鎌倉市議を長くつとめた伊藤玲子さんが今度後進に道を譲り、人生最後の課題として、地方議員に保守系の新しい女性議員を次々と送り出したいと仰言る。自分の知っている議員になるためのノウハウを有能なご婦人に教えていきたい、ついてはそういう人を紹介しれもらえまいかといわれて私がすぐに思ううかんだのは、いうまでもなく長谷川さんである。
伊藤さんにいわせると、世に議員になりたがる女性は多いが、大半が左翼である。これでは困る。保守系女性議員が増えないと、教育も行政も良くならない、と。
この話を長谷川さんにしたら、保守系の女性はまず自分の家庭と家族を大事にするので、なかなか議員にならない。あるいはなれない。理由は簡単です、というのである。
長谷川さんはお嬢さま育ちで、医者の奥様である。一男三女の母親である。家族と医院を支え、つくる会の広島支部事務局長をつとめてなおかつ「インターネット日録」によく時間が割けるものと感服する。
さて、世の中にはさまざまな女性がいて、長谷川さんのような迷いのない強靭な人もいるかと思うと、迷いを見せまいとして迷っている、強気が表に露骨に出て、しかも決して愚かな人だとは思えないが自分の知力一筋に頼むあまり危くみえる女性もいる。
未知の女性から一通の奇妙な手紙が来た。「本を読んでの感想」と封筒の裏に書いてあるので、期待をして開いたら、のっけから私をからかう言葉で始まる。何とかして侮辱しようと苦心している風が全文にみなぎっている。が、読み終わって、私はなぜか怒りがわいてこなかった。
案外私と同じようなことを考えてもいる。私からそれほど遠いわけでもない。しかし書き方は徹底的に私を愚弄している。これは新しいタイプの女性かもしれないと思って、この手紙を紹介することとする。
自著を出すと一つや二つ必ず面白いこういう手紙が届くものである。
西尾博士殿
貴方様ほどのエリートが皇室すなわち雅子様の虚像のキャリアや日本民族に関して完全な誤解をなさっておいでなのはもったいないことで貴方様ほどのエリートならば雅子様を本気で相手にするのも滑稽です。もっと狡猾にならなければなりません。
雅子様は田園調布双葉編入、東大中退、オックスフォード大中退、外交官試験ノンキャリア受験、ハーバード大卒と言っても米国の大学の在籍期間は3年で学位は教養学位しかもらえないこと(ドイツの大学は卒業すると日本で言うならば修士号のレベルの学位が授与されますよね、私もドイツに留学していたので知っています)は皆が知っているしインターネットの掲示板では有名です。
日本の一流大を卒業した雅子様より若い戦前の大地主などの旧家出身の女性達は皆海外の大学で博士号まで取得し様々な国際資格や難関の国家資格を取得すれば完全に雅子さまよりもキャリアが上になることを知っているので、もう誰も雅子様を相手にしていないし、地道に日々努力して自己研鑽しています。
雅子様がドレスを着て華やかな皇室外交をしたいならしたいだけさせてあげればいいし、それで雅子様の虚栄心が満足させられ、戦後の米国による植民地化で肥え太らされた労働者階級(それは贅沢な小作人を意味する)が自分達の成功の象徴としてピザとティファニーを愛する雅子様が欧米できらびやかに活躍するのを熱狂を持って迎え、女系天皇が誕生して日本神話から連なる歴史が完全に途絶えれば雅子様は日本プロレタリア革命の女王として永遠に歴史に偉大なる功績を残すことになるのです。
貴方様は日本国と日本民族が未だに存在していると勘違いしているようですが、日本国なんていう国は、もうずいぶん以前から存在しなかった。この国はナポレオン帝国下のワルシャワ公国と同じであり、戦前の地主などを支持基盤とする最も保守的であるはずの自民党、行政機関、皇室こそが最もワルシャワ公国なのであり、日米安全保障条約は双子の赤字を抱える偉大なる世界の基軸通貨ドルを外貨準備に持ち、そのドル資産で世界一の外貨資産の保有者だと誇る累積債務財政赤字国家日本と米国との間の連隊保証債務と同じです。
連帯保証人は、金を借りたひとが金を返せなくなったら代わりに金を返してあげなければならない。二つの大学中退という華麗なるエリート・キャリアを持つ米国帰国子女雅子様は双子の赤字を持つ強い米国ドルの象徴であり皇太子は円の象徴であり二人の結婚はドルと円との完全な愛の結晶を意味し、この連隊保証債務によるオーストラリア・ハンガリー帝国は力強い米国株式相場に支えられて永遠に繁栄するのです。
私は今二つ目の学位(一つ目はドイツ哲学、そして今は経済学)を取得している最中ですが、この後修士号を取得したらスイスのロザンヌ大学で博士号取得を目指し、もう日本には戻ってこないつもりだし、私の友人達にも米国以外の海外で博士号取得を目指して真の国際人になって二度と日本に戻ってこない方がいいと勧めています。
連帯保証人には近づかない方がいい。私は靖国の英霊達が、もう自分達の郷土と自分の生家と自分の氏神と郷土の地主神だけを守って自由に羽ばたいてくれと言っているように思えてなりません。貴方様のようなエリートが幾ら頑張っても日本国と日本民族は、もはや存在しないのです。
日本が再び生まれ変わるとき、それは米国ドルが暴落して米国株式市場が崩壊し、米国が世界の覇権国でなくなるときです。でも、そのときの日本は、もはや古代神話から続いた日本ではなくなるのではないかと私は思っています。大和朝廷による神話が成立する以前の、その郷土、その郷土の守り神と長い歴史を土台にした新しい国が生まれる可能性はあると思います。
(原文改行なし・適宜改行)