奇妙な企画だと思うが、SAPIO(2010・5・12)が「日本史上最強の女傑は誰か」というアンケートを企画し、第10位に美智子皇后が選ばれ、私がそこに短い文章を書くように求められた。
ちなみに選ばれた10人は次の通りである。
1位 北条政子
2位 神功皇后
3位 春日局
4位 日野富子
5位 淀殿
6位 坂本乙女
7位 山本(新島)八重
8位 乃木静子
9位 野村望東尼
10位 美智子皇后
なかなか難しい。私の知らない女性もいる。美智子皇后に寄せた私の添え書きは以下の通りである。
無言の説得力を持ちこの国の中心を担う
明治時代を代表する日本人は政治家にも軍人にもいる。昭和時代を支えた人は誰か。「新しい歴史教科書」でコラムを作成するとき昭和天皇に衆議一決した。ならば平成時代は?まだそんな段階にはならないが、私は美智子皇后を挙げるだろう。
平成時代は国力の停滞と下降の時代だが、皇室が国民共同体の中心であることはこの方のおかげで守られてきた。民間人から嫁がれて格別のご苦難は国民周知だが、「私はいつも自分の足りない点を周りの人々に許していただいてここまで来たのよ」(雅子妃に語った言葉として伝えられる)は日本人の理想とする皇室の徳、つつましさ、控え目、ありのまま、清潔、謙譲、飾りのなさ、作為のなさ、総じて慎重な心づかいを自然体で現わしていて、しかもその節度と品格ある生活態度の中に、凛として清冽(せいれつ)なつよさをつねに感じさせるものがある。
女傑とか女丈夫とかの概念とは余りに違うようにみえるが、外国にお出まし賜ってそのお人柄には人を魅了し感服させる無言の説得力のあることがわかり、日本国民として誇らしくも、嬉しくも感じられる。
昭和天皇亡き後、「第二の敗戦」といわれた平成の御代に、何とかご皇室を、そしてこの国を、ここまで持ちこたえさせてこられたのも、国の中心に魂のあるご存在がおられたからである。
私は先日「皇室と国家の行方を心配する往復メール」(六)で、美智子皇后のテレビ報道が人格主義に傾くことは最良の皇室報道ではない、という意味のことを書いたのに、私の文章はその傾きを免れていない。自説に矛盾して申し訳ない。しかし、皇后について書けばどうしてもこういうことになるのは何とも致し方ない。ここに書いてある通りに普段考えているから、正直その通りになった。
尚アンケートは日本史上最高の美女の10人という企画も同時に行っていて、興味があると思うのでついでに紹介する。
日本史上最高の美女10人
1位 お市の方
2位 細川ガラシャ
3位 小野小町
4位 陸奥亮子
5位 和泉式部
6位 原節子
7位 額田王
8位 山本富士子
9位 弟橘媛
10位 石井筆子
10位 吉永小百合
10位 山口百恵