『日本と西欧の五〇〇年史』への感想(三)

長谷川三千子氏(埼玉大学名誉教授・哲学者)より

 拝啓 このたびはご著書『日本と西欧の五〇〇年史』をたまはり、有難うございました。自分の原稿書きにかまけて、御礼がおそくなつてしまひましたこと、お詫び申し上げます。御論の通り、五〇〇年前といふ時期は世界的な規模での大変換が起った時期で、私はこれは(以前『ボーダレス・エコノミー批判』に書きました通り)端的な崩壊現象だと見てをります。アダム・スミスの「楽天主義」も、むしろ無意識の内にそこから目をそむけてゐたが故のもの、と私には見えました。

 いづれにせよ、現在の世の中は、空間の秩序が壊れ、人と地、人と物、人と人の関係が稀薄になって、回復の道はどこにも見えない状態―そんな気がいたします。こんな時こそミネルヴァのふくろうが飛び立たねばいけないのでせうが・・・・・

 しかし、膵臓ガンからのご回復、本当にようございましたね!

 私の大学での同僚も、十年余り前に膵臓ガンの手術をいたしましたが、その後元気で本を書いたり講演をしたりしてをります。「憎まれつ子、世にはばかるって言ふぢゃない!」といつも彼女を冷やかすのですが、どうぞ大いに「憎まれつ子」の実力を発揮して、お元気でおすごし下さいませ。

                    かしこ

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