「株式日記と経済展望」からの書評(四)


 現在西尾幹二先生自身の筆による「西尾幹二のインターネット日録」は休載中ですが、許可を得て、管理人(長谷川)が西尾先生関連のエントリーを挙げています。
 
 今回は、「ブログ株式日記と経済展望」から、西尾先生の文章の論評を、許可を得て転載します。今回のものは昨年(平成18年)9月13日に書かれたものです。その予見を一年たって読むのも面白いものです。なお、この文章は『国家と謝罪』に掲載されています。

憲法改正に5年もかけるという気の長さはやらないと言っているに等しい

安倍氏が中国への対決姿勢を捨て協調路線を散らつかせて、憲法
改正に5年もかけるという気の長さはやらないと言っているに等しい

2006年9月13日 水曜日

◆<自民総裁選>安倍氏VS参院自民 参院選めぐり波風

毎日新聞の記事はこちらを参考にしてください。

◆「小さな意見の違いは決定的違い」と言うこと(五) 9月13日 西尾幹二

 いま新聞や週刊誌は誰が大臣になれるかなれないか、幹事長や官房長官の座を射とめるのは誰か、そんな話題でもち切りである。誰が大臣になっても同じだと嘲笑う一方で、誰それは必ず何大臣になりそうだとかなれそうでないとかの情報をまことしやかに、さも大事そうに伝える記事も忘れずに書く。
 
 マスコミの習性は昔から変わらない。そして学者や言論界の予想されるブレーンの名前を添え書きするのも毎回同じである。ただ今回は、「新しい歴史教科書をつくる会」の紛争記事でおなじみになった名前、岡崎久彦、中西輝政、八木秀次、伊藤哲夫の名前がたびたび登場するのが注目すべき点であろう。

 当「日録」でしばしば扱われてきた方々が新内閣のブレーンとして重職を担うということになるのだそうである。もしそれが事実であるとすれば、「歴史教科書」をめぐって最近起こった出来事、すなわちかの激しい紛争と安倍新政権とがまったく無関係だと考えることは、どうごまかそうとしても難しいだろう。

 「日録」に掲げられた「つくる会顛末紀」「続・つくる会顛末紀」をお読みになった方は、「つくる会」紛争のキーパーソンが日本政策研究センター所長の伊藤哲夫氏であったことに薄々お気づきになったに違いない。旧「生長の家」の学生運動時代において、「つくる会」宮崎元事務局長と同志であり、「つくる会」元会長八木秀次氏とは師弟関係、あるいは兄貴分のような位置関係にあると見ていい人だと思う。

 思えば安倍政権の成立に賭けてきた伊藤氏の永年の情熱には並々ならぬものがあった。それは悪しき野心では必ずしもない。自分の政治信条を実現するうえで安倍氏は最も役に立つ、という判断に立っている。「安倍さんは自分たちの提案を一番聞いてくれる」と伊藤氏はよく言っていた。

 伊藤氏はシンクタンクの代表者であり、アドバイザーである。昭和天皇冨田メモ事件における安倍氏の記者会見の発言は伊藤氏に負う所大であると秘かに伝え聞く。これからも伊藤氏は安倍新内閣を側面から扶助し、相応の権力を分与される立場に立つであろう。

 伊藤氏がそうなることは氏の永年の夢の実現であり、昔の友人として私はそのような状況の到来を喜んでいる。氏は思想家ではないと自分で自認している。氏は言論人でもない。政治ないし政界にもっと近い人である。フィクサーという言葉があるが、そういう例かもしれない。故・末次一郎氏のような役割を目指しているのかもしれない。

 伊藤氏のような仕事を目指す方がこういう補完的役割を果すということは、それ自体はとても良いことなのだが、中西輝政氏や八木秀次氏は学者であり、言論人であり、思想家を自称さえしているのであるから、伊藤氏とは事情を異にしていると言わなければならない。

 中西輝政氏は直接「つくる会」紛争には関係ないと人は思うであろう。確かに直接には関係ない。水鳥が飛び立つように危険を察知して、パッと身を翻して会から逃げ去ったからである。けれども会から逃げてもう一つの会、「日本教育再生機構」の代表発起人に名を列ねているのだから、紛争と無関係だともいい切れないだろう。

 読者が知っておくべき問題がある。八木秀次氏の昨年暮の中国訪問、会長の名で独断で事務職員だけを随行員にして出かけ、中国社会科学院で正式に応待され、相手にはめられたような討議を公表し、「つくる会」としての定期会談まで勝手に約束して来た迂闊さが問われた問題である。中国に行って悪いのではない。たゞ余りに不用意であった。

 折しも上海外交官自殺事件を厳しく吟味していた中西輝政理事に、会としてこの件の正式判定をしてもらうことになった。高池副会長が京都のご自宅に電話を入れた。その日の夕方、中西氏からそそくさとファクスで辞表が送られてきた。電話のご用向きは何だったのでしょうか、の挨拶もなかったので、会の側を怒らせた。

 上海外交官自殺事件その他で、中国の謀略への警告をひごろ論文に書いている中西氏が、八木氏の中国行きを批判し叱責しなかったら、筋が通らないのではないだろうか。書いていることと行うこととがこんなに矛盾するのはまずいのではないか、という中西氏への非難の声が会のあちこちで上ったことは事実である。

 中西氏は賢い人で、逃げ脚が速いのである。けれども「つくる会」から逃げるだけでなく、もう一方の会からも逃げるのでなければ、頭隠して尻隠さずで、政治効果はあがらないのではないだろうか。とすればもう一方の会からは逃げる積りがないことを意味しよう。

 伊藤哲夫氏の日本政策研究センターは安倍晋三氏を応援する「立ち上れ!日本」ネットワークという「草の根運動」を昨年末ごろに開始している。安倍氏もそのパンフに特別枠の挨拶文をのせている。総裁選のための人集めと思われる。中西輝政氏も、八木秀次氏もそこに名を列ねている。

 すべてのこうした複数の名前が鎖につながれるように一つながりになって、「つくる会」を「弾圧」する側に回っていた背景の事情を、私はとうの昔に見通していた。しかし世の中は、安倍政権が近づいて、学者や言論界のブレーンの名前が新聞に出ないかぎり、どういうつながりが形成されていたかをなかなか理解しない。

 伊藤哲夫氏が「立ち上れ!日本」ネットワークのような特定政治家応援の運動を展開することは氏の自由に属する。氏の本来の仕事でもあるから結構なことである。

 私は伊藤氏のそうした政治活動を非難しているのではない。伊藤氏よ、間違えないで欲しい。

 そうではなく、伊藤氏が宮崎元事務局長を死守しようとして「つくる会」の人事権に介入し、八木秀次氏の「三つの大罪」(前回参照)を認めずに八木氏を背後からあくまで守ろうとして、一貫して「つくる会」を「弾圧」する理不尽な行動を強行したことを私は責めている。氏はこの事実をまず認め、反省してほしい。

 そして衆目の見る処、伊藤氏の「つくる会弾圧」の力の源泉は安倍晋三氏にあると考えざるを得ない。そのことが新聞に名が出ることで誰の目にも次第に明らかになってきた。

 総理大臣になる前に安倍氏がかねて最も大切にしていたはずの「歴史教科書」の会を混乱させ、分断にいたらしめたことに自ら関与しなかったにしても、結果的に、間接的に、関与していたという事情が次第に明らかになることは、安倍氏の不名誉ではないだろうか。

 「歴史教科書」と並ぶもう一つのタームである「靖国」に対しても、安倍氏は総理大臣になる前に、その遊就館の陳列の改悪に関して、岡崎久彦氏を使って手を加えさせようとしたのではないかという疑念がもたれている。

 私は今の処この件に関し背後の闇に光を当てる材料をもたない。しかし安倍氏ご本人が忙しくてどこまで自覚しているかは分らぬにせよ、伊藤哲夫氏や岡崎久彦氏のような取り巻きがこのように勝手に動いて安倍氏の首班指名前の歴史に泥を塗るようなことが起こっているのは事実ではないだろうか。

 私は伊藤氏が「歴史教科書」に関して八木氏が犯したような「三つの大罪」を犯しているなどとは全く考えていない。しかし、氏が「八木さんは悪くない。八木さんを支持して下さい」とあっちこっちで言って歩いていたのは間違いない事実である。

 以上のような八木氏の持上げは伊藤氏が安倍晋三氏の指示を受けてやったことなのか、ご自身の勝手な判断で安倍氏の意向を汲んでのことなのか、それともまったく安倍氏とは関係のない自由判断なのか。

 そのことは時間が経つうちに次第に明らかになるだろう。

 私は「つくる会」の紛争に安倍氏が無関係であったどころか、並々ならぬ関与があったのではないのかという疑いに一定の推論を試みているのである。「歴史教科書」と「靖国」という外交上の条件を新政権の成立前にともかく替えてしまいたい。その手先になって働く者は誰でもいいから利用したかったのではないか。

 安倍氏の靖国四月参拝は、小泉八月十三日前倒し参拝と同じ姑息な一手に見えてならない。氏が中国への対決姿勢を捨て協調路線を散らつかせているのも気になる。今さら憲法改正に5年もかけるという気の長さはやらないと言っているに等しい。国民の反応よりも、アメリカの顔色をうかがっているのかもしれない。参議院候補者の見直しは唯一の勇気ある態度表明だが、もう恐いものなしと見ての党内大勢を見縊っての発言であって、総裁選より参院選の方が心配だからである。中国とアメリカへの彼の態度の方はいぜんとして不透明で煮え切らない。

 「歴史教科書」を新米色に塗り替え「靖国」の陳列にアメリカへのへつらいを公言した岡崎久彦氏の干渉は、安倍氏の意向の反映でなかったと言い切れるか。

 12月末中国を不用意に訪問し、定期会談を約束し、慰安婦や南京で朝日新聞を失望させない教科書を書くと「アエラ」発言をした八木秀次氏の軽薄な勇み足は、安倍氏の外交政策の本音をつい迂闊に漏らした現われでなかったと果して言い切れるか。

(私のコメント)注:私とは株式日記と経済展望の著者2005tora氏のことです。

小泉内閣の功罪としては権力を官邸に集中させた事ですが、安倍氏が新首相になった場合にうまく機能するだろうか? 小泉首相はYKKの時代から経世会を相手に渡り合って来たから、ある程度のリーダーシップは持っていた。安倍氏の場合はタカ派のイメージではあっても政局の修羅場の経験があまりない。

日本の総理大臣がこれだけ権力が集中すると責任の重さに潰されてしまった首相もかなりいる。ある意味では日本の総理大臣はアメリカの大統領よりも権力が集中している。アメリカの大統領には議会の解散権はないし、二期八年経ったら辞めなければならない。それに対して小泉首相は自己の判断だけで衆議院を解散させてしまった。

それくらいのワンマンでないと日本の総理大臣は務まらないのかもしれない。かつては権力が分散して各自に任せていればよかった時代もあった。だから誰がなっても総理大臣が務まったとも言えるのですが、安倍氏が総理大臣になったときに集中した権力を使いこなす事ができるだろうか?

これだけ権力が集中すれば総理の周りには多くの有能なスタッフがいないとコントロールしきれない。そのスタッフのメンバーとして中西輝政、岡崎久彦、八木秀次、伊藤哲夫氏などの名前が挙がっている。小泉首相にはとくにブレーンはおらず亡国のイージ○が全て裏で動き回った。それに対して安倍氏は裏で動く人がおらず、汚れ役がいない。

小泉首相が独断で行動が出来たのも、亡国のイージ○が全て裏で手配して動いてくれたからですが、今回も安倍氏は来年の参院選での候補者の人選について見直すと言っていましたが、誰が決定をして誰が根回しをするのだろうか? このような実務を取り仕切る人が必要なのですが、単純に小泉首相の真似をしてもうまくいくはずがない。

おそらくは森派の森会長と亡国のイージ○が同じように総理大臣を動かして行くのだろうか? さらにはアメリカ政府のバックアップもなければ安倍政権は長続きできないし、しばらくは小泉首相が作った組織を引き継いで行くしかない。とくに大臣人事は政局の原因になるだけに細心の注意が必要ですが、自薦他薦が渦巻いて小泉流にやるのも大変だ。

政策ブレーンも登用する話も出ていますが、小泉流に民間から大臣を登用するのも人気取りにはなりますが民間登用大臣は結局は飾りにしかならず、竹中氏も最終的には国会議員になった。だから政策ブレーンも人気取りに過ぎないのでしょうが、最初は国民の支持率を高めるために何でもやる必要がある。

株式日記では安倍氏の支持も不支持も決めていませんが、靖国問題や憲法改正問題などでの妥協的な態度が気になります。5年がかりで憲法改正では自分の任期中には憲法改正はやりませんと言っているに等しく、靖国神社も今年の8月15には参拝しなかった。つまり対中政策も妥協的になるのだろうか?

西尾幹二氏のブログに寄れば、安倍内閣では政策ブレーンに「作る会」のメンバーの名前があがっていますが、「作る会」の分断工作にも安倍氏が絡んでいるのだろうか? それとも亡国のイージ○が動いたのだろうか? 

同じ保守派思想にも、自主独立路線と、親米路線がありますが、私は理念としては自主独立であり、現実的対応として当面はアメリカとの同盟を組むと言うスタンスなのですが、日本での親米派は理念としても自主独立を放棄してアメリカべったりなのだ。

文・株式日記と経済展望:2005tora氏

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です