九段下会議の歩みと展望(一)

お知らせ

つくる会のホームページでは、文部科学省の許可を受けて、教科書採択の透明化の一環として教科書の一部を公開しています。(約100ページ)

 なお、市販本については、現在扶桑社が諸手続きをしているところであり、時期については未定です。

《テレビ出演》 
TVタックル「靖国問題を徹底討論する」(仮題)
7月11日(月)21時~22時テレビ朝日

《講演》
 「これでよいのか!日本の姿勢」
7月9日(土)午後2時~4時30分
鎌倉市 鶴岡八幡宮境内 直会殿
(JR鎌倉駅下車 徒歩10分、Tel 0467-22-0315)
参加費:  ¥1000
主 催: 教育を考える湘南地区連合会・鎌倉市の学校教育を考える会
      教科書を良くする神奈川県民の会
代表連絡先: Tel 0467-43-2895(木上)

=========================
 九段下会議の歩みと展望(一)

 九段下会議は『Voice』(平成16年3月号)に提言を掲げたのを機に、各界に幅広くよびかけ、協賛の原稿を募集して約50人のメンバーを選定して、民間審議会としてスタートさせていただいたのはご報告ずみである。

 当「日録」の書き込み者の中からも10人近くが参加しているが、ハンドルネームでそれがどなたであるかは明示していない。

 まず一年の歩みを以下に表示する。

平成15年5月29日 九段下会議「第一回会合」
(代表西尾幹二・中西輝政)
安倍晋三・中川昭一両議員出席
           以後、毎月1回のペースで研究会を開催

平成16年 3月 1日 提言「国家解体阻止宣言」を『Voice』3月号に発表
     
5月 1日 同「宣言」をパンフレットにして広く頒布活動開始
    
7月26日 第一回「オープンフォーラム」
             賛同者に呼びかけ約50名が結集。
             民間審議会を作り、外交防衛、ジェンダーフリーと少子化問題の
             二つの部会で研究を続けることえ決定。
             安倍晋三・衛藤晟一・山谷えり子、城内実議員が出席
     
       9月24日 第一回「外交防衛問題部会」
             講師・平松茂雄杏林大学教授・・・中国の海洋覇権戦略
     
       9月27日 第一回「ジェンダーと少子化問題部会」
             講師・野牧雅子公立中学教諭・・・「過激性教育」の実態

      10月27日 第二回「外交防衛問題部会」
             講師・亀井浩太郎元陸将補・・・「南西」脅威論について

      11月24日 第二回「ジェンダーと少子化問題部会」
             講師・米田建三前内閣府副大臣・・内閣府官僚との戦い

      12月14日 第三回「外交防衛問題部会」
             講師・山内敏秀前防衛大学校教授・・・中国潜水艦の脅威

平成17年1月25日 第三回「ジェンダーと少子化問題部会」
            講師・西尾幹二・八木秀次・・・『新・国民の油断』の内容

      2月25日  第四回「ジェンダーと少子化問題部会」
             講師・光原正元郵政官僚・・・国連とフェミニズム

      3月25日 第四回「外交防衛問題部会」
             講師・吉野準元警視総監・・・情報国家のすすめ
 
      4月25日 第五回「外交防衛問題部会」
             講師・太田文雄前防衛庁情報本部長・・・情報と国家戦略

      5月25日 第六回「外交防衛問題部会」
             講師・馬渕陸夫前キューバ大使・・・日本外交の緊急課題

       7月1日 二部会・合同会合

 ※「九段下会議」の活動の一環として国会議員との共同研究会「情報国家構想」
  研究会を6月15日に発足、内容は以下の通り。

 代表 西尾幹二・衛藤晟一(衆議院議員・厚生労働副大臣)
 座長 中西輝政

 第一回研究会  講師・中西輝政
 第二回研究会  講師・菅沼光弘(元公安調査庁第二部長)

 メンバーを「外交防衛問題部会」と「ジェンダーと少子化問題部会」との二つに分け、前者は日本政策研究センター主催のシンポジウムに、後者は『新・国民の油断』の出版にそれぞれ成果として結実し、各々が一つの結節点となった。

 次いで、九段下会議から独立した「情報国家構想研究会」が起ち上がり、現在17人の衆参両院の議員を入れた勉強会が開始された。ここには九段下会議のメンバーは一、二を除いて参加していない。

 7月1日に一年目を迎えた九段下会議で、今後どうするかを含めた相談会がもたれ、冒頭約30分、私が中国の新しい現実を踏まえたうえ、米中のはざまに立つ日本の問題点について、スピーチをした。以下にその内容を公表する。

 尚、会議の一年を振り返り、会場を提供し事務局を運営して下さった伊藤哲夫日本政策研究センター所長が事実上の会の中心であったことをお伝えし、御礼申し上げる。

======================

 丁度一年経つのでしょうか。われわれは、二つの部会に分けて、「防衛、外交」とそれから「ジェンダー、教育問題、少子化」、つまり外と内というふうに二つの部会に分けて会の運営を始めたのですが、現実にはくっきり分かれたわけではありません。また、テーマそれ自体も最初に二つずつ別個に上ってきたのではなくて、内的にからみ合って一体になっているものでした。便宜上、外交と内政とに分けてみただけです。

 われわれは現実に具体化した何かの結論を出したいと考え、ただ観念的に討議をしているだけではだめだという気持が非常にあった。そういう気持で始めた会議でした。

 第一歩として、成果が一つだけあがっているわけです。ここにおられる皆様に全員参加していただいたわけにはいかなかったのですが、たった今申し上げた通り、「情報国家構想研究会」というのを外部で立ち上げることに成功しました。これにはこちらにおいでの飯田耕作様の、御資金の援助がございまして、可能になりました。おかげさまで有難うございました。

 まだ始まったばかりで、まず最初は情報国家の実態、インテリジェンスの国際比較を研究にしている中西輝政さんの話をみんなが聞くということで、主として自民党の若手の、自発的でしかも主体性のある議員の皆さんにおでましいただいて、熱心で約10数名のメンバーが集って、その人たちに話しを聞いてもらうという、そして討議を深めていくということで、少しでも実行の世界に移していくということが目的でしたから、ここの会からはインテリジェンスのことを専門に勉強している柏原竜一さんが一人、参加されています。中西先生と私の両方の関係者でもあるので、そういうことでお願いしておりまして、他はご参加いただけないということで、申し訳ないんですけれども、会場も外部ですし、またご希望があれば別途考えます。別に閉ざしているわけでは全くないので、そのことは個別に考えていきたいと思います。

 ですが、観念論を展開するだけではなくて、さっき申し上げた通り、一歩でもとにかく何か現実化したいというのが我々の気持でした。まず第一部会の方面の、外交防衛の問題を展開していくうちに、どうしても情報国家、インテリジェンスの問題が重要だということに自然になってきまして、この会の中から、それなら、専門特化の勉強をすべきだということで、しかもそれを、我々だけが研究するのではだめで、志ある政治家を仲間にしていかなくてはいけない、ということから、そういう方向が一つだけでも実現したのだということを、ご了解いただきたいと思います。

私のささやかな愛国心

お知らせ

つくる会のホームページでは、文部科学省の許可を受けて、教科書採択の透明化の一環として教科書の一部を公開しています。(約100ページ)

 なお、市販本については、現在扶桑社が諸手続きをしているところであり、時期については未定です。

《テレビ出演》 
TVタックル「靖国問題を徹底討論する」(仮題)
7月11日(月)21時~22時テレビ朝日

《講演》
 「これでよいのか!日本の姿勢」
7月9日(土)午後2時~4時30分
鎌倉市 鶴岡八幡宮境内 直会殿
(JR鎌倉駅下車 徒歩10分、Tel 0467-22-0315)
参加費:  ¥1000
主 催: 教育を考える湘南地区連合会・鎌倉市の学校教育を考える会
      教科書を良くする神奈川県民の会
代表連絡先: Tel 0467-43-2895(木上)

西尾幹二の現在までの著作==========================
私のささやかな愛国心
guestbunner2.gif

岩田温(いわた あつし)

昭和58年生まれ。現在早稲田大学政経学部四年生。
専攻分野は政治哲学。歴史、哲学、文学も幅広く勉強していきたいと考えている。
勉強すればするほど日本が嫌いになっていく現在の日本には失望しつつも、日本への愛着との一点から勉学、活動を行っている。現在NPO法人磐南総合研究会(http://www.wadachi.jp/)代表を務める。

 複数の人間がお金を出し合って、一枚のソフトを購入し、それをコピーして皆で共有するという光景を御覧になった方はいないであろうか。

 この行為は法律では明確に禁止されているにも拘わらず違反者は罪悪感をほとんど伴っていないかのように見える。むしろ、彼らはまるで当然の行いであるかのごとく、平然と違法行為を行う。だが、考えてみれば一つのソフトを複製することは、その会社からもう一つのソフトを騙し取っている、ありていに言えば盗んでいることと同じことである。つまり、万引きと罪の重さは全く同じであるといえよう。ただ、その犯行の容易さ、検挙率の低さのみが圧倒的に異なっているだけのことである。そして、この点からこの種の詐欺が横行している。

 逆に言えば、万引きとて容易であり検挙率さえ低くなれば横行するのが、悲しいかな、日本の現状ではないか。犯行そのものを憎むのではなく、捕まるというその恐怖のみで犯罪を避ける、倫理的に弛緩しきった民族の姿がここに明らかであろう。彼らは、そのソフトが作成されるまでに幾多の人々が努力を積み重ねてきたかなどは全く慮ることもなく、平然と詐欺をやってのけるのである。
 
 国家の栄枯盛衰には国民の精神的な力、創造的な活力が大きく関与するのは、ローマ帝国、大英帝国の衰亡の例を挙げるまでもなく歴史の鉄則である。その点から考察しても現在の日本の状況は殆ど危機的といっても過言ではあるまい。
 
 だが一方で、日本の田舎風景の一つに「良心市場」と称される無人販売店がある。市場とは言うものの、畑のほんの一角にこじんまりと野菜と箱が置いてあるだけのものである。この販売が成立しているところに、私は日本人の美徳を見出す。そしてこの美徳こそが日本の繁栄を支えてきた、精神的活力の源泉なのではなかろうか。
 
 近年愛国心の復活が叫ばれて久しい。当然のことである。だが、愛国心とは口だけの表層的なものではあるまい。あるいはサッカーでの馬鹿騒ぎのみがまともな愛国心の発露ではあるまい。
 経済的合理主義的立場から考えれば愚かな行為と呼ばれるかもしれない。だが、それでも私は違法コピーを憎み、拒み続けたいと思う。
 
 何故なら、それが私のささやかな愛国心の発露だからである。

教科書展示会に出かけて

お知らせ

つくる会のホームページでは、文部科学省の許可を受けて、教科書採択の透明化の一環として教科書の一部を公開しています。(約100ページ)

 なお、市販本については、現在扶桑社が諸手続きをしているところであり、時期については未定です。

《テレビ出演》 
TVタックル「靖国問題を徹底討論する」(仮題)
7月11日(月)21時~22時テレビ朝日

《講演》
 「これでよいのか!日本の姿勢」
7月9日(土)午後2時~4時30分
鎌倉市 鶴岡八幡宮境内 直会殿
(JR鎌倉駅下車 徒歩10分、Tel 0467-22-0315)
参加費:  ¥1000
主 催: 教育を考える湘南地区連合会・鎌倉市の学校教育を考える会
      教科書を良くする神奈川県民の会
代表連絡先: Tel 0467-43-2895(木上)

==========================

長谷川真美
banner-s.gif
 

 今話題になっている教科書問題とは、科目ごとにいくつもある教科書会社の15社の中に、中学校の歴史・公民の教科書としてたった1社が参入したことに対する大騒ぎをさしている。

 4年前の教科書採択で、私はその決定権限が法律的にあるとされる教育委員であった。自分で調査し、歴史教科書では扶桑社を推薦する結論を提示したが、選定委員会が答申したものを覆すことはできなかった。その時の経緯については『正論』(2005・5月号)に「今だから明かす、私が教育委員を辞めさせられた理由」で詳しく書いた。あの時の無念をはらすためにも、今年こそは常識的な教科書が日本の中学生の手に渡ることを願っている。この4年の間に、教科書会社は常識を取り戻してきたのだろうか。

 6月中頃から、教科書展示が日本全国で行われた。私の住んでいる市では、7月1日まで展示していると広報に載っていた。つくる会に反対している人のブログでは、扶桑社の教科書は恐ろしいと、根拠のない印象操作で、ありもしない恐怖を煽りたてている。私は真偽を確かめるためにもと、会場に出かけて行った。

 市役所の6階、602会議室が展示場だ。8畳位の大きさの部屋の真ん中に大きなテーブルがあり机の対角線に1m50cmくらい、本がズラッと立てて並べてあった。その他には「本市の使用教科書一覧」「教科別教科用図書採択対象発行者一覧(平成18年~21年度使用)」と裏表に書いてある紙と、アンケート用紙が置いてあった。

 30代くらいの係りの女性――市が雇ったアルバイトだそうである――が一人、静かに机について何かをしていた。一日目は最初から最後まで、他の誰も入ってこなかったので、私と彼女の二人だけ。二日目は60代の男性が入って来た。教育委員会に県の選定資料について、コピーしていいかどうかを聞いてくると言って、出て行ったきり、帰ってこなかったので、両日とも、開いたドアの向こうを市役所の人が通りすぎる気配のほかは、本をめくる音だけが聞えていた。

 今回は中学校の教科書なので学年別も分けて数えると134冊ある。国語にも家庭科にも音楽にも、そして英語にも問題があることが言われているが、これら全部に目を通すわけにはいかない。私は歴史教科書の中で、自分が住んでいる市が採択しており、日本全体のシェアの半分以上を取っている東京書籍を調べることにした。

 幸い、三浦朱門氏編著の「全『歴史教科書』を徹底検証する」や、東京都教育委員会の資料、広島県の選定資料(教育委員会から借りてきた)他、多くの調査資料が手元にあったので、実物をこの目で対比しながら、その指摘している問題点の真偽を確かめることから始めようと思った。その中でもまた、私は歴史上の人物に的を絞ることにした。

 私自身は高校の時には世界史を選択したので、実は日本史は余り詳しいわけではない。そんな私でも知っている人物、私程度の一般的な人間が知っている人物に注目してみればいいのではないかと思った。他の教科書では大体取り上げられているのに、東京書籍には一字も取り上げられていない人物で、特に気になった人物をピックアップしてみたのが以下である。

 明智光秀、新井白石、石田光成、柿本人麻呂、行基、勝海舟、小村寿太郎、、昭和天皇、高杉晋作、東郷平八郎、北条時宗、明治天皇、野口英世、吉田松陰

 小学校の学習指導要領で、必ず学習するようにと指定されている人物も7人いる。明智光秀は、東京書籍以外には全部掲載されている。吉田松陰は、他の教科書会社は一社を除いて全部扱っているが、東京書籍は取り上げていない。どうやって明治維新を説明するのかと思って、その時代のページをめくると、「安政の大獄」が載っていない。索引にもない。小学生では勉強しなくても、中学校では勉強すべき人物達ではないか。

 柳宗悦という人は、朝鮮半島の陶磁器を見直し、それらを作った半島の人々を敬愛した人である、と写真入りで半ページ割いて書いてあった。石井十次という人は他の教科書には全くでてこないが、これも肖像画と関連写真を使い丁寧に説明してある。私は展示場で教科書を読むまで、これらの人物が何をした人か知らなかった。有名な人を省き、無名の人を載せる、このバランスの喪失は近隣諸国への配慮から来ているのだろうか。

 正直いって、本当にがっかりした。従軍慰安婦という言葉は消えたが、それ以外は以前とほとんど変わっていない。

 中学校の歴史の勉強で、その後一生歴史を勉強しない人はたくさんいるはずだ。最小限度の日本の歴史常識のはずなのに、肝心の人物達を教科書に載せないのは犯罪的だとさえ思う。教科書会社最大手の東京書籍が今までと同じように採択されるとなると、日本の半数以上の中学生に歴史常識を養う機会が奪われることにもなる。

 私は
「現在話題になっている歴史教科書を調べてみました。本市が今まで採用している会社の教科書には、明智光秀、新井白石、石田光成、柿本人麻呂、勝海舟、昭和天皇、高杉晋作、東郷平八郎、明治天皇、吉田松陰が載っていません。

 歴史常識を教えることの出来ない、この会社の教科書の採択には反対します。」
とアンケートに書いて帰った。

 どんなに図版が美しくても、どんなに課題学習の提示が豊富でも、歴史常識を教えることが出来なくては、歴史教科書とはいえないのではないか。

新刊『民族への責任』について(十一)

お知らせ

 つくる会のホームページでは、文部科学省の許可を受けて、教科書採択の透明化の一環として明朝より教科書の一部を公開します。(約100ページ)

 なお、市販本については、現在扶桑社が諸手続きをしているところであり、時期については未定です。

==========================

 本日は三氏からいたゞいた拙著の書評と感想を紹介する。

(1) 力石幸一氏(産経新聞平成17年6月11日)
 

 本書が取り扱う問題は多岐にわたる。扶桑社版の『新しい歴史教科書』に対する中国、韓国のヒステリックな反応、ジェンダーフリーという歪(いびつ)なフェミニズムの存在など、何年も前から顕在化していたテーマもあれば、日中中間線付近での中国のガス田開発や竹島問題、そしてホリエモンによる敵対的企業買収と新会社法への疑義など、この半年あまりの間に急激に浮上してきた問題もある。内と外から日本を揺るがすこれら一連の出来事は、一見すると相互に関連がないように見える。しかし、その背後には「日本人の弱さ」が見え隠れしてはいないだろうか。

 対立を避けようとソフトでつつましい性格は、日本人の美質と言っていい。日本の住みやすさはこの性格に大きく依存している。しかしその美質は、外国からの攻撃の前には自我の弱さとして現れてしまう。敵は外だけとはかぎらない。国家を内側から食い荒らすシロアリのような勢力の跋扈(ばっこ)を許してきたのもこの日本人の弱さではなかったか。敵を見ようとしない弱さこそが、戦後60年の空白の中心に横たわる問題なのだと説く本書の指摘は鋭い。

 じつは本書の企画は4年前に遡(さかのぼ)る。当時、西尾先生からタイトルを聞いたとき、「民族」という言葉にどこかどぎつい印象を感じて、反対した覚えがある。しかしいまその印象はなくなった。そのことがこの4年間の危機の深まりをよりいっそう強く感じさせる。問題はさまざまである。しかしそれを受け止める民族の性根は変らない。そこを見据えることからしか、民族の再生はありえないはずだ。本書のテーマは深く重い。

                    徳間書店 一般書籍編集長 力石幸一

(2) 小堀桂一郎氏(私信)
 

 『民族への責任』御恵興にあづかり御芳志忝く、厚く御禮申し上げます。今回はその標題からして、文字通りの並々ならぬ責任感を讀み取って、襟を正す思ひでした。就中、皇位継承問題にも立言して頂けたこと甚だ嬉しく存じます。保守を自称する小粒の言論人達は「敵」の手強さを知らないのです。その他の諸々の問題にしても、小生から見て、これだけ言はれてもまだわからないのか―と言はずにゐられない現在の亡状に憮然とするばかり、とにかく頼りにしてゐます。

(3) 大西裕氏(7月9日の私の鎌倉講演の主催者)
 

 民族への責任 読まさせていただきました。話題が直近の反日運動、領土問題、人権擁護法案から、皇位継承、アメリカとの経済戦争など、深みのあるテーマ、また、先般の教科書採択の生々しい実相など多岐にわたり、かつ、余計な遠慮のないタッチであるため、じつに迫真ある力に圧倒される思いです。
 
 最近いくつかの、活字にはふれておりますが、本書からはある感動が伝わってまいりました。

 勿論事象についての深いご理解があっての事でしょうが、いわば、論理的予言性とでもいうべき、将来への示唆を含みひさしぶりにある興奮を覚えています。
(歴史的証言の書として保存さるべきものですね)

 7月9日には、ぜひこれに基づき講演をお願いいたします。

 ついでに講演の日時をお知らせする。

 7月9日(土)午後2:00~4:30
 鎌倉鶴岡八幡境内 直会殿

新刊『民族への責任』について(十)

 この本の中から、あまり人の気がつかない、しかし本人は気が利いたことを言ったと少しだけ得意に思っている文章をひとつ引用させていただく。

 

戦闘において無類に強いアメリカは、イラクで戦術の甘さを露呈した。戦闘の終了後、50万人の大軍を派遣して国境封鎖と武装解除を徹底すれば、イラクの今の不始末はない。そう進言した武官の提案を退けたラムズフェルドの誤算である。

 「次第に明らかになってきた事実だが、米国はフセイン政権を倒した後のイラクをどうするかについて、明快な青写真を描いていなかった」(江畑謙介『日本防衛のあり方』KKベストセラーズ)

 戦後のイラクに第二次世界大戦後の日独方式が当てはまるだろうとの幻想を脱していなかったからである。アメリカのような用意周到な国も過去のイドラにとらわれている。アメリカだけでなく、どの国も過去の幻想に生きている。北朝鮮が半世紀前のソ連製の武器と地下壕だけで重武装のつもりでいるのも、イラクがアメリカ軍との開戦でフセインに勝ち目はないのに、湾岸で生き残った「フセイン政権自身は生き残れると考えていた」(江畑前掲書)のも、みんな過去のイドラにとらわれている自己幻想の姿である。ソ連消滅後に日米安保はもう日本防衛用ではなくなっているのに、北朝鮮問題がある限り、あたかも安保が有効であるかのように信じている日本も、過去のイドラを抱えて生きている。

 今の世界はどことなく箍(たが)が外れて、いささか滑稽である。そういう言い方は流血の犠牲者には相済まぬが、各国は互いに尻尾を出し、腹を見せ、間が抜けている。アメリカといえども例外でないのは今見た通りである。

 物事を少しばかり斜めから見ると、喜劇に見える。こんな風にも見えるではないかと、書いた本人は少し得意になっている。笑いながら読んでいただきたい。しかし笑わせておいて、ヒヤッとさせようと、私はすぐつづけて次のように書いた。

 

であるとすれば、北朝鮮に対してもアメリカは「明快な青写真」なしで、いきなり軍事行動に走らないとはいえない。海兵隊の上陸作戦と平壌の占領がない限り、空爆を始めてもらったら困る。日本が一番困る。

 アメリカが海兵隊を上陸させて平壌を占領してくれないと、本当になにも解決しない。空爆だけされたら、半島は反米一色になり、おいしいご馳走は全部中国の頂きである。日本は困ったことになる。

 結局、中国の体制が崩壊し、ソウルに軍事クーデターが起こらない限り、何も当分動かない。

 私の目にはだから今のところはすべてが喜劇的に見える。喜劇と悲劇は紙一重である。

 私の本にはこんな観察もあるということをお伝えしておく。

中国からの圧力

guestbunner2.gif

中村与志也

『男、三十代、東京在住・・・。お嫁さん募集中・・・。
田中真紀子のように、よく通る、ある意味「うるさい」文章表現能力を持つ・・・^^; だが、その思想は、田中真紀子の「浅はかなアカ主義」と全く反対のベクトルである!
現在の、保守的に攻しつつも、共産主義の亜種・左翼に侵され続ける日本の現状に歯軋りし続けている。
そのおかげで、奥歯がボロボロだ。
一人になっても、戦い続ける所存だ。
自サイトでは、プライベートなことも書いてるのだが、書けば書くほど、謎が深まる「ミステリーボーイ」である。
それは、饒舌でありつつも、けして言わないことがあるからだろう・・・。
それは、「非合法」な問題などではなく、「愛」と言う<業>の問題か・・・。』

中国からの圧力

『俺を好きにならなかったら殺す』という、究極の社会通念破壊発言で名をはせた、少女監禁魔・露天商手伝いの鄭隆之・・・。
凄まじきは、暴力をもってして、好意を持った相手の心を支配しようとする精神性だ。・・・この男、在日だそうだ。
が、その犯罪の性質に、在日朝鮮人としての民族的特質を見るよりも、私は、昨今の中国人民の、政府主導による反日活動を重ねて見てしまう。
中国が日本に突きつけているものは何か?
狂人国家の北朝鮮はさておき、韓国は曲がりなりにも、それが事実認定において間違っていようとも、信念に沿った日本への強硬な態度を示しているようだ。
だが、中国は違った。
鷹揚な大国と思われた中国が、崖っぷちの、なりふり構わぬ、内実スポンジ的国家と言うことが、日本の大衆レベルでも分かってきた。
その「反日」には、日本と衝突に値する具体的事例などは、もはやない。
靖国参拝問題も、歴史認識問題も、領土問題も、東シナ海ガス田開発問題も、そして、常任理事国入り問題さえも、私には関係ないと思えるのだ。
いや、ある意味、その全てをひっくるめて、中国は、「日本の精神を屈服させる」ために、一連の「反日」行動に出ているのだと考えられる。
そう、上記の在日犯罪者が、女の子にとって最も大切な恋愛感情を暴力で支配しようとしたように、だ。
日本の精神を服従させた時、日本の全てが手に入るって寸法だ。
中国は、韓国の扱い方などは慣れていよう。「<属国>としての兄貴格」を与えればいいのだから・・・。それで、韓国は満足するだろう。・・・その程度の国体だ。
しかし、大陸の歴代王朝は、その半島の先の島国・日本の扱いに通算二千年以上も悩まされてきている。
「日本への<洗脳>は、何故、完遂できないのだろうか・・・」 中国の首脳は思い続けてきたことだろう。
中国共産党自体も、ここにきて、我が儘にも堪忍袋の緒が切れ始めたのだ。具体的事例一つ一つづつ解決していくのに疲れたのだろう、十把一絡げの解決法としての「暴動」を扇動したのだな。
あまりにも無法で、国際常識を蔑ろにした中国の対日外交だ。無理を通せば道理が引っ込むと言ったゴリ押しのダメ押しだ。←こうして、言葉にしてしまうことで、文字に表現出来ない、馬鹿げた中国共産党政府の、あまりにもの稚拙さ・杜撰さを伝えられなくて口惜しい。
・・・しかし、別に世界各国が何と言おうと関係ないのだろう。中国13億人・・・、それこそが「世界」になってしまうような大きな人口なのだから・・・。

中国は、実質は他国を属国、建前上は東アジア共同体の宗主国を目指すのだろうが、日本の左翼どもが参考にしているEU共同体は、その共通憲法の制定に際し、さっそく御フランスが国民投票にて否決したぞ! ほころび始めたぞ、案の定^^;