネシアの油田も、新会社が管理することになる。ただ、同合弁事業には、米国の経済制裁の対象となっているスーダンの油田は含まれない。(10th,June ’05)

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