「人権擁護法」という狂気の法案 (その五)

お知らせ

 先日、横浜関内で行いました講演会の模様の放送が、日本文化チャンネル桜であります。

前編 平成17年3月17日(木)夜12時~1時
後編 平成17年3月18日(金)夜12時~1時

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「人権擁護法」という狂気の法案 (その五)

 今日16日に私の目に入った重要な三つの情報をお届けする。Aは他のネットにすでに流れているようだが、日録のコメントにあったのを採用する。長文だが、多くの人が読む必要がある。

A――10日の自民党法務委員会の討議内容の記録。

B――法務省に電話で問い合わせた人の対話(その四、にある)の続篇。再度の対話の試みの結果。

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A
人権擁護法案の自民党法務部会の経過報告について

3月10日 自民党法務部会 人権擁護法案審議経過
(出席議員40名強)

部会長 平沢勝栄議員(推進派・衆・東京14区)

○最初に古賀誠議員から、今国会に提出したいという強い思いを込めた挨拶があった。

次に人権擁護局長より、法案の説明を7点に絞って説明あり。

○法務省の外局とすること、現行の法律は廃止すること、人権委員はあらゆる人権救済を行うことや調停したり法廷に訴えたりする作業を行うこと、報道問題については2年内に検討すること、この法案は5年を経過したら見直しを行うこと、

部会長より以上のような案を15日の閣議に提出したい旨告げられ、議員より発言

古川禎久議員(反対派・衆・宮崎3区)
(資料1枚あり)差別はあってはならない。しかし4点ほど、疑義がある。

○「人権侵害」という定義があいまい。曖昧なままでは、罰則規定もあるので、表現の自由に抵触する虞あり。

○2万人の人権委員の選定過程が不透明。「特定の団体」とされているが、どのような団体を指しているのか分からない。法の下の平等に触れる可能性あり。

○出頭要請や立ち入り検査、勧告、公表などをする、とあるが、これは社会的な制裁になる。裁判所を通さずにこれを行使することは、憲法との関係に照らしてどうかと思われる。

○法務省の外局に置くとのことで司法権能を持つことになる。わが国には司法制度があるのだから、その拡充をはかればよいではないか。別に作るのは不自然である。三権分立に反しないか?城内 実議員(反対派・衆・静岡7区)
(2枚資料あり)石川議員が本質をついた質問をされたと思う。

○立法趣旨は賛成である。が、疑問がある。
○2条に「その他の」とあるが、あらゆることが人権侵害が対象となってしまう。
○3条2項には人権侵害の「予防」もできることになっているが、これも疑問である。

○人権侵害の基準は当事者によって基準が違う。なんびとも申し出ることができる、となっているが、どういう客観的な基準が考えられるのか。
○22条3項について、住民であれば人権委員になれる、となっているが、在日外国人でもなれるということか?また、人権を保護するような団体から選ばれるとあるが、例えば朝鮮総連などはどうなのか?それに入るのか?
○84条に公私の団体の緊密な連絡、とあるが、朝鮮総連や従軍慰安婦の裁判などを行った団体などは緊密な連絡を取り合う団体となるのか。
○憲法33、34、35条に関連するが、令状無しで立ち入り検査まで行えるのは権限を与えすぎではないか。
○訴えられた者が結果的に人権侵害していない、ということになったら、その人はどう救済されるのか?信用回復は難しい。訴えられた者の人権も守られなければならない。
同和と在日の人が同時に互いを訴えたら、どうするのか?
○似非同和などが、人権委員会に訴えるぞ、と脅す可能性も懸念される。

以上について法務省答弁
○人権の定義の曖昧さについて
定義は人間に備わった権利、として一定にあり明らかである。国際条約などにもあるとおり。
○不当な差別の曖昧さについて
差別の定義は憲法14条にある。
○罰則規定について
行政罰ではないし、直接強制力ではない。民事の罰則だから問題ない。
○国籍条項について
各地の実情に応じて外国人も任命しろと言われて、こういう規定にした。

外国人が公務員になるというような公権力行使の立場に就くことはできないが、相談に乗るという人権委員にはなってもいいと思う。ただし、立ち入り調査をする権限などは与えられない。

○三権分立について
独立行政法人だから司法制度を補完するものだから問題なし。

○特定の団体について
朝鮮総連などは現行法と同じ扱いである。ただ、人権委員を選ぶとき、議会にかけ、弁護士会などにも相談することになっている。朝鮮総連などが人権団体に該当するかと言われれば一概には言えないが、それが人権に関係する団体かどうか、という基準で決まることである。外国人の多い所などでは、そういう団体から選ばれる可能
性はあるし、そういう余地は残すべきだと思う。

佐藤剛男議員(推進派・衆・福島1区)

○古賀会長に感謝申し上げている。2002年、自分も部会長をやったが、刑務問題が浮上していたので、やれなかった。

○野党は人権委員会を内閣府に置け、とその当時は言っていたが、古賀会長の努力でここまで来れたことを感謝する。各論はあるだろうし、報道機関問題凍結という問題はあるが、今回は国会に提出すべきである。国連にも人権委員会があるし、それを活用して推進すべきである。

佐田玄一郎議員(不明・衆・北関東)
○古賀先生に敬意を表している。

報道によるプライバシー侵害は、根本的におかしいと思っている。朝日・NHK問題を糾明しているが、きめつけ報道がひどい。メディアの削除を野党は主張しているが、凍結してほしい。

大村秀章議員(推進派・衆・愛知13区)
○ぜひ成立させてほしい。個人情報保護法案の時もマスコミ規制2法案と言われて、マスコミの問題は落として成立させた。この際、削除しないと成立しないのではないか。

○人権委員会を法務省におきたい気持ちは分かるが、解同の人が自分の所にも来るが、彼らも面子があり退かないので、内閣府で通せばよいではないか。亀井郁夫議員(反対派・参・広島)

○自分の所に広島から何本も電話が来た。泣くような声で、慎重にやってほしいという電話だった。

○差別はいけない。しかし、部落解放の問題は、広島ではひどかった。部落解放からのつるし上げで

30人も自殺者が出た。同和の予算も莫大についていたが、黙って耐える期間が長かった。

○かつては教育県だったのに、日本で最低になり、暴力は一番になった。

○3年間でやっとここまで正常化した。

○広島の懇談会において「団体との緊密な連携をもって」という言葉が入っていたために、教育に解放同盟が介入した。

○今回の法案が通れば、また悪夢がやってくる。

○マスコミも警察も部落から脅されつるし上げられたのだ。だから自殺者が出ても報道されなかった。

「公私の連絡を取って」の「私」などは大変なことになる。

○人権擁護局が今あるのに、そこでなぜ人権救済をやれないのか。

古賀誠議員(人権問題等調査会長)
○一部の団体のため、という誤解があるようだ。自分のところにもそういう批判がきている。決してそうではない。大臣の諮問機関で議論されて答申されたものだ。

○修正すべきは修正されなければならないだろう。しかし、一部の団体のため、という誤解を解いてもらわねば先には進めない。

法務局長
○広島でのことに自分はかかわった。警察には屈するな、とハッパをかけた。

衛藤晟一議員(反対派・衆・比例九州)
○何もできなかったじゃないか。

法務局長
○いや、だいぶ良くなった。

柴山昌彦議員(反対派・衆・埼玉8補)
○先ほどの説明では外国人は相談に乗るだけ、とのことだったが、それはちゃんと条文に書いてあるのか?

○権力が付与されるのだから人選についての透明性をはかってほしい。

○法務省外局にするのは現実的だろうが、古川・城内先生の指摘は杞憂ではないと思う。
法務省
○外国人は中央の委員にはしない。一般調査と救済は分けてある。

早川忠孝議員(反対派・参・北関東[埼玉4区])

○富山県庁にいた時代、似非同和にあたった。亀井先生のご指摘どおり、
○大変だった。古川・城内さんの指摘は正当である。運用する上で危ないことになると思う。その重大性を分かった上で法案を考えるべきである。渡辺博道議員(推進派・衆・南関東比例)
○賛成したい。個人情報保護法にかつてかかわった。マスコミ問題は削除してほしくない。

谷 公一議員(反対・衆・兵庫5区)
○30年前、地元兵庫で八鹿高校事件というのがあり、関わってきた。亀井先生の気持ちが分かる。国は解同に主体性を持ってあたっていない。

○法案の趣旨は賛成だが、運用が心配である。城内・古川さんと同じだ。

佐藤 錬議員(反対派・衆・九州比例)
○冒頭で若手の城内・古川さんが資料を配布したが、純粋な気持ちで出したのに、真剣に法務省は答えなかった。文書で答えるべきだ。答弁もなめたような言い方だった。

○また「その他」「予防」「おそれがある」と言った文言に懸念がある。ちゃんと我々にも分かるものを提出するべきだ。

衛藤晟一議員(反対派・衆・九州比例)
○趣旨は賛成だが、大分でも解同問題があった。時間をかけて正常化してきた。
○人権は葵の御紋になる虞がある。誰も文句がいえないからだ。
○しかし、本当にそれで弱い人が救われるのか?逆になりはしないか?
○また女性戦犯法廷などの団体なども入ってくるだろう。どうするのか?
○自分はこの法案には反対だ。
○外国の人は住まいの問題とか今大変な目にあっている。現行法で守ってあげられるはずなのに、それができてない。
○今までの(広島や大分や・・の)経緯・歴史から見て、法ができても、その趣旨は守られないだろう。

自見庄三郎議員(推進派・衆・福岡10区)
○自分は野中さんの下で懇話会のメンバーだった。選挙区田川市の全日本同和会は自民党と友好的な団体である。
○解同はかつて共産革命でしか救われないと言ってたが、ソ連の崩壊で方向性を変えた。自民党を支持してくれるようになったのだ。
○似非同和と人権を守る団体とは分けて考えるべき。そういう意味で、この法案は進めるべきだ。
○メディア規制を公的にしないのは日本だけだ。規制すべき。
○城内・古川議員の意見は、初めて聞く理論だった。

小林興起議員(反対・衆・東京10区)
○この法案は反対すべきものではないが、問題として挙げられたことを考えるべき
○正常化した広島に、我慢してくれとは、言えないじゃないか。
○今の救済措置ではいけないのか?
○マスコミの問題と人権救済の話は分けて考えるべき。
○今どんな救済をしなくてはならないか、というような具体的な資料を法務省に出してほしい。
○人権の名において、宗教裁判のようなことが行われてはならない。
○訴えられた側の人権侵害を救えるのか?

山谷えり子議員(反対派・参・比例)
○不安を持っている。人権は愛と慈しみと関係すること。
○参画条例では苦情処理委員会などが作られているが、例えば埼玉では男女別校をやめさせたいと動いたが、27万人の反対署名が提出されたりした。区別は差別だと言って、林間学校で男女が一緒に寝たり、トイレの表示の色を同じにして混乱がおきたり、小学生にセックスのやり方を教えるなど、とにかく非常識である。それを東
京都がチェックして116人の教師が処分されたら、このことで教育の機会が奪われたと言って、8000件の人権救済申し立があった。(こういうことになってしまう)

?議員
○内閣府に置くべき。人選については、団体というのは懸念があるので、個人ベースにしてほしい。

荻生田光一議員(反対派・衆・東京24区)
○古川・城内議員の意見を精査してほしい。不透明な人選をやめてほしい。
○人権団体かどうかの判断は、誰がやるのか?
○「当該委員会の意見を聞いて」とあるが、曖昧である。

森岡正宏議員(反対派・衆・近畿比例)
○人権があまりにも広く捉えられている。山谷さんのご指摘のように、悪用されている。

○教科書の問題に自分は取り組んでいるが、地元では「人権問題を扱っている教科書は○○だからこれを使え」という圧力がかけられている。
○このままこの法案を上にあげることには反対だ。よく吟味してほしい。

古屋圭司議員(反対派・衆・岐阜5区)
○この問題について、かつて真剣に議論してこなかったことを反省している。
○具体的な指摘があったのだから、考えるべきではないか。
○理想的に運用ができないという指摘があった。納得できる案を出してほしい。
○このまま法案を出してほしくない。メディア問題は、本来この問題とは違うことだと思う。

田中議員
○趣旨としては、国家的な救済ルールなのだろうから賛成だが、具体的な事例を挙げて附則すべきだろう。
○訴えられて何でもなかった人のことをどうするのかは、大事な問題だと思う。

衛藤晟一議員
○児童虐待や外国人のことなど、各論的に検討してほしい。山谷さんの人権は愛と慈しみと切り離せない、という言葉があったが、愛と慈しみがこの法案からは感じられない。
○偉そうに上からやるととんでもないことになる。今の法体系でやれないことを挙げてみるべきだ。

古屋圭司議員
○司法制度で不十分なことをまずやってみてほしい

亀井郁夫議員
○広島は困る。光が見えたのに、本当に困る。自民党は壊滅してしまうだろう。
○法案を急がなくてもいいじゃないか。

法務省
○指摘いただいたことを検討する。

古賀誠議員
○たくさんの意見に、法務省は文書で答えてほしい。スケジュール的に今国会で、とやってきた。
○先生方にそれを承知してほしい。上にあげて委員会で修正しながら妥協点をみつけたい。

衛藤晟一議員
○部会の中で検討しなきゃおかしい。

古賀誠議員
○議論してるじゃないか。

部会長
○委員会の審議で行えばよい。

多数の議員
○それはおかしいじゃないか。

部会長
○法案として出させてほしい。

古屋圭司議員
○3月中旬をこえても出したケースもあるのだから、出すのは先でもいいじゃないか。

○異論のある中で出すべきではない。真摯な議論をすれば野党も納得するだろう。

古賀誠議員
○是非提出させて下さい。

部会長
○手続きとしては出させてほしいという古賀さんの意見だがどうでしょうか。

大勢の議員
○平場でこれだけの意見がでてるんだから。

部会長
○政審の場に出させてほしい。

大勢
○だめだ。

城内 実議員
○(法務省に向かって)「曖昧とはいかがなものか」といっただろう!人権侵害だ!(と机を叩く)

笹川 尭議員(推進派・群馬)
○これで総務会にもって行かれても困る。金曜日か火曜日に部会を持ったらどうか。

部会長
○では、今日、政審にもっていくのはやめる。散会。
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まとめ

【推進派】
古賀 誠(衆・福岡7区) 人権問題等調査会会長 http://www.kogamakoto.gr.jp
平沢勝栄(衆・東京14区) 法務部会会長 http://www.hirasawa.net
佐藤剛男(衆・福島1区) http://www.satotatsuo.jp
大村秀章(衆・愛知13区) http://www.ohmura.ne.jp
渡辺博道(衆・南関東比例) http://www.hiromichi21.com
自見庄三郎(衆・福岡10区) http://www.jimisun.com
笹川 尭(衆・群馬2区) http://www.e-sasagawa.com

【反対派】
古川禎久(衆・宮崎3区) http://www.furukawa-yoshihisa.com
城内 実(衆・静岡7区) http://www.m-kiuchi.com
亀井郁夫(参・広島) http://www.kamei.com
衛藤晟一(衆・比例九州) http://eto-seiichi.jp
柴山昌彦(衆・埼玉8補) http://www.shibamasa.net
谷 公一(衆・兵庫5区) http://www.tanikouichi.jp
佐藤 錬(衆・九州比例) http://www5.ocn.ne.jp/~satoren
小林興起(衆・東京10区) http://www.kobachan.jp
山谷えり子(参・比例) http://www.yamatani-eriko.com
荻生田光一(衆・東京24区) http://www.ko-1.jp
早川忠孝(反対派・参・北関東[埼玉4区])http://www.hayakawa-chuko.com/profile/index.html
森岡正宏(衆・近畿比例) http://www.m-morioka.com
古屋圭司(衆・岐阜5区) http://www.furuya-keiji.jp

【不明】
佐田玄一郎(衆・北関東比例) http://www.sata-genichiro.jp
この議事録をまとめた方によると反対派となっていますが、どうやらニュアンスが違うような気もします。
(推進派と勘違いして送られてきた抗議のメールが百科事典並みの厚さになったと又聞きで伝え聞いています。聞くところによると法案反対派だそうですが、私なりに引き続き調べてみます)
(以上は出席議員40名強のうち判明分のみ)

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B
電話突撃隊出張依頼所65 より
970 :外国人参政権に反対します ◆BJuB7ha/rA :05/03/15 22:30:21 ID:nm56Y+P8
電突の勇士の皆様、こんばんは。3/15 法務省(0 3 3 5 8 0 4 1 1 1)に、人権擁護法案の件で電話しました。
昨日の報告の確認と、追加の質問をしようとしたのですが、

私:人権擁護法案について質問がある。法務省さんに何回か電話して説明してもらったため、法案の
  概要は理解できたが、まだ不明な点が何点かある。それを教えて欲しい。
法:人権擁護法案については、まだ国会に提出されていないので、質問等にお答えすることはできない。

私:今日、自民党の法務部会に説明したのだろう? その法案について質問したいのだが。
法:まだ国会に提出されていないので、質問等にお答えすることはできない。

私:自民党の法務部会を通過したら、すんなり成立するのではないか? 野党は賛成しているのだから。
  それでは遅い。法務部を通過する前に法案の概要を理解させてほしい。
  具体的には「人権委員、および人権擁護委員は、外国人でもなれるのか」こういった事が聞きたい
  のだが?
法:・・・、質問を受け付けることはできない。申し訳ない。

対応してくれた人は女性でした。言葉は丁寧なのですが、全く取りつく島が無い状態でした。
昨日は詳細に回答してくれたんですが、何があったんだろうか?
今日、法務省に電話された方はおられますか?
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978 :外国人参政権に反対します ◆BJuB7ha/rA :05/03/15 22:46:27 ID:nm56Y+P8
>>973
ありがとうございます。

何回かトライしたのですが、ブログに書きこめない‥。

西尾様、このスレを見ておられますか?
とりあえず、このスレで返答させていただきます。

私の電突報告ですが、ご自由にお使いください。
少しでも多くの人に、人権擁護法案の危険さを知っていただきたいと思います。

法務省が急にダンマリになったのは、西尾氏のブログで紹介されたからかも
しれません。
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980 :マンセー名無しさん :05/03/15 23:07:13 ID:YaeTaWGT
>>978-979

西尾様
>>970も同時に掲載してください。国民の声、質問を
権力を使い押し潰そうとする証拠であり、この法案の
如何わしさを露わす論拠ともなります。

「人権擁護法」という狂気の法案 (その四)

 3月15日朝の法務委員会は打って変って、法案賛成派が出席者の数をにわかに増やし、大挙してまき返しを図り、形勢は反対派に不利になったという情報が入った。

 私が聞いたのはすべて現場にいた人からのまた聞き、たゞし複数の情報である。

 この何日かの間に反対派の議員の切り崩し、党の上からの圧力と法務省の個別の説得があり、反対者に省のメンツをかけての反論がなされたようだ。自民党特有の逆襲である。

 古賀誠氏が威信をかけて多数の賛成派議員を動員した。10日には法案に反対の声と賛成の声は7対3であったが、今朝は4対6に近いそうだ。

 城内、古川両議員は勿論激しく反対を言いつづけた。他にもそういう人はいた。自見庄三郎氏や石破茂氏は国籍条項をしっかり入れて、またメディア規制の第42条の4項を除外すれば賛成していいのではないかという意見だったそうだ。

 この何日かの間に賛成派が集って、部落解放同盟委員長がそこでカツを入れるという一幕もあったらしい。議員の中には、「解同は革命はもうしない。危くない勢力になった」と擁護する人もいたそうである。

 勿論、この法律の「人権」の内容規定が明確で、「部落解放」にだけはっきり限定されるのなら、私――すなわち西尾――も反対する理由がない。規定が曖昧でありすぎる。弱者、被差別者、人権被侵害者の概念は無限に拡大できる。そしてそういうことを歯止めなしに唱える勢力に糾弾権を与え、家宅捜査や出頭要請などの警察の機能を持たせるという反民主主義的な法律であることが由々しいのである。

 法務省が自由も民主主義もまったく分っていないことが恐ろしい。「治安維持法」を再現しようとしているようなものではないか。

 法務省と自民党上層部はひとりひとりを牛蒡抜きで説得し、反対派の疲れるのを待つ戦略であるようだ。いつもやる手で、みんなが疲れて、委員会に出てこなくなると、「じゃあ、その辺で」となる。

 それをさせないために最後まで反対しつづける意思をもつ議員をどう確保するかが勝負の岐れ目である。最後は体力勝負だそうである。

 ここまで自民党がこだわるのは郵政民営化法案を通すためのウラ取引きがあるのだろう。国旗国歌法と引きかえに男女共同参画基本法を採決したのにも似ている。取り返しのつかないことをしているのが分らないのがいまの自民党で、これで自ら墓穴を掘っている。

 中途半端なことを言っている議員をどうたしなめ、考えを改めてもらうか。「自由や民主主義」の分らない頑迷な法案賛成者をどう批判しつづけるか、――それがこのネットを見ている人々へのお願いである。

 それはそうとして、例の「北朝鮮人権法」はどこへ行ってしまったのか。これを押えるための北朝鮮派の目くらましの新戦術なのかもしれない。

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電話突撃隊出張依頼所65

408 名前:外国人参政権に反対します ◆BJuB7ha/rA [sage] 投稿日:05/03/14 22:09:51 ID:c7MLd3cL
電突の勇士の皆様、こんばんは。3/14 法務省(0 3 3 5 8 0 4 1 1 1)に、人権擁護法案の件で電話しました。
この法案について疑問点がいくつかありましたので、それについて質問しました。要点だけまとめて報告します。

私:人権擁護法案について質問がある。法務省さんに何回か電話して説明してもらったため、法案の概要
  は理解できたが、まだ不明な点が何点かある。それを教えて欲しい。
法:どんなことか?

私:人権委員、および人権擁護委員は、外国人でもなれるのか?
法:現在、その件については議論中だ。

私:先週、自民党に説明した法案だと?
法:先週の法案では、外国人でもなれる。

私:差別を受けた本人、あるいは差別が行われている状況を見た人が「差別行為を受けた/差別行為があった」
  ことを知らせる場合、どこに通報する?
法:人権擁護委員に知らせることになる。

私:人権擁護委員に通報することができる人の条件は?
  例えば観光ビザで日本に観光に来ている外国人にも、その資格はあるか?
法:ある。

私:実際に差別行為があったかどうかを調査するのは誰?
法:人権擁護委員だ。

私:人権擁護委員は、捜査令状なしで強制捜査ができるのか?
法:現在、その件については議論中だが、先週時点の法案だと令状なしでの捜査は可能だったと思う。

私:その調査結果から差別か否かの判断をするのは誰?
法:人権委員だ。

私:人権委員、人権擁護委員に資格は必要か? 例えば、弁護士なら司法試験に合格するといった国家が認めた
  資格が必要だが、そのような条件はあるのか?
法:必要ない。

私:人権委員会の判断が正しかったかを調査する機関はあるか?
法:それについては、今コメントすることはできない。

私:差別者として対象となるのはどのような人? 天皇陛下等の皇族、議員、省庁の役人も捜査対象となるのか?
法:全員対象になる。

私:皇族も差別者の対象になるのか?
法:対象にはなっているが、実際、皇族が差別をしたとして調査されることは無いと思う。
  過去に、そのようなことは無かった。

私:今までは無かったとしても、これからもそうだとは限らないのではないか?
法:・・・、それは無いと思うが・・・。

私:外国人が人権擁護委員になっていた場合、その外国人が皇居、首相官邸、国会、防衛庁や外務省といった
  国家機関の中に、捜査令状なしで立ち入って捜査する事ができるのか?
法:そのような(皇居、首相官邸、国会、各省庁が捜査対象となる)事はまず無いとは思うが、要請があれば
  捜査することになると思う。

私:人権委員会の行動を監視、抑制する機関は存在するのか?
法:ない。人権委員会は独立している。

私:冤罪であった場合の名誉回復手段は?
法:その人(差別の疑いを受けた人)が、名誉毀損の裁判を起こすことになると思う。

私:人権委員が、マスコミ等を通じて「冤罪でした、ごめんなさい」という謝罪をする事はないのか?
法:無い。

私:私は、この法案で法務省が目ざしているような「人権保護」が達成できるとは思えない。特定の思想を
  持った団体に利用される可能性が高い。これは危険ではないか?
法:実際、そのような意見は非常に多い。国民の意見としてお受けする。

 管理人注:以上は音静庵というトラックバックをたどり見つけた文章です。
 掲載許可について連絡を取ろうとしているところですが、もしご覧になっていて不都合だと思われる場合はお知らせください。

「人権擁護法」という狂気の法案 (その三)

 コラムのリンクで「人権フォーラム21」という団体の今までの活動とそのホームページを教えて下さった「昔の学生」さん、大変に参考になり、有難うございました。私の「夏休みのドイツ語の授業」をお受けになったというのは、今は懐かしい「紅露外語」の夏期講習のことでしょうか。いきなり超難解なハイデッガーを読ませたのを覚えています。ご迷惑をおかけしました。もう30年くらい前になりましょうか。

 今回はブログへの書き込みが多く、他の方々のものもすべて拝見いたし、参考になり、感謝します。

 明日の15日午前中の法務委員会の結論を見て、なお一日か二日間、コラム「正論」の同文の掲示をつづけます。

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 「人権擁護法」の国会提出を許すな

 ――自由社会の常識覆す異常な法案――
 
 《《《定義のない「人権侵害」》》》
 
 国会に上程が予定されている「人権擁護法」が今の法案のままに成立したら、次のような事態が発生するであろう。

 核を背景にした北朝鮮の横暴が日増しに増大しながら、政府が経済制裁ひとつできない現状がずっと続いたとする。業を煮やした拉致被害者の家族の一人が政府と北朝鮮を非難する声明を出した。すると今までと違って、北朝鮮系の人たちが手をつないで輪になり、「不当な差別だ」「人権侵害は許せない」と口々に叫んだとする。

 直ちに「人権擁護法」第五条に基づく人権委員会は調査を開始する。第四十四条によってその拉致被害者家族の出頭を求め、自宅に立ち入り検査をして文書その他の物件を押収し、彼の今後の政治発言を禁じるであろう。第二十二条によって委嘱された、人権委員会は北朝鮮系の人で占められている場合がある。

 韓国政府の反日法は次第に過激になり、従軍慰安婦への補償をめぐる要求が再び日本の新聞やNHKを巻き込む一大キャンペーンとなったとする。代表的な与党政治家の一人がNHK幹部の来訪の折に公平で中立な放送をするようにと求めた。ある新聞がそれを「圧力だ」と書き立てた。

 すると今までと違って、在日韓国人が「不当な差別だ」「人権侵害は許せない」と一斉に叫び、マスコミが同調した。人権擁護法の第二条には何が「人権侵害」であるかの定義がなされていない。どのようにも拡張解釈ができる。

 《《《全国各地に巨大執行組織》》》
 
 かくて政治家が「公平で公正な放送をするように」といっただけで「圧力」になり、「人権侵害」に相当すると人権委員会に認定される。日本を代表するその政治家は出頭を求められ、令状なしで家を検査される。誇り高い彼は陳述を拒否し、立ち入り検査を拒むかもしれないが、人権擁護法第八十八条により彼は処罰され、政治生命を絶たれるであろう。人権委員会は在日韓国人で占められ、日本国籍の者がいない可能性もある。

 南京虐殺に疑問を持つある高名な学者が143枚の関連写真すべてを精密に吟味し検査し、ことごとく贋物(にせもの)であることを学問的に論証した。人権擁護法が成立するや否や、待ってましたとばかりに日中友好協会員や中国人留学生が「不当な差別だ」「人権侵害は許せない」の声明文を告知したとする。人権委員会は直ちに著者と出版社を立ち入り検査し、即日出版差し止めを命じるであろう。

 南京虐殺否定論はすでに一部のテレビにも登場し、複数の新聞、雑誌、とりわけミニコミ紙で論じられてきた。人権委員会は巨大規模の事務局、2万人の人権擁護委員を擁する執行組織を持つ。まるで戦前の特高警察のように全国をかぎ回る。

 人権擁護法第三条の二項は、南京事件否定論をほんのちょっとでも「助長」し、「誘発」する目的の情報の散布、「文書の頒布、提示」を禁じている。現代のゲシュタポたちは、得たりとばかりに全国隅々に赴き、中国に都合の悪いミニコミ紙を押収し、保守系のシンクタンクを弾圧し、「新しい歴史教科書をつくる会」の解散命令を出すであろう。その場合の人権委員の選考はあいまいで、左翼の各種の運動団体におそらく乗っ取られている。

 《《《国籍条項不在の不思議さ》》》
 
 私は冗談を言っているのではない。緊急事態の到来を訴えているのである。2年前にいったん廃案になった人権擁護法がにわかに再浮上した。3月15日に閣議決定、4月の国会で成立する運びと聞いて、法案を一読し、あまりのことに驚きあきれた。自民党政府は自分で自分の首を絞める法案の内容を、左翼人権派の法務官僚に任せて、深く考えることもなく、短時日で成立させようとしている。

 同法が2年前に廃案になったのは第四十二条の四項のメディア規制があったためで、今度はこれを凍結して、小泉内閣の了承を得たと聞くが、問題はメディア規制の条項だけではない。ご覧の通り全文が左翼ファシズムのバージョンである。もちろん、機軸を変えれば共産党、社民党弾圧にも使える。自由主義社会の自由の原則、憲法に違反する「人権」絶対主義の狂気の法案である。

 外国人が人権委員、人権擁護委員に就くことを許しているのが問題だ。他民族への侮蔑はいけないというが、侮蔑と批判の間の明確な区別は個人の良心の問題で、人権委員が介入すべき問題ではない。要するに自由社会の常識に反していて、異常の一語に尽きる法案である。予定される閣議決定の即時中断を要請する。(にしお かんじ)

産経新聞 2005.3.11

「人権擁護法」という狂気の法案 (その二)

 ある新聞記者から、「先生、すごい反響ですよ」との電話があった。「先生のコラム『正論』の一文で『人権擁護法』は吹っ飛びますよ。」

 にわかには信じられない話だが、ささやかな言論が効果を発揮するということはうれしいことだ。11日朝の自民党役員連絡会で、古屋圭司議員が拙文を朗読して同法案の国会提出に反対。賛成派が誇張した書き方だというと、安倍晋三氏が元検察官の堀田力氏までが、政治家が「公平で公正な放送を」求めればそれだけで「圧力」になるというようなことを平気で言うあぶない政治風土の国なので、上程反対と言ったそうである。

 詳しいことは分らないが、その記者は「先生のように分り易い物語にして展開してくれないと政治家はピンとこないんですよ。今度のことで官僚がどんな瞞し討ちをしてくるか分らないって、政治家は肝に銘じたと思いますよ。」

 与謝野政調会長が党内に強い反対がある限り国会上程は見合わせると言ったそうだ。次の段階として討議は15日朝の法務委員会に持ちこされる。

 男女共同参画基本法の抜き打ち採決にわれわれは懲りているからと私が言うと、その記者は「この法律は男女共同参画基本法よりもっと恐ろしい法律ですよ」と言っていた。

 産経「正論」路線がいかに大切かが実感された出来事だった。ライブドアーなどに毀されてたまるか、と思う。

 以下に昨日付の同コラムの拙文をもう一度掲げておく。

=========================

 「人権擁護法」の国会提出を許すな

 ――自由社会の常識覆す異常な法案――
 
 《《《定義のない「人権侵害」》》》
 
 国会に上程が予定されている「人権擁護法」が今の法案のままに成立したら、次のような事態が発生するであろう。

 核を背景にした北朝鮮の横暴が日増しに増大しながら、政府が経済制裁ひとつできない現状がずっと続いたとする。業を煮やした拉致被害者の家族の一人が政府と北朝鮮を非難する声明を出した。すると今までと違って、北朝鮮系の人たちが手をつないで輪になり、「不当な差別だ」「人権侵害は許せない」と口々に叫んだとする。

 直ちに「人権擁護法」第五条に基づく人権委員会は調査を開始する。第四十四条によってその拉致被害者家族の出頭を求め、自宅に立ち入り検査をして文書その他の物件を押収し、彼の今後の政治発言を禁じるであろう。第二十二条によって委嘱された、人権委員会は北朝鮮系の人で占められている場合がある。

 韓国政府の反日法は次第に過激になり、従軍慰安婦への補償をめぐる要求が再び日本の新聞やNHKを巻き込む一大キャンペーンとなったとする。代表的な与党政治家の一人がNHK幹部の来訪の折に公平で中立な放送をするようにと求めた。ある新聞がそれを「圧力だ」と書き立てた。

 すると今までと違って、在日韓国人が「不当な差別だ」「人権侵害は許せない」と一斉に叫び、マスコミが同調した。人権擁護法の第二条には何が「人権侵害」であるかの定義がなされていない。どのようにも拡張解釈ができる。

 《《《全国各地に巨大執行組織》》》
 
 かくて政治家が「公平で公正な放送をするように」といっただけで「圧力」になり、「人権侵害」に相当すると人権委員会に認定される。日本を代表するその政治家は出頭を求められ、令状なしで家を検査される。誇り高い彼は陳述を拒否し、立ち入り検査を拒むかもしれないが、人権擁護法第八十八条により彼は処罰され、政治生命を絶たれるであろう。人権委員会は在日韓国人で占められ、日本国籍の者がいない可能性もある。

 南京虐殺に疑問を持つある高名な学者が143枚の関連写真すべてを精密に吟味し検査し、ことごとく贋物(にせもの)であることを学問的に論証した。人権擁護法が成立するや否や、待ってましたとばかりに日中友好協会員や中国人留学生が「不当な差別だ」「人権侵害は許せない」の声明文を告知したとする。人権委員会は直ちに著者と出版社を立ち入り検査し、即日出版差し止めを命じるであろう。

 南京虐殺否定論はすでに一部のテレビにも登場し、複数の新聞、雑誌、とりわけミニコミ紙で論じられてきた。人権委員会は巨大規模の事務局、2万人の人権擁護委員を擁する執行組織を持つ。まるで戦前の特高警察のように全国をかぎ回る。

 人権擁護法第三条の二項は、南京事件否定論をほんのちょっとでも「助長」し、「誘発」する目的の情報の散布、「文書の頒布、提示」を禁じている。現代のゲシュタポたちは、得たりとばかりに全国隅々に赴き、中国に都合の悪いミニコミ紙を押収し、保守系のシンクタンクを弾圧し、「新しい歴史教科書をつくる会」の解散命令を出すであろう。その場合の人権委員の選考はあいまいで、左翼の各種の運動団体におそらく乗っ取られている。

 《《《国籍条項不在の不思議さ》》》
 
 私は冗談を言っているのではない。緊急事態の到来を訴えているのである。2年前にいったん廃案になった人権擁護法がにわかに再浮上した。3月15日に閣議決定、4月の国会で成立する運びと聞いて、法案を一読し、あまりのことに驚きあきれた。自民党政府は自分で自分の首を絞める法案の内容を、左翼人権派の法務官僚に任せて、深く考えることもなく、短時日で成立させようとしている。

 同法が2年前に廃案になったのは第四十二条の四項のメディア規制があったためで、今度はこれを凍結して、小泉内閣の了承を得たと聞くが、問題はメディア規制の条項だけではない。ご覧の通り全文が左翼ファシズムのバージョンである。もちろん、機軸を変えれば共産党、社民党弾圧にも使える。自由主義社会の自由の原則、憲法に違反する「人権」絶対主義の狂気の法案である。

 外国人が人権委員、人権擁護委員に就くことを許しているのが問題だ。他民族への侮蔑はいけないというが、侮蔑と批判の間の明確な区別は個人の良心の問題で、人権委員が介入すべき問題ではない。要するに自由社会の常識に反していて、異常の一語に尽きる法案である。予定される閣議決定の即時中断を要請する。(にしお かんじ)

産経新聞 2005.3.11

「人権擁護法」という狂気の法案

 このところにわかに騒然としてきた「人権擁護法」の法文を私は一週間ほど前から読んで、人からも示唆を受け、考える処あって反対運動に起ち上ることにした。さし当り私にできることは産経のコラム「正論」に書くことと考え、以下の文章を11日付でようやく公表した。

 この文章は8日朝に編集部に送り、11日に掲載されるという、このコラムとしては例のないスピードであった。しかし10日朝、自民党法務委員会の会議には間に合わなかった。

 幸い自民党法務委員会は心ある議員の発言相次ぎ、法案審議はいったん延期され、11日金曜日にまた開かれるそうである。予断を許さない。私の反対意見が関係議員の目に触れ、法案の国会上程阻止に少しでも役立ってくれることを祈っている。

 この後の反対運動のプログラムも一応は考えている。名案があったらブログに書きこんでほしい。

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 「人権擁護法」の国会提出を許すな

 ――自由社会の常識覆す異常な法案――
 
 《《《定義のない「人権侵害」》》》
 
 国会に上程が予定されている「人権擁護法」が今の法案のままに成立したら、次のような事態が発生するであろう。

 核を背景にした北朝鮮の横暴が日増しに増大しながら、政府が経済制裁ひとつできない現状がずっと続いたとする。業を煮やした拉致被害者の家族の一人が政府と北朝鮮を非難する声明を出した。すると今までと違って、北朝鮮系の人たちが手をつないで輪になり、「不当な差別だ」「人権侵害は許せない」と口々に叫んだとする。

 直ちに「人権擁護法」第五条に基づく人権委員会は調査を開始する。第四十四条によってその拉致被害者家族の出頭を求め、自宅に立ち入り検査をして文書その他の物件を押収し、彼の今後の政治発言を禁じるであろう。第二十二条によって委嘱された、人権委員会は北朝鮮系の人で占められている場合がある。

 韓国政府の反日法は次第に過激になり、従軍慰安婦への補償をめぐる要求が再び日本の新聞やNHKを巻き込む一大キャンペーンとなったとする。代表的な与党政治家の一人がNHK幹部の来訪の折に公平で中立な放送をするようにと求めた。ある新聞がそれを「圧力だ」と書き立てた。

 すると今までと違って、在日韓国人が「不当な差別だ」「人権侵害は許せない」と一斉に叫び、マスコミが同調した。人権擁護法の第二条には何が「人権侵害」であるかの定義がなされていない。どのようにも拡張解釈ができる。

 《《《全国各地に巨大執行組織》》》
 
 かくて政治家が「公平で公正な放送をするように」といっただけで「圧力」になり、「人権侵害」に相当すると人権委員会に認定される。日本を代表するその政治家は出頭を求められ、令状なしで家を検査される。誇り高い彼は陳述を拒否し、立ち入り検査を拒むかもしれないが、人権擁護法第八十八条により彼は処罰され、政治生命を絶たれるであろう。人権委員会は在日韓国人で占められ、日本国籍の者がいない可能性もある。

 南京虐殺に疑問を持つある高名な学者が143枚の関連写真すべてを精密に吟味し検査し、ことごとく贋物(にせもの)であることを学問的に論証した。人権擁護法が成立するや否や、待ってましたとばかりに日中友好協会員や中国人留学生が「不当な差別だ」「人権侵害は許せない」の声明文を告知したとする。人権委員会は直ちに著者と出版社を立ち入り検査し、即日出版差し止めを命じるであろう。

 南京虐殺否定論はすでに一部のテレビにも登場し、複数の新聞、雑誌、とりわけミニコミ紙で論じられてきた。人権委員会は巨大規模の事務局、2万人の人権擁護委員を擁する執行組織を持つ。まるで戦前の特高警察のように全国をかぎ回る。

 人権擁護法第三条の二項は、南京事件否定論をほんのちょっとでも「助長」し、「誘発」する目的の情報の散布、「文書の頒布、提示」を禁じている。現代のゲシュタポたちは、得たりとばかりに全国隅々に赴き、中国に都合の悪いミニコミ紙を押収し、保守系のシンクタンクを弾圧し、「新しい歴史教科書をつくる会」の解散命令を出すであろう。その場合の人権委員の選考はあいまいで、左翼の各種の運動団体におそらく乗っ取られている。

 《《《国籍条項不在の不思議さ》》》
 
 私は冗談を言っているのではない。緊急事態の到来を訴えているのである。2年前にいったん廃案になった人権擁護法がにわかに再浮上した。3月15日に閣議決定、4月の国会で成立する運びと聞いて、法案を一読し、あまりのことに驚きあきれた。自民党政府は自分で自分の首を絞める法案の内容を、左翼人権派の法務官僚に任せて、深く考えることもなく、短時日で成立させようとしている。

 同法が2年前に廃案になったのは第四十二条の四項のメディア規制があったためで、今度はこれを凍結して、小泉内閣の了承を得たと聞くが、問題はメディア規制の条項だけではない。ご覧の通り全文が左翼ファシズムのバージョンである。もちろん、機軸を変えれば共産党、社民党弾圧にも使える。自由主義社会の自由の原則、憲法に違反する「人権」絶対主義の狂気の法案である。

 外国人が人権委員、人権擁護委員に就くことを許しているのが問題だ。他民族への侮蔑はいけないというが、侮蔑と批判の間の明確な区別は個人の良心の問題で、人権委員が介入すべき問題ではない。要するに自由社会の常識に反していて、異常の一語に尽きる法案である。予定される閣議決定の即時中断を要請する。(にしお かんじ)

産経新聞 2005.3.11

番匠幸一郎氏を囲んで (十一)

西尾:それはまだ・・・・、東中野先生、どうぞ。

東中野:余計なことを言ってすみません。現実の諸問題は現役の自衛官の方が考えていらっしゃると番匠大佐のことをうかがっているものですから、・・・・・・・・・質問させていただきたいのですが、愚問だということはわかっているのですが、最初に私が思いましたのは、大変失礼なことを申しますけれども、准将クラスの方を送るべきだったんじゃないかと思います。日本からですね、階級社会ですから。

西尾:准将って、昔の?

東中野:少将クラス、できれば中将ぐらいの方をドンと日本が送り込んで、本腰を入れてやるんだと、郡長という、600人のトップに中将というのはちょっとおかしいというのは、分っているわけですけど、そしてまた番匠さまが、大変な功績を残していらっしゃった方というのは分った上で申し上げているのですが、ですから愚問なんですけど、軍隊というのは、階級社会ですから、日本から第一陣として、それくらいの意気込みで陸幕は取り組むべきだったんじゃないかというふうに思ったんですが、その点はいかがでしょうか。

西尾:答えにくい質問じゃない?

(笑い)

番匠:できるだけ、高い階級の者がいれば、それだけ影響力というか力がありますけれど、同時に高い階級の者というか、高位の者というかは、それだけ役割とか責任を多く負うことになるわけですね。今バグダットには中将が二人おりますけれども、他はおりません。それから、南東部地域のイギリスというか、イギリスを中心とした多国籍団の師団長は少将なんですね。

東中野:1万人のイギリス軍が少将なんですか、あぁ。

西尾:そうか、そんなんじゃだめですよね。

番匠:そうです、少将です。そうしますと、自衛隊が600人で少将だと、イギリスと同じ役割を果たすということの、意志表示になります。

西尾:あぁ、考えているわけですね。

番匠:逆にですね、それは将軍を出すということは、たかが数百人でいいのかと。何千人の長でなければいけないのではないかと。そうすると、何の為に来ているのかということになるんです。

東中野:やはり600人で群長だから、どうしても大佐だと。

番匠:大佐か、中佐でいいわけですね。部隊のスケールで言えば。オランダは1000人で中佐を連れて来ていました。

東中野:1000人で中佐ですか。

番匠:我々はちょっとインフレ気味だったんです。

(大笑い)

西尾:話が逆だったですね。

番匠:アメリカは15万人で中将ですね。中将二人おりますけれど。

○○:私が聞いた範囲では、日本もね、本来だったら中佐クラスのつもりだったらしいんですけれども、この任務が非常に大変な任務だということで、番匠一佐を直々に出したという話を聞きましたけれどね。

吉野:よろしいですか?

西尾:どうぞどうぞ、吉野さん、元警視総監の方です。

吉野:質問ではなくて、感想だけちょっと。今日私も国民の一人として自衛隊のイラク派兵に大変強い関心持っておりました。まぁなんと言っても、今までは報道だけでして、今日は生のお話が大変参考になりましたし、また感銘を受けました。大変ご苦労さまでございました。国民の一人として感謝申し上げます。私も警察におりましたので、やや似たような組織でありますので、大変参考になりましたが、お話を伺っていて、よき警官と、よき装備と、よき訓練ですね、徹底して射撃の訓練をやられたという話はこれは、あまり報道なんかに出ないのですが、大事だとおもうのですよ。それから、たとえ話でライオンとロバとの話をされましたが、あれは非常に大きな示唆だと思うんですよ。思い返せば、一昔前に、機関銃を持っていっていいか銃をいくら持っていくかと、子供じみた議論がありまして、あの頃から比べれば隔世の感がありまして、西尾先生の日本の未来へのいろいろなご心配もあるでしょうが、私はこの国はこの国で、一歩ずつ、遅いけれども少しずつ前へ進んでいるんじゃないかと、いい方向へ進んでいるんじゃないかと・・・・

西尾:いやぁ、僕は絶望しているんですよ。

(大笑い)

吉野:そんなことはないです。いろいろ不満がおありじゃないかとお話もありまして、質問もありまして、私は本音で与えられた範囲内できちっとやっておられて、特に不満もない。そのまま受け止めたいと思います。仮に不満がありましても、軍人さんに言わせることじゃないと思うんですよ。

西尾:それはそうですよ。

吉野:我々、或いは世論、これがね、代わって言っていくべきで・・・

西尾:そうです、その通りです。

吉野:ということではないかと、生意気ですが思うのです。そういう感じがいたします。どうもありがとうございました。

西尾:おっしゃるとおりですねぇ。

○○:先ほど西尾さんがおっしゃった、自衛権の中で認めるかどうかですが、私は自衛権というものを認めればですね、当然・・・・

西尾:警護活動?

○○:警備、警護。

西尾:そこまで伸びていいと?

○○:伸びていいと。当然ですよ、自衛権としては。

西尾:それを、うずうずして、はっきり認めないで、また現地へ出て行くという。

○○:任務遂行のための武力行使を認めないというのが間違っている。

西尾:憲法違反じゃないんですよ。別に。

○○:ええ、そうですよ。それからちょっと質問ですが、自衛隊のですね、訳語が外国に対して、JSDFなんですか?それともジャパニーズ・アーミーですか。どっちを使っておられるんですか?

番匠:今回オフィシャルには、やはりJSDFですね。ただ、しゃべるときにはもう、ジャパンアーミーになりますね、はい。文書としては、アーミーということは我々は使いません。

○○:口頭ではアーミーをどんどん使うんですか?

番匠:ええ、アーミーじゃないと通じないもんですから。

○○:そうでしょうね。

番匠幸一郎氏を囲んで (十)

○○:確かにね、それはまさに、軍人らしいといえば、軍人らしいんですがね、だけど軍人らしいものの背後の、つまり政治的な判断とか、歴史的な判断とかいうものはやはり、政治家が本来なら考えなけりゃならないんでしょうけどね。しかし、一佐ということは、昔は大佐のクラスですね。大佐ぐらいのレベルの方が、そういう政治的な課題に発言権なり、実際に一番希少な体験をして来た人間なんだから、どういうふうにこの経験をね、これからの自衛隊に反映させるかというようなことは、多分お考えだろうとは思いますが。

西尾:多分、こういうご質問でしょう。少し私の付言が誇張になるかもしれませんが、政治に対する不満、政治体制の自衛隊の努力に対してこのままでいいのかと、次の課題として、自分達の経験を生かして、政治にかくあってほしいというようなことかと思います。そう理解しましたけど。

○○:そう、そのとおりです。

西尾:質問が面倒だったら、お答えになる必要はありません。お立場上ね。

○○:よろしいでしょうか?

西尾:今のことですか?ちょっと待ってください。今のこと、お答えになれないなら、しなくてもいいですから。

番匠:あのぉ、現場で武器使用の基準が不十分だから困ったんじゃないかとか、集団的自衛権の問題、或いは海外における、武力の行使というものが禁じられているが故に、現地における任務が非常に困ったんじゃないかとか言われましたけれど、実は本当に正直に申し上げて、現地ではそんなことを考えている暇もありませんでした。ないものをねだってもしょうがない。むしろ我々がいただいている武器使用基準の中で、それをどう100%ものにするのかと、100%理解をして最大に発揮するためにどうしたらいいかと。そのための訓練とか、或いは勉強といいますか、そういうやることが山ほどありまして、且つ、皆さんが思っておられるよりは実は結構柔軟性があるというか、幅は広いと私は解釈してます。ですから、そういう意味ではなんというか、ちょっとたてまえ的かもしれませんけれども、政治がやれと言われたことを、我々は淡々とやるという・・・・

西尾:実はですね、政治はですね、現状の法整備で、現状の自衛隊の体勢のままに支援行動から、さらに一歩進んで警備行動をせよというふうに進みかねない。アメリカからそう言われたからやらざるを得ないから、もっと危ない所へ行ってやれということを、これもまた自衛のうちなんて拡大解釈で、言わないとも限らないわけですよ。僕はそれをずーっととても危惧している。アメリカが更なる協力を求めてくると、そうした時に、現行体制のままで、今の自衛隊の状態のままで、もう一歩進んだことをやれという理不尽な要求を政治がしてくるという、まぁ、これは仮定の話ですけれど、いかがです。ないと思いますか?

○○:それはあるとおもうんです。ただ、今のイラク支援法の武器使用基準で例えば今までオランダがやっていたような、警備行動ですね、治安任務。

西尾:そう、やらざるを得ない。

○○:これを遂行できますか?

番匠:できません。

○○:どこが出来ないんですか?

番匠:警護任務がないんです。

○○:警護任務をつければ、今のままでもできるんですか?

番匠:つけていただければ、オランダの代わりということは出来ると思います。ただ、その警護任務というのが実は非常にむずかしくて、今憲法上の疑義があるということで、なかなかそれは、要するに任務遂行のための武器使用といわれているものですね。

西尾:警護任務というのは、町の警護もするわけですね。

番匠:町の警護というのは、自衛権ですから、これは問題ないと思います。

西尾:町ですよ、シティですよ。

番匠:あ、シティですね、

西尾:それをオランダがシティの警護してやっているわけですよね。それを今自衛隊がやらないといけない、それをやれと今の政治が好き勝手な拡大解釈で言ってくるんじゃないかと、それをうかがっています。

番匠:スーダンPKOのニュースがこの前出ておりましたけれども、あそこで同じような疑問を私たちは持っているのです。PKOがスーダンに限らず、PKO法というのは、平成3年に出来て、2001年に法改正されておりますけれど、本隊任務というのが、今まで凍結されていたんですね、法律が出来てから。2001年に本隊任務の凍結が解除されたんですけれど、その本隊の任務をよくみると、ある停戦監視地域の侵入の防止だとか、或いは鹵獲、あるいは遺棄された武器の監視、兵力の引き離しの為の監視とか、そういうことが書いてあるわけです。

西尾:ほぉ~そりゃぁもぉ

番匠:そうすると、かなりそのパトロールというか、その任務に近いわけです。ところがPKO法に書いてある武器使用基準という24条に書いてあるのは、いわゆる自然権的権利に基ずく、自己防護の為だけの武器使用というもので、非常にパッシブなもの。正当防衛、緊急避難の延長線上の武器使用権限であります。今までずっと言われてきたのは、凍結解除された任務と、それから武器使用権限というものが、マッチしてないんじゃないかという議論がこれは自民党の先生方からも出ているんですね。今回スーダンなりどこかのPKOで、この任務を、本隊任務をやるといったときに、それにふさわしい武器使用権限があるかというと、そこはなかなか難しい部分があります。

西尾:今申し上げたのはそのことです。

番匠:ですから、そこは、こちらのところをふさわしい武器使用権限というものにしていただくという手続きが、あればそこはやると。

参考:ヤフーニュース「他国軍隊になぜ警護頼る」サマワ自衛隊に豪記者質問

番匠幸一郎氏を囲んで (九)

西尾:はい。どうぞ、山口さん。

山口:イラクの対日観は、日露戦争で勝って、基本的に結構なものなんですが、さはさりながら、対米追随じゃないかと思われていないか。私はアジアや中近東のトルコにいたんですけれども、日露戦争の経験から日本に対する尊敬の念はあるんだけれども、しかし今日の日本というのは、アメリカの尻尾にくっついているという状態にあるから、向こうもあからさまには言わないんだけれども、向こうの大臣なんかに会うとですね、そういうニュアンスが出てくる。東南アジア国であるし、トルコも若干そういうところはあるんですが、先ほど世論調査で、我々に反対の16%の中には、アメリカの影響力の中で、日本がアメリカの尻馬に乗っているんじゃないかと、そういうような人もいるかなぁという感じがちょっとするんですが。実際に県知事さんなんかとお話になってですね、ほんとに諸手を挙げて、日露戦争に勝った立派な国だと思っているだけなのか、それともやはり、第二次大戦後の日本というのは、アメリカべったりになっているというようなニュアンスが言葉の端々に出てくるように感じられたかどうなのか、そこらへんをお願いします。

番匠:我々の居りましたサマーワにはアメリカのフットプリントは非常に小さいんですね。先ほどから、申し上げておりますように、イギリスを中心とした多国籍部隊なもんですから、物理的にアメリカの兵隊さんはほとんどいないんです。いるのはオランダが一番多い。それから自衛隊が多くて、イギリス辺りはしょっちゅう通る地域ですから。アメリカはコンボイで前を通過したりということはありますけど、そこで長期間宿営地を置いて勤務しているということがないもんですから、ことサマーワ、ムサンナ県辺りに関して言えば、自衛隊とアメリカ軍の関係が極めて緊密で対米追従だということを、皮膚感覚であまり感じておられなかったのかなと思います。

○○:小泉総理の対米協力でというようなのは、ニュースとしては・・・・

番匠:ま、多分全く意識していないとか、知らないわけではないかもしれませんが、実際に見ていて、我々とアメリカがそんなに近くて、アメリカのために我々がやっているとかそんなことを感じるということは、そんなに無かったんじゃないかなというふうには思います。ただ、まあ、ほんとに我々を諸手を挙げて、歓迎してくれているという部分と、正直申し上げれば、彼らもしたたかな、アラブの人たちですので、自衛隊をしっかり繋ぎとめて、日本をしっかり繋ぎとめて、自分達の地域の発展とか、自分達の利益のために、という気持ちは両方にあるんだろうなという感じがしましたですね。

○○:約一年弱かな、大過なく、大きな事故も無く、大変ご苦労されただろうということにまず感謝申し上げます。ひとつ国民の中にですね、あのサマーワで、何かのドラマが起こらないと、それが迫撃砲なのか、ロケット砲なのか何なのかわかりませんが、自衛隊法や、集団的自衛権その他の問題をクリアーしないと、やっぱりどうしようもないんだと、そういう事態が起こることを、言いにくいが、どっかで待っているという気持ちがまったくないわけではないんですね。

西尾:左翼が?

○○:いやいや、保守派の人間も。

西尾:いやぁ、そこまではないんではないですか。

○○:いや、つまりそういう、今の法体系や対処の仕方では十分な危機管理が不可能なレベルというのがあるはずだと、それは多分ありますよね。抽象論としては。だから、無事に終ったことは大変素晴らしいんだが、だからそれなら今の自衛隊法並びにその他の法整備をとりあえず、先延ばしにしてよろしいのか。例えば戦死者が出た場合に保障をどうするかというふうな問題がね、出てきますよね。公務員プラスどのくらいのアルファがつくのか、或いは昔の軍人恩給的なものをどう復活させるとか、しないのかとか、いろいろの課題が結局無事なるが故に露出しなかったのかなと、そういう感じを抱くところがちょっと複雑なんですよね。つまり複雑というと、自衛隊を少なくとも、常識的な国軍にしようと、そういう国作りをしなくてはいけないだろうと思っている人間から見ますとね、無事だからよかったが、このまま何もしないでよいのかなという感じもないわけではない。

西尾:国軍の一歩手前までは行ったんだけどね。

○○:そういう、例えば、番匠さんはどういう風に、受け止められますか?ここにいるのはみんな自衛隊というものをサポートしている保守派の人間だということを前提にして。

番匠:鶏が先か卵が先かというような感じが私はしておりまして、じゃぁ我々にとって、グローバルスタンダードにピシッと整備されて、法的な環境がきちっと整えられて、隊員の処遇もきちんとできた上で、それからでないと、やはり行ってはいけないのかというと、そういうことは未来永劫あり得ないのではないかと思うんですね。

○○:そうそう、なるほどね。

番匠:正直申し上げれば、今回我々が与えていただいた法律、特措法の中に書かれてある武器使用基準というものにふさわしい任務しか、我々は戴いていないわけです。先ほど申し上げた治安任務ということはないわけです。だから、治安任務ということになると、やはりもう一つ上がってきますね。だから人道復興支援、後方支援といった任務にあう、ぎりぎりのミッションであり、ぎりぎりの武器使用基準であり、ぎりぎりの解釈というものを我々は受けて現地に行っているということです。そういう意味では常に、あるべき論よりちょっと先のところを行きながらということは、感じておりました。

 じゃあ隊員たちはどうかというと、先ほどの戦死者ということですけれど、基本的に隊員たちは全員覚悟していたと思います。私も日本を出るときにですね、お別れをして行ったつもりでおります。幸い、全隊員が今まで無事に一人も怪我もすることなく帰ってきていますけど、それはたまたま運がよかっただけなのかもしれません。迫撃砲というのは、何回も落ちましたけれども、これはわざとはずしているというふうに私は思っていません。そんなに器用なことができるわけがない。ですから、一歩違えば、それはなんらかの損害があったのかもしれませんけれども、でも、現場の隊員たちはですね、それは当たり前だと思っていました。最初から。

 迫撃砲を撃たれたときの訓練をしてきましたし、そういうもんだと思っています。迫撃砲の訓練をやっている時に、迫撃砲が落ちた弾痕に入れと言っていました。迫撃砲が落ちてきた弾痕の中に突っ込めと、そうすると、二度とそこに落ちて来ないから、というぐらいのことをやりながら、やっておりました。あと、確率論ですが、相当確立は低いんです。命中する。そんなことを考えながらやっておりましたので、あまり最悪の事態が起こったときにどうだということは、あれなんですけれど、ただ、そうですね、答えにはなっていないかもしれませんけれども、隊員たちはお金のことがどうかとか、処遇のことがどうかとか、そういうことよりも、やはりこういう仕事を与えてもらったことの意義というか、やりがいというか、そういうことの為にベストを尽くしているような気がしますですね。

番匠幸一郎氏を囲んで (八)

講演 「これでよいのか日本の弱腰外交
――正しい現代史の考え方――」

平成17年3月13日(日)
午後3時30分より90分

会 場:横浜市中区「関内ホール」
   JR関内駅北口下車 徒歩5分
     TEL 045(662)1221
参加費:¥1000
主 催 :教科書を良くする神奈川県民の会
連絡先:大西裕氏 TEL045(575)2603

新刊西尾幹二責任編集『新・地球日本史』1 
産経新聞社刊、発売扶桑社。
  ¥1800――2月28日店頭発売

 
新・地球日本史―明治中期から第二次大戦まで (1)

新刊 「人生の深淵について」
洋泉社刊 ¥1500
3月7日店頭販売
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番匠幸一郎氏を囲んで (八)

・・・・・・・テープ交換のため、少し話題が飛ぶ・・・・・・・
番匠:18.9歳の隊員から始まり、一番元気ざかりの隊員ですから、私は女性の隊員を11名お預かりして、ちょっと、あのぉー、まぁ、大事なお嬢さんたちをお預かりしていて、心配したんですけれど、全く大丈夫でした。あの暑さと勤務の中でそういう気持ちに至らない感じがしましたですね。

○○:人道支援活動のお話で、サマーワの町が非常に荒れて、これはサダムフセイン時代にそういうふうになったんではないでしょうか。イラク戦争が起こってからひどくなったのではないんじゃないかと、私ずっと思っているのですが。

番匠:これは二つあると思います。一つは彼ら自身があまり清潔な人たちではない。見ていてびっくりしたことがあったんですけれども、道路に生ごみをバンと捨てて行くんですね。で、自分の家の中はきれいになるからいいんですけど。

(笑い)

 あと、バンと捨てていくと、普通だったらそれで道路の清掃とか、ごみの回収のシステムが動いていれば町はちゃんと維持されるんでしょうが、そういうシステムがないということで、もともとあまり環境の整備とか、そういうことに関心のある人達じゃないということがあるかもしれません。我々の宿営地の回りも、私はいいましたけど、ここはもともと産業廃棄物処理場じゃないかと。ごみだらけ、ごみのみならず、不発弾じゃなくて遺棄弾が結構あるんですね。弾を捨てているんです。私たちがおりましたところは、湾岸戦争の頃の陣地のあとがあった近くでして、多分フランスの空挺部隊が降りたところで、弾をそこらへんにほったらかして、逃げたんでしょう。ごろごろしている。

西尾:あぶない~

番匠:そういうの、いっぱいありました。とにかくそんな場所でした。

西尾:それを、まず片付けるんでしょ。

番匠:そうです、それと、もう一つはじゃあ何時頃から荒れていたのか、というとですけれど、先生のおっしゃるようにですね、今回のイラク戦争ではなくて、私はイラン・イラク戦争の後ぐらいからじゃないかなと思います。特に湾岸戦争の後に、シーア派が一斉蜂起してシーア派というか、スンニ派、或いはサダムフセインに対して反旗を翻して、逆にそれで失敗して、弾圧されるということがありましたね。その頃から、イラン・イラク戦争の頃からその兆候があって、湾岸戦争直後からそれがピークになったということで、これは1980年代の半ばぐらいからつい最近まで、ずっと弾圧されてきた場所なんじゃないかなと思います。ですから、学校にしても、その他のいわゆる社会インフラというものが、ほとんど放置されたままになっておりました。

西尾:あ、どうぞ他のかた、ご質問を。まだご発言のない方どうぞ。

田中:選挙はどうでした?やはりサマーワはシーア派ですか?

番匠:えぇ、もう圧倒的にシーア派ですね。サマーワの選挙は非常に清清といったと聞いております。

田中:もう一つ聞きたいのは、遺跡が多い、イラク全体がそういう地域ですけれども、それに対する保護というものは、どうなんですかね。この前見てますと、イラク人が略奪したり、完全にそのひどい・・・

西尾:めちゃくちゃ略奪でしたよね。

田中:これは僕は非常に重要なことだと思うんですね。これは前に『翼』にも書いたんですが、日本の自衛隊そのものが、いろんな文化の問題をね、施設というか、遺産というものを、どの程度保護しているものか・・・

西尾:サマーワの辺りには、ないんでしょ?

番匠:ありました。先ほど見ていただいたウルク遺跡というのは、サマーワのすぐ近くにあります。それからウル遺跡というのもありますけれど、これがナシリアのタリル空軍基地といって、我々が離発着で使う地域にあるんです。ですから、ビルガム史にでてくるウルとかウルクとかがほんとに目の前にあるわけです。多分小さなものはもっとたくさんあるんじゃないかと思います。ウルの遺跡あたりは、国内のかなりの大学が何十年も発掘調査をされていて、私も行く前にその資料をみながら行ったのです。もう今は管理施設も、放置されたままで、誰も管理していないのです。ウルがそうです。ウルクの方もそういう状況で、多分、盗掘にまかすままじゃないかと思います。

 ですから、彼ら自身もそれに問題意識を非常に持っていまして、ムサンナ県にも文化財保護を行う部署がありまして、そこと連携をしたら、保護の為の外柵を是非とも作ってほしいといわれ、これは我々の時に段取りを始めて、二次隊、三次隊で作ったものですけれど、十数キロの外柵を作りました。

田中:効果はあるんですか?

番匠:まぁ、全くないよりはいいでしょう。乗り越えたり、壊したりして入るのはしょうがないでしょうが、全く何もないよりは、そういうものがあればそこは保護されます。侵入を防げます。

西尾:そこを警備するものはいないのですか?

番匠:警備もやっております。我々じゃなくて、おそらくイラク側が自警をやっております。

西尾:現在までになさったことは、水道の供給、これはもう完成したわけですか。

番匠:三本柱は引き続きやっております。

西尾:水道、学校、道路。

番匠:水を自分達自身で作って配るということ、今度簡易水道の施設をODAで入れて、
・・・・・・・・・・・・・・・・・途中、テープ途切れる・・・・・・・・・・・・・・・・・
これも隊員が行って自分達でブルドーザーを動かしたりということではなくて、できるだけたくさんの現地の人たちを雇用して、昨日現在で900人くらいいっていましたので、毎日1000人近い人たちを雇用して、ムサンナ県とかいろんな所でですね、道路工事とか、学校の補修とかやってもらって、それを定期的に点検しながら、完成したら向こう側に受け渡すと、そういういわゆる後方支援。あともう一つが医療支援で、これはサマーワ病院だけじゃなくて、何十箇所という診療所とか、保健所みたいなものがありますから、そういうところの、医療支援を含めてです。

西尾:それは自衛隊の医師団が出て行くということですか?

番匠:そうです。ドクター、ナース、それから薬剤。

西尾:これは600人の外ですね?

番匠:中です。

西尾:中ですか・・・。

番匠:衛生部隊というのが、中にあります。今申し上げたのは、全部中です。

西尾:あぁ、そうですか。で、薬などは日本から?

番匠:ええ、日本の自衛隊の予算やODAなどで買っていただいて、あと、クェートなんかでもけっこう薬があるそうで、そこらへんから買っています。私たちの医務官がやっていたのはですね、枕カバーとか、シーツとか買ってくれと言うんです。なんでだ?と言うと、あれはもう、とても洗濯してもだめだと、それで、我々が持っている予算の枠で、それを買ってきて配ったり、そんなことをやりました。