ホリエモンは別の話ですから、ここではどうでもいいのですが、二つの運用を託された会社は郵貯と簡保の民間会社になりますから、国民の虎の子がどの手に渡ろうと、すでに政府の管理の外であります。運用権をいつどこに売るのも自由であります。ところが驚くべきことが行われているのです。郵政民営化法案が通るかどうかもわからない2003年11月、郵貯と簡保の資金の運用先の公募が行われました。これは勿論、すでに現在の郵政公社で外国の投資会社への委託運用が始まっていることを意味しますが、民営化以後も同様であることが方向づけられています。翌年3月に発表されている公募の投資会社は次の通りであります。
郵便貯金資金の委託運用 2004年3月31日
(1)投資顧問会社
【国内株式】
シュローダー投信投資顧問株式会社
大和住銀投信投資顧問株式会社
日興アセットマネジメント株式会社
三井住友アセットマネジメント株式会社
メリルリンチ・インベストメント・マネージャーズ株式会社
UFJアセットマネジメント株式会社
【外国株式】
興銀第一ライフ・アセットマネジメント株式会社
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社
以上8社(50音順)
(2)資産管理銀行
資産管理サービス信託銀行
ステイト・ストリート信託銀行
日本トラスティ・サービス信託銀行
日本マスタートラスト信託銀行
以上4社(50音順)
簡易生命保険資金の委託運用については省略
ご覧の通り、アメリカ系の投資会社がズラーっと名前を並べているわけであります。つまり、政府は民営化法案が通る前から、このお金を外国の投資会社、運用してくれる会社を公募して許可しているわけです。どこの新聞も書いていないですね。賭博運用の準備は既に完了しているじゃないですか。大々的にいつでも始められる、アメリカは待ちかねている。だから小泉さん、竹中さんは早く早くとせかされているわけであります。
なぜでしょう?先ほど2007年と私、言いましたね。2009年からアメリカは自国の年金制度の改革のために、1兆ドルのお金がいるということが言われています。2009年から、1兆ドルすなわち110兆円すなわちということを言っているんです。これはアメリカの国民の年金ですよ。年金が行き詰っていて、個人が支払いこむのと、バランスがとれなくなっているので、ここで大改革をしなくてはもたないところまで来ているようですよ。日本の国民の年金じゃないですよ、アメリカ国民の年金ですよ。
2009年度から6年間にかけて改革があるでしょう。アメリカはこのファイナンスをジャパンマネーに期待すると、宣言しているんです。隠していないんですよ、アメリカは全然。日本の金を使うことは表面的にはたしかに陰謀でもなんでもないんです。投資への要求です。資金は国境を越えて有利な方へ動いていくものだという考え方に基づきます。2004年9月1日日米首脳会談でブッシュ大統領は小泉総理に、10月1日の日米財務省会談でスノウ長官が、財務大臣に、それぞれ日本の郵政民営化に対する強い関心と期待を語っておりました。、10月7日には町村外務大臣がゼーリックアメリカ通商外商部代表との会談で、同様な関心と要求を聞いております。日本政府へのストレスは日増しに高まってきていたのであります。日がせまっているんです。
今述べた通り、たしかに陰謀ではないけれども、堂々と表玄関から入ってきた要求であり、命令であり、そして圧力であることは明かなんですね。
例えば、今までにも、生命保険の業界がアメリカにさんざん食いものにされてきたことは知る人にはつとに知られていますよね。テレビのコマーシャルが「日生のおばちゃんが自転車で♪」と歌っていたのはいつか消え、「アメリカンファミリー!」と叫ぶようになっているでしょう。
日本の生保業界は機関投資家の代表として米国債をむりに買わされていました。円高で、為替差損で、大ダメージを受けます。そこへ、アメリカ政府による市場開放要求があって、米国系の保険会社が大手を振るうようになったのはテレビのコマーシャルを見てたって分りますよ。
これって堂々たる謀略ではないですか。陰謀ではなく、政治的謀略そのものではないでしょうか。郵政を六つの会社に分社化して、郵貯と簡保を政府から切り離して、米国の市場開放要求にそのまゝさらせば、何が起こるか、分り切っています。惨憺たる運命が待ち構えているでしょう。
アメリカの郵政は国営なんですよ。ニュージーランドその他、民営化して失敗した国ばっかりです。なのになぜ日本に対して、アメリカはかくも性急に民営化を迫るのか。おりしも日本では新会社法というのが――これ新聞で時々見るでしょう、新会社法――というのが出来て、強引に、これもアメリカの要求、100%のアメリカの要求でできた新会社法、商法改正です。100%アメリカの要望で、外資に買われやすい三角合併というものが導入されているんです。余りにも危険なものですから、ホリエモン騒ぎがあったあと、日本政府は一年間会社法の中のこの部分だけ決定を延ばしました。しかし、一年は間もなく来ます。
三角合併というのがどういうことかというと、アメリカの会社が三角の頂点にあったら、日本の買いたい会社が右下にあるとする。これで直接現金で買うのは高すぎて買えない。しかし左下にアメリカの子会社を作り、その子会社を通じて、アメリカの株でもって日本の会社を買えるというやり方なのです。株で買うということが、いかに恐ろしいかというのは、アメリカの株価と日本の株価がどんどん差を開いて、バブル崩壊からさらにひどくなっている。日本の企業はとても優秀で、技術も高く、生産性もブランドイメージも良い。だけれどもそれは株価に反映していないんですよ、日本は。そういうことは、皆さんだいたいおわかりだと思います。
私が雑誌『正論』に経済学者でもないのに、なんでこんなことを私がさかんに言わなくてはならないのかと嘆きつつ、「アメリカとの経済戦争前夜に備えよ」という論文を書きまして、この本に入っています。この本、知っていますか。 で、皇室問題も、教科書問題も書いてありますよ。買ってくださいね、こういう本をね。(爆笑)
地方の人からよく聞くんですが、私の本を買いに行ったら、本屋に売っていないんだと言うんです。東京の本屋でも店頭からあっという間に消えますよ。地方の人だけ不便なんじゃないんです。注文すりゃいいじゃないですか。一週間で来るんですよ。『民族への責任』西尾幹二著、徳間書店。1600円。こんなに厚くて安い。本屋に注文しなくても、今はインターネットで、アマゾンというのを打つとパンパンと、ボーンと送ってきますよ、一週間で。私ももう本屋で本を買わない時代ですよ。本屋に行って買う暇がないからインターネットで買うんです。
私が言いたいのは、この本の中に「日本の金で日本を買う」というモチーフが書かれている。アメリカは日本から流れこんだお金で日本の会社を買う。郵便貯金会社や郵便保険会社をも買収してしまうかもしれない。日本の企業の株価が低いために、いかに買いやすくなっているかという実例を申し上げますね。
以下は何の比較かというと、会社の時価総額なんです。時価総額というのは株価に反映しているんです。
石油 ・エクソンモービル(米)を100 とすると ・新日本石油は3
金属 ・アルコア(米)100 ・新日鉄 52
製薬 ・ファイザー(米)100 ・武田薬品 15
日用品 ・ピー&ジー(米) 100 ・花王 10
飲料 ・コカコーラ(米) 100 ・キリンビール 9
小売業 ・ウォルマートストアーズ(米)100 ・イトーヨーカ堂 7
銀行 ・シティグループ(米) 100 ・三菱東京FG 24
三菱銀行も買収の対象なんです。これはどういうことかというと、株価を下げてから、買収にとりかかるからで、三角合併がいかに恐ろしいかというと、現金で買うんじゃなくて株で買えるということなんです。つまり子会社は合併できるということいなっているから、これに対して経済産業省が今必死の防衛を考えているけれども、多分おそらくだめでしょうね。日本がだめなのは裁判になっちゃうんですよ。この間のホリエモンの裁判のように、裁判所が防壁にならないんですよ。裁判所がどうにもならないところがあるんですよ、日本って変な国で。大体、国を売る人間が役人に多い。ね、教育委員にいっぱい国を売る人間がいて、教科書がうまくいかなかったように、財務省の役人でも、金融庁の役人でも、総理大臣までが平気で国を売る人間なんだから、本当の話ですよ、これは。とんでもない話です。
今申し上げたように、そういうことで、郵貯と簡保のお金は地球上に残った最後の手付かずの金であります。アメリカは日本に74兆円のアメリカ国債を買わせているんですけれども、日本の力が限界に近づいていることに、アメリカは気がついておりまして、あとどうやったら日本から金が引出せるかということを着々と考えております。
郵便貯金会社、郵便保険会社は旧勘定のお金の運用を任されている民間の会社でありますから、アメリカは運用を委託されている投資会社、さきほど申したシュローダー、メリルリンチ、ゴールドマンサックス、ステート・ストリートなどを通じてアメリカ国債を買わせるわけですよ。これ文句言えないんですよ。アメリカ国債の方が金利が高いから、日本の国債買うよりは。民間会社なんだから自由じゃないですか。より高いものを買うのは当り前の話だから。でアメリカ国債を買います。
というと、いつの間にか、日本のお金はどんどんアメリカに流れて行って、アメリカのファイナンス会社の子会社と三角合併でやることもできる。日本のお金で日本の会社を買うんです。やり方はいろいろあるんだが、この法案のポイントの一つは、資産と運用を分けたところに狡猾なミソがある。資産はその株を51%以上は売らないよと、株を守ればいいのに、そういう制約をつけることを小泉さんは拒否した。そして資産と運用を分けた。これが狡猾極まりないやり方で、このように機能を二分割したことによって、わが小泉政権は、国民の虎の子の財産を外国に売り渡そうとしている売国奴政権であるということは紛れもないと、私は確信しております。
だから政府は急いでいるんです。だからあせっているんです。だから恐怖政治を敷くようなことまでしてやっているんです。そして、じっと財務大臣はこんな顔をして、知らん顔です。小泉さんは中曽根さんのように、次の総理大臣を指名する指名権まで持ったら、誰を指名すると思いますか。安倍さんは絶対しません。谷垣ですよ、必ず。だって、財務省を守ろうとしているし、その闇を隠そうとしているし、自分のやっていることを、秘密の裏まで知っているのは財務大臣なんですから。私はそう睨んでいますけれど。そうして、日本はがっぽりアメリカにお金を持って行かれる。
その次起こることは日本が韓国のようにIMF管理の下に置かれる国になり、ように、やがてアルゼンチンのように失業者が多発して、どうしようもない国に落ちていくであろうということを申し上げておきたい。