ポスト小泉について(三)

 新聞やテレビは「麻」「垣」「康」「三」などといって有力政治家四人のうちの誰がポスト小泉のレースのトップにいるのか、といった競馬じゃあるまいし、ばかばかしい下馬評に浮き身をやつしている。マスコミのくだらない所である。

 すでに観察した通り、第三次小泉内閣は論功行賞をまるで絵に描いたような構成である。ということは、この内閣のメンバーは閣外から白い眼で見られていることを意味する。武部幹事長などは得意満面でいるが、最も党内の一部から軽蔑され、憎悪されていて、時機がきたらばまっ先に粛清される人物であると思われる。

 今までの自民党のように党内合意の上に少しづつ評価を得て階段を昇ってきた人々ではない。竹中平蔵氏も小池百合子氏も政権が変わればやはりまっ先に葬られるだろう。否、今回のおべんちゃらで入閣したメンバーの大半は政権が交替すれば冷や飯を食わされる側に回る人々である。

 首相の任期はあと一年だと公言されているが、四年間は衆議院選挙をしないでいい。自民党内はいま、小泉首相をコン畜生!と思っている人と、小泉時代が終るのを恐怖している人とに別れているといっていい。いわゆる小泉チルドレンの83人は勿論後者である。

 小泉の続行が自分の最大の利益に適う人、つまり小泉時代が終ったらもう自分も終りだと思っている人は党内でいま過半数の勢力ではないだろうか。だとしたら、彼等が平成18年9月の小泉政権の終焉を必死に阻止しようとするなら、数が多いのだから、それを実現するのになんら苦労はいらないだろう。

 私はそういう推理を立てている。ポスト小泉はやはり小泉である。「狂気の政権」が続く不幸の可能性の方がそれが一年後に終る幸福の可能性よりも大きいと見ている。小泉氏の奸智は小泉再選を合唱する仕組みを今度の改造内閣の内に埋め込んでいるといっていい。

 小泉氏はこのあといかにも温厚に、間もなく身を引く運命を静かに待つ大人物、礼節のある紳士のふりをしていればいい。党内の半分以上がすぐ自分は困ったことになると気がつくだろう。「小泉チルドレン」の中には早く猪口邦子のようになりたいと思っている人が少くないだろう。そういう人がヂリヂリと動き出す。今度の入閣で権力を握った左がかった勢力が、どうして麻生内閣や安倍内閣を望むであろう。竹中内閣も可能性はあるが、権力の身の処し方を彼はまだ知らず、多数派が自分を守るのにまだ頼りにできない、そう思うだろう。ほかの誰でもない、やはり安定しているのは小泉首相の続投だ、という気分に次第になっていくだろう。

 方法はいくらもある。中曽根方式で、特例としての総裁任期の一年延長という前例がある。次の参議院選に勝つまで、という理屈も案外に有効である。しかしあと一年で退任すると公言した以上、小泉氏の顔も立てねばならない。任期は自民党総裁のそれであり、総理の任期は無期限である。

 「総総分離論」はいままで自民党の歴史で何度も出てきた。総裁と総理の分離である。以下はどこまでも私の推理であり、根拠のない空想だが、武部自民党総裁、小泉内閣総理大臣、という妙手もあるのである。否、小泉氏の計算の中にすでに入っているアイデアではあるまいか。

 それに、なにも自民党の名にこだわる必要はない。もう一つ別の新しい名前の党に取り替えて、別の党にしてしまえばいいのである。自民党をぶっ壊すと言ってきたのだから、堂々とそれをやればいい。彼がそこまでやる気があるのなら、面白いことになってくる。本当に面白いことになってくる。

「ポスト小泉について(三)」への8件のフィードバック

  1. 優勢な将棋が最も辛い場面はどうしても駒を動かさなければならない時だ・・・下手な横好きの私でさえも、しばしば将棋を指していてそう感じる時がある。ヤグラ戦になると、絵に描いたような見事な布陣が出来上がる場合がある。王将を奪うよりもこのまま終了してしまいたくなる時がある。それに照らし合わせると、小泉氏の二つの本音が見えてくる。一つはこのまま去りたいという見掛け通りの気持ち。もう一つは局に臨んだ以上は王将を捕って終わりたい欲望だろう。そこに小泉チルドレンの思惑が重なると、さらに欲望は剥き出しになり、綺麗なヤグラは一気に崩れ出す。
    元々彼の首相としての実力は、将棋で言えば初段クラスの初歩技術しか持ち合わせていなかった・・・と、子供達がそれを暴く形に成り兼ねないと、先生はおっしゃりたいのではないか。私は次の一手をそう読んだ。

  2. 小泉さんは、辞めるでしょう。彼の無茶苦茶な経済政策は、破綻が近づいています。最後の破綻まで、自分が引き受ける気はないでしょう。
    また、他人事のように、「増税の時期が早すぎたかねえ?」などと、素っ頓狂なコメントをするでしょうね。

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