以下、富樫氏から最近私が聞き書きし、同時に重要な個所をご自分の筆でメモを書いてもらいましたので、両方を用いて叙述します。
富樫氏は宮崎氏にいくら聞いても埒があきません。宮崎氏も「あなたがそんなに疑問があるなら、自分で業者に直接聞いてくれ」と言い、一緒に心配する風はない。つまり、宮崎氏はこの額にびっくりしていないのです。
彼女は大変なことになったと考え、コンピュータ会社の業者に会う前にソフトに詳しい専門家の意見を聴取したいが、第三者に内情を知られるわけだから、田中英道会長(当時)に電話で知人のソフト専門家に調査を依頼してよいかと尋ねた処、「どうぞ、どんどんやって下さい」とのことで、はっきり覚悟ができて、小林図南(となみ)氏にたのみました。調査は1月21日に行われ、「システム環境報告書」と称され、1月27日の理事会に提出されています。どうかこれをクリックしてよく読んで下さい。1728万円を請求されたコンピュータソフトの能力に関する、第三者による査定、一人の専門家の判定です。
平成15年1月17日、富樫氏は直接業者に会って質問をする場がセットされました。小林図南氏の報告書はこのとき間に合いませんでしたが、ともかく会社の担当者に面談したのです。なぜかその場に種子島氏が出て来ていました。
以下富樫氏の文章です。
当日、種子島財務担当理事、宮崎事務局長も同席した。両名は、始終業者寄りの発言をし、ことごとく私の疑問を否定して、つくる会側の利益を代表するのではなく、まるで業者側の者であるかと錯覚するぐらい業者側の立場に立った発言であったので、私は、これまた驚愕の事態で、一体全体どうなっているのか一瞬わけがわからなくなった。
① 本来、契約条件は明確にして取引されるのが通常であるのにすべてが口約束ですすめられていることの異常性、
② この契約が相見積もりを取って選定し、決定したものでない随意契約で、しかも事務局の関係者に由来する契約であること、
③ つくる会にとっては相当な高額投資の案件であること、
④ 当初発注のSQLシステム仕様になっていないものが納入され、半素人が作成した従来のソフトに比して機能の向上が全くない同じものに1000万以上の投資額にのぼることをどのように解釈するべきか、
⑤ ①~⑤の疑問について宮崎事務局長、財務担当理事の種子島氏が全く私と見解を異にして、しかも私の疑問を種子島氏は、頭ごなしに業者の前で面罵したことにこの取引の不可解さが一層増した。
それから面罵されたときどんな対話だったかを思い出して、富樫氏には以下の通り補足しています。よほど腹に据えかねたのだと思います。
その時の応接室で業者と宮崎氏の前で種子島氏から言われたことは、以下のとおりです。
① 「あなたには会計のことは頼んでも、このようなことは頼んでいないので口出しするな。」
これに対して私は、このような投資に係わる契約は会の財産の変動を及ぼす事項であり、これは、まさしく会計領域に属しますと反論いたしました。② 「ソフト開発というものは、当初予算よりオーバーするものであり、通常起こりうることだ。私がBMWの社長時代の10年程前に、当初3000万円の投資が5000万円になった契約をした経験がある。この金額が高いものではない。」と発言した。
③ 「財務担当の私に一番に相談すべきなのに、私の頭ごしに、田中会長、西尾名誉会長に相談するとはなにごとか。ビジネスの世界では、根回しというものがあることは、あなたは、知らないのか。女であってもそれくらいの常識は、知っているでしょう。」と言われてしまいました。
今まで、種子島氏に相談しても、なにかと意見が違い私の進言を聞き入れてくれなかったので、直観的に、種子島財務担当理事をとうさず、田中会長、名誉会長に相談したことを不服として仰ったものと思います。
日本の社会で「公認会計士」とは地位の高い、ビックな存在です。女性だからと思ってなめたのか、大変な侮辱です。彼女は企業その他で数多くの仕事をこなしていますが、「つくる会」ほどひどい扱いをした例はほかにないでしょう。
1月27日に富樫氏は「新会員管理システム移行取引について」の文書を理事会に提出。小林図南氏の判定を添付しました。2月10日にも「同文書の理事会決定事項への提言」を出し、会計士としての道理ある正義の立場を貫こうとしました。
しかし彼女は理事会には出席できません。代りに私がこの取引の異常性を訴えました。契約書もなにも揃っていなかった不始末、相見積りをとっていない努力不足、金額が高すぎること、契約は全面的に破棄すべきことを訴えました。私は二度の理事会で数字をあげ、書類をかざして叫んだのですが、そのつど会議室はシーンと静まり返って、なにも起こりません。
種子島氏に全面委任、事務局長を今さら困らせることはできない、という沈黙で、静まりかえって誰もことばを発する人がいません。たゞ素頓狂な発言をとつぜんした人が一人いるのではっきり覚えています。
高森氏が、「でも契約書も、請求書も、見積書もみんな後から追っかけて、富樫さんに作ってもらって、みんな間に合ったんでしょう。じゃあ、いいじゃないですか。」
藤岡氏は財務の一件になるといつも完全に沈黙します。後で人から聞きましたが、「西尾氏がコンピュータのことで騒ぐのは、田中会長を困らせ、追い落とすための工作だ。」こんなことを言ったというのです。
私が声を大にして叫んでもビクともしなかった会の空気、しめし合わせて私の質問を封じた壁のような抵抗――その背後に何があるのかいまだに私には分りません。
読者の皆さんは、この「名誉会長」は我侭で、好きなように会を動かして来たといわれ、それを信じているようですが、コンピュータ問題に関する限り、てこでも動かぬもの、どうやっても開かない「開かずの扉」の前で私ははね返されました。誰が何を隠しているのか、私にはいまだになにも分りません。
しかしこの謎がずーっとつづいていて、それがオペレーターのMさんを立往生させた平成16-17年のシステムの不具合の連発につながってくるのです。