TEL QUEL JAPONより(2)

日本人洗脳工作 & SUSUMU OKANO (2)

米戦時情報局が見た中国共産党の日本人洗脳工作

日本軍の特攻や玉砕に大きな被害を受け、その対策を心理戦争の面から講じようとしていたアメリカ軍とくにOWIは、延安で中国共産党軍とくに八路軍が多くの日本兵捕虜を獲得し、日本労農学校で反戦教育を施し、その卒業生の日本人民解放連盟への組織化によって日本軍へのプロパガンダ工作をシステマティックに実施しているのに驚いた。

そして1944年の現在は岡野の提唱した日本人民解放連盟中国ばかりか日本でも反戦活動を行う準備を進めている第四段階である。

「戦陣訓」のしばりによって、日本兵捕虜には敗戦協力しか帰国の途はないことに八路軍は気づいた。そこで敵軍工作部は反軍国主義、さらには社会主義思想注入のための再教育を捕虜に受けさせる。さらに思想改造をしたかれら捕虜を前線に送り込み始めた。

OWIや国務省のジョン・エマーソンらは、延安で設立され、多数の日本兵捕虜の再教育を行っている日本労農学校に注目した。『延安リポート』で48ページに及ぶ長文のリポート第45号「日本労農学校(一つの研究)」はOWIのコージ・アリヨシの授業参観や取材に基づく労作である。

学校では、岡野校長は批判と自己批判を学生の進歩に不可欠なものと信じている。彼によれば、それは深く染み付いた古い思考を脱ぎ捨て、新しい生活様式を受け入れるのに役立つ。

網走刑務所にいる日本共産党幹部徳田球一から延安の岡野に密使として派遣された岡田文吉(延安名、沢田淳)という日本共産党員がいる…岡田は「延安入りを敢行した際にも、特に軍部に顔の利く、河本大作氏の庇護をうけて(!これで歴史解釈は大きく変わる)、その目的を達した」という(川口忠篤『日僑秘録』太陽少年社):(参照:暴かれていた河本大作の嘘

1945年末にも予定される連合軍上陸に解放連盟は八路軍とともに上陸し、連携した宣伝・宣撫の戦術、戦略を練っていたことに注目したい。第44号「華北日本人民反戦同盟第一回大会 日本兵士代表の諸決定」は反戦同盟の上に意識の高い者を集めた共産主義者同盟であることを示している。毛沢東が絶好機の到来があれば、解放連盟の共産主義者同盟員を第5列に仕立て、八路軍による日本占領の戦略を念頭に入れていたとも考えられる

岡野は毛の指示を受け、労農学校で集団批判や監視活動を実行した。重慶には鹿地亘や青山和夫のような日本人亡命者が捕虜を指導したし、国民党軍は彼らの協力を歓迎した…日本人捕虜がいる世界の戦域において延安のみで、「社会主義的非戦思想の教育ないし洗脳」(『日本兵捕虜は何をしゃべったか』)が行われた。:(Bruxelles注:Brain Wash=洗脳とMind Controleは別行為をさす。Brain Wash=洗脳という語は中国共産党にその語源を発する、ということを思い出した。)

延安を訪れる連合国側のジャーナリストやアメリカ軍の将校に対し、共産党色を隠し、穏健な民主主義者のポーズを取った。こうした手法が5年後の毛沢東の中国支配の道をひらいた。(SnowもSmedley等もまんまと騙された)

占領期日本では戦時期に洗脳された捕虜や知識人が道具として利用された。その後は工作を受けた一部の日本の政治家やジャーナリストが彼らに代わった。

参照:山本武利 20世紀メディア研究所代表

・・・・・追記:2012年10月29日・・・・・
戦争とインテリジェンス:山本武利
山本武利氏は戦争とインテリジェンスのおそらく日本最高の専門家。日本人のこれまでの戦争理解が観念的すぎる(悪く言えば現実無知である)ことがよくわかる。
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・・・・・追記:2012年11月4日 平成の日常から HP紹介・・・・・
国民全体に浸透しおそらく100年は続くだろう日本人洗脳
後世普通の人が当たり前のように口にするWGIPの一例と、
体験者が記録した詩歌 = 短歌反論の反論 < 元ペイジ

TEL QUEL JAPONより(1)

当「日録」にハンドルネームBruxellesでよく投稿されていた方で、TMさんという方がいます。その方のブログTEL QUEL JAPON

は歴史の秘密にせまる新鮮な情報と発見に満ちています。大変に感服し、これから何度かに分けてご紹介したいと思います。

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西尾先生のメイルを拝見して
はじめて自分のBlogを振り返りました。
まだざっと半分しか振り返っていませんが、
力を入れたのは5テーマあると気づきました。
1.プロパガンダのもとは、心理学とそれから派生した
広告技術にあるということ。もとは100歳以上生きたフロイトの甥。
ロックフェラーの人格改造をしたのは、別の心理学者ですが。
強欲な資本家ほどフィランソロピストなのはそれが彼らが指導した
戦略だから。慰安婦像にしろマイクホンダにしろ、あの方面も
広告代理店が介入しています。その名前も突き止めた記憶あります。
これはほかにだれも言わないので、読者の反応全くなしです。

2.日中友好と日本兵の洗脳
立派な日本兵が、洗脳教育されて
土下座して泣き叫んで詫びているfilmをみて
いたたまれない気持ちになりました。
野坂参三が絡んでいます。アメリカの心理操作専門家たち(日系人もいる)
3.日米了解案&松岡洋右に関して&
(日米開戦、終戦工作)
4.ルーズベルト政権にいた共産スパイ
及び、イギリスのケンブリッジ・ファイヴ
の解明&寝返ってすべてを告白したスパイたち
それと原爆関連のスパイ
5.ウイルソン大統領とFRBの成立
リンカーンの解明
FRBの成立過程は、非常に重要で
このへんから経済や金融資本や政策の一部が
国境をなくす、いわゆる陰謀論の必然。
ひとことだけと言われたら、やはりFRBの正体
とその成立の詳細を言い残したいかも、です。
陰謀論に与するつもりは全くありませんが。
FRBが政府から独立しているのは間違いない。

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通化事件 追記4

通化事件:wikipedia
通化事件に学ぶ国を失うことの過酷:ねずさんのひとりごともう30年以上前に福井先輩から通州事件については聞いていたけれど通化事件は初めて知った。Dixie Missionは中国共産党の何を見ていたのだ!日本人民解放連盟を調べていてこの事件に突き当たった。

通化事件Wikipedia参考文献の一番上に「 医師・紙田治一の記録」というものがある。今日はもう遅いので明日に読もうと思っている。もしや、と思ったがやはりそうであった。紙田治一の生涯 [記録]に親子の写真が出ている。現在は画家となっている紙田彰処女詩集「魔の満月」(書肆山田刊)を持って詩壇にデビューした頃、詩人として出会っている。つまり自らキーボードをたたいて体験者として通化事件の記録を残した紙田治一氏は私の古い友人の父親であった。

追記:2012年10月12日
通化事件:英文資料を読むより10倍の時間と100倍の疲労を感じ、何度も何度も休憩を入れながらフラフラになってようやく読み終えた。思考がいろんな方向に結びつき、過去の情報と繋がり、閃いては消え、立ち止まっては、頭を休め「読み」に戻る、また途中何度も投げ出したくなったことも事実である。古い友人の父親が書き残したものでなければ、途中で「読み」を放棄していたかもしれない。いろんな思考が立ち上がり浮遊し、途中で時間を奪った。心と頭が疲れた切った。これを読んで、疲労困憊しない日本人はいないだろう。知識があればあるほど独自の判断を入れたくなる。そして現場にいなかった者として、いくら考えても深く考えても、それは「独断」を免れない。判断は論理を必要とするが、今は疲れて論理が動かない。かすかに感情的思考がただ残るのみである。所謂感想である。
感想1:南京虐殺と、慰安婦問題に類似したものがセットで出てくる。これらは、通化事件からパクった転用ではないか。つまり、自分たちのしたことを、立場を逆転させてあれらを捏造したのではないか。だからありありと、目の前に展開するように語れるのだ。そっくりすぎる。つまり通化事件が、南京や慰安婦の種、になっているのではないかということ。
感想2:これを水島さんにぜひ映画にしていただきたい。このインパクトなら南京のPropagandaを押し返せる。私は過去記事で水島さんの映画のコンセプトを2度否定している。過去記事1過去記事2。早い話が南京のPropagandaを打ち崩すための映画に「南京の真実」などという勘違いするようなタイトルを付けること自体が最悪である。「7人の死刑囚」などというコンセプトも否定すべきことをはっきり否定するものではない。死刑囚という前提を持ってきて、どうして否定できるんですか。 「通化事件」だったら、南京の虐殺というのは、なかったとかあったとか言ってるけれど、本当はこれだったのかと、たいていの人は思うでしょう。慰安婦もしかり。嘘よりも事実が強いに決まっているのです。事実を見せれば、パクリがわかる。
感想3:満州国成立前から満州には漢人が多くいた(焚書図書開封7)らしいけれども、文章の中で満州族を漢民族のように勘違いしている記述が2度あったのが気になった。(引用:だが、第二の悲劇は日本人よりも、むしろ満人……今は中国人となった漢民族の上に、より多くの試練を下すものであった。)満州人は本来女真族の筈で、五族協和で満漢が出てくるのは満州族は漢民族ではないということなのだから。
感想4:この資料は元共同通信社記者、社会部長・山田一郎氏の著「通化幾山河」(『秘録大東亜戦史』満州篇下巻、富士書苑、昭和28年)を基本的に参考にした。ーとありましたが、本当に山田一郎なる人がいたのかどうか、身分を隠した、いかにも偽名のような名前。幾山河にしても瀬島龍三回想録と同じタイトルで、内容と合わないように思うのです。なぜそう思うかといえば、「このとき、山田一郎著「通化幾山河」について事実に相当違いがあるという多数の意見が出され」という筆者の発言もあるので、この点は見落としてはならないのではないかと。所々に日本軍の悪や平和主義が匂うところも、少し気になる。この程度のマイナス史観は「言挙げ」の松原久子氏にもあるものなので、気にする方がおかしいが。パースペクティブをもって書くためにはこの本を参考にせざるを得なかったこともよくわかる。山田一郎氏に関してはあとで調べれなんとかわかるだろう。
感想5:映画にする場合は、紙田氏の視点、つまり蜂起自体が仕組まれた工作にハメられたものであるという見方で描くのがベストだと思う。(引用1:略称「日解連」と呼ばれるこの団体は、北支山西省延安の日本人政治学校で岡野進(野坂参三)から共産主義教育を受けたといわれる杉野一夫(杉本一郎)という人物の指導の下に、中共軍の日本人に対する意志伝達の下請け機関として生まれたものであった。引用2:岡野進(後の日本共産党の野坂参三氏)が作ったという大会運営方式で議事が進んでいった。)通化事件には明らかに岡野(野坂)の影がある。ひとつ前の記事にNozaka was responsible for the POWsと書いた。野坂は延安で日本人捕虜の思想改造を担当していた。その完成したものが通化に来て全てを動かしている。野坂と一番頻繁に接していたAriyoshiはOWIのPropaganda心理作戦の専門要員である。仕組まれた工作の必要がなければ、延安から共産党員化した日本人が送り込まれる必要はない。(参照)野坂が教育したPOWsは全てが農村出身者か無産階級者であった、で?と思ったが、共産化しやすそうな人間を選んで命を維持させ(他を殺戮することで、彼らはすでに選抜された者なのだ)彼らを優遇し、完璧な党員に仕立て上げたものと思われる。通化事件加害者の中には中国共産党に加わった旧日本軍人が多くいた。実際彼らは満人や国民党兵や多くの日本人住民を虐殺した。戦後「中国で女を強姦したとか、中国人を多数虐殺した」とか歴史の証言者として語る日本人の多くは、中国共産党員になっていた日本人だとすると、すべての説明がつく。事実彼らはそうしたのであり、それを証言するのも彼らが宿題として持ち帰った任務なのだ。いずれにせよ通化事件は引っ張り出して公にし拡散しなければならない。いろんな不可解な謎の解明に繋がるはずだ。
感想6: この通化事件を読んで一番思うことは、ねずさんのひとりごとのタイトルにあるように「国を失うことの過酷」に尽きる。国を失えばこうなるのだと、読んで鮮明に感じ取っていただきたい。本来人間存在は国家とかくも直接に一体化しているものなのだ。私が一番それを感じたのは以下の部分だ。(引用:「紅軍進駐万歳!」と赤い字で大書したアーチである。楊旧通化省長以下の日満要人が駅頭に出迎えた。手に手に赤い小旗を持って。)国を失くすということをこれほど痛感させるシーンはない。否応なく奴隷化しなければならない被占領者の悲哀であり屈辱である。たとえハメられたとは言え、決起した日本人たちを誇りに思う。日本は占領期間があったとは言え、国土が残り国民も日本人であり続けた。しかし満州国は消え、その国民も泡のように消えた。「国を失うことの過酷」をシミュレーションでもいいから体験することは、今の日本人の意識に大きな変革をもたらすだろう。そう願いたい。
追記:2012年10月28日
感想7:紙田治一氏遺稿のこの部分、永久陣地「光建設」の計画は、どのような作戦と連動していたのだろうか?敗戦を目前にして、日本本土が占領された場合、ここで踏ん張るという発想は地政学的にも有り得る。永久陣地という呼称も「光建設」という計画名も非常に説明的でわかりやすい。それは着々と準備されていたのだ。御前会議で敗戦が決まった時点で、計画は突如破棄・忘却されたのだろう。敗戦後関東軍が引き上げたとは言え、共産中国は余力が出来次第、やはり不気味な「永久陣地」をたたきつぶそうと、計画的に延安から前田光繁をはじめとして、骨の髄まで共産化した工作員を送り込んだと解釈できる。

追記:2012年10月17日
通化事件 その1 & その2 & その3 & その4
通化事件に巻き込まれた流転の王妃
追記:2012年10月19日
通化事件 その5 &
・・・・・・・・・・・・・・・・・

追記・参照 2012年10月29日
年表 日中戦争以後詳細
戦中・戦後を中国で生きた日本人について
Interview List 必読
岡野進の残留日本兵改造
例:11.日本人民解放連盟の出現
例:7.解放連盟の学習会
例:11.牡丹江
例:4.敗戦後の満州
例:28.和平会談決裂
例:29.残留日本軍の終焉
米澤泰英 新刊案内

暗闘―スターリン、トルーマンと日本降伏
長谷川毅著:Tel Quel Japon過去記事
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・・・・・追記:2012年11月8日・・・・・
無理だと半分諦めていた書物を入手した。大東亜戦史7満州編(下)、富士書苑 昭和49年2月5日9版発行、というものだ。謹呈 中東和英の署名と印鑑がある。この人は執筆者のひとりだ。その裏には寄贈者 川北哲殿、という記述もある。お借りした先は、和歌山県立図書館。貴重な写真、イラスト、略図などもある。人が借りて読んだ痕跡は全くない。何故この本を入手したかといえば、山田一郎氏の「通化幾山河」が収録されているからだ。全部で18あり「通化幾山河」は7番目にある。軍人であろうと民間人であろうと、満州に暮らし引き上げてきた親族のいらっしゃる方には、興味深い書物になるのではないかと思う。文字を介してであれども「現地に飛ぶ」体験が視点が必要だと思うからだ。「大事に扱ってください」と図書館員からの伝達があった。言われなくても、撫でるように大切に扱うつもりだ。皆さんにもそうして欲しい。
・・・・・追記:2012年11月10日・・・・・
この文章のなかに以下の部分があるのでピックアップしておく。よくある名前なので何とも言えないが野坂と行動を共にする山田一郎なる人物(おそらく仮名)が登場する。野坂同様大抵が別名を持っているので紛らわしい。

四六年五月二十三日付の東京のCICが野坂の帰国日程をまとめたものがあるにはある(26)。しかしそれは一月十二日に福岡、一月十三日に東京に着いたといったソウル以降の記録が新しいだけである。釜山から福岡までに同船した者には森健、山田一郎、梅田照文のほかに佐藤タケオという人物がおり、さらに野坂よりも数日前に釜山から福岡に着いた岡田文吉が、彼と東京まで同行したとある。

ついでながらこの岡田文吉はTel Quel Japon過去記事に登場する延安名、沢田淳なる人物で、網走刑務所にいる日本共産党幹部徳田球一から延安の岡野に密使として派遣された男である。ご記憶あるだろう。あの河本大作の力を借りて日本から延安入りする日本共産党員である。
探してみるとこの文章に「通化幾山河」を書いた山田一郎氏が登場する。松本重治にイメージが重なる人物のようだ。ひょっとしてこの山田一郎氏と同一人物なのだろうか?

・・・・・追記:2012年11月23日・・・・・
大東亜戦史7満州編(下)、富士書苑 昭和49年2月5日9版発行、を読んで暗澹たる気持ちになった。整えたインフラ、武器、軍人、そこに暮らした日本人、日本の敗戦は、すべての投げ捨てのような気がする。武装解除の命令の前に、熟慮すべきことがあったのではないのか。せめてこの本を紹介しておきたい。
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参照:菊千代さん: 参照:鉄太郎さん

コメント

滿族人不喜歡日本人
滿族人最希望日本滅亡
滿族人萬歲

  • 2013/01/01(火) 19:49:30 |
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「インターネット日録」の再出発にあたり

当ブログ「西尾幹二のインターネット日録」のヴァージョンアップの改築工事中ですが、面倒な作業を続行している高木薫さんにまず厚く御礼申上げます。

間もなく坦々塾新年会のシンポジウムと質疑応答を録画したYouTubeを開示いたします。再出発にふさわしい内容と存じます。

さて、私はといえば、全集第13巻『日本の孤独』の「後記」約50枚を一昨日完了し、これから『正論』の連載に取りかゝるのですが、その前に「確定申告」の計算を計理士に渡すという面倒な、一年でいちばん嫌な仕事を片づけねばなりません。

きっと気づいている方はいると思いますが、『正論』の連載は遅々として捗りません。いま新しい鎖国論を試み始めていて、その入り口で立ち停っております。鎖国に入ったわが国の前期鎖国時代(1630~1750)を日本の外から眺めるという視点が、今までの歴史書にほとんどありません。日本史研究家にありません。

イギリスの地球侵略史の全体構図の中で、なぜ日本列島と北太平洋は見逃されていたのか。日本の軍事的強さゆえなのか、ぼんやり見過ごした幕府の迂闊さなのか、恵まれた富(金、銀、銅の埋蔵)のゆえか、東側の海(北太平洋)が深く荒涼たる深淵であったがゆえか、そういうことを今までの歴史家は考えないのです。日本史の内側のことを詳しくほじくっているばかりです。

今このテーマにぶつかっていて、勉強の時間が足りなくて、立往生しています。連載は2回休みました。編集長に「あゝ書けない!今月も書けないですよ。時間が足りない!」と嘆いて、代りになんらかの『時局論』を書きます。かくて3月号は「日韓合意の悪夢の到来」を、4月号は「覚悟なき経済制裁の危険」を書いて、お茶を濁しました。これが真相です。

濁したお茶も、それぞれ味も良い、こくのある濃いお茶ですから、安心して飲んで下さい。水で薄めてなんかしていません。けれども歴史論より10分の1の時間で書けるのです。

「GHQ焚書図書開封」をYouTubeでご覧下さっている熱心な愛読者の方もおられるので、これについてもひとことご報告しておきます。

この仕事は本当はもう止めたいのです。種本はいくらもありそうですが、使える本、テレビに向いている本、読みあげて分る本は尽きかけています。テーマは勿論まだたくさん残っています。「ユーラシア侵略国ロシア」「ノモンハン事件」「満州」など、きりがないほどテーマは残っています。今週からロシア史に取りかゝりました。3月末放送を皮切りにロシア史をつづけます。4月にいよいよついに200回目!の放送録画となります。順にYouTubeでも流布しています。

次回の刊行本は「GHQ焚書図書開封」第12巻「名著発見」で、和辻哲郎、真山青果、山中峯太郎、を取り上げます。わけても真山青果の戯曲『乃木将軍』が白眉です。この巻では、司馬遼太郎の『殉死』を集中的に批判しました。すでにYouTubeでご覧の方もいるでしょうが、本になったら「歴史とは何か?」をしかと考えて下さい。通俗作家は結局は通俗的なのだということもきっと分るでしょう。

では、読者の皆さま、今後も「インターネット日録」をご覧下さい。コメント欄もよろしくお願いします。

 

お知らせ

日録管理人です。

現在バージョンアップの作業をしていますが、
思いのほか、時間がかかるようなので、
コメントを書き込めるようにしました。

感想のある方はどしどしコメントをお願いいたします。

「ドイツ・EU・中国」そして日本の孤独(八)

EUの陰に隠れて膨張するドイツと難民問題について、エマニュエル・トッドは著書の最初にヨーロッパの地図を載せています。EU解体を狙っている勢力とか、EUから離れたがっている国々とかを色分けしています。イギリスはユーロに入っていません。イギリスもドイツも苦境に立っていますね。ドイツはフォルクスワーゲンの問題や難民の襲来で二重苦三重苦でしょう。すでに難民の宿舎に火をつけた事件がもう250件くらいはあるのでしょうか。これから激しくなりますね。それでいて、今まで難民反対のデモをやっていたのがピタッと無くなった。難民受け入れについてのいろいろな論議もピタッと無くなった。言論統制というか、言ってはいけないこと、人種差別になると・・・。そういうことがドイツを覆っています。日本が救いなのは、私がこういうことを堂々と言えることですね。私が人種差別だなんていう人はいませんからね。私は日本が「被害者」になるとは言っていないのですよ。日本人が「加害者」になるから止めておけ、と言っているのです。必ず加害者になりますよ。ドイツも加害者になるのです。日本の場合は慰安婦問題からも分かるように、加害者になったら海外にどんな喧伝されるか分からないではありませんか。だからこういう国は警戒に警戒を重ねた方がいいのだと言っているのです。私はズルいから被害者になるなんて言わないで、「加害者になるのですよ、よく気を付けてくださいよ。」と、そこまでしか言わないのです。

「腐肉に群がるハイエナ」ということについて、IMFは人民元のSDRを認めて、中国はそのための口約束をして、その間にAIIBの支払いがあり、その前に人民元で決済をする。上手くいかないのではないか、中国は金が無いのになぜあんなことがやれるのか・・・。見ているうちに、ちゃんと人民元でAIIBで動かし始める。それをイギリスもドイツも期待しているのです。イギリスは先の総額7兆円の契約があり、ドイツは今後東へ伸びて行こうとする場合、北京からベルリンまでの鉄道を充実させて輸送路をつくるなどというド派手なプランにドイツ人は大喜びをしています。ドイツと中国が手を結ぶことに必然性があるのはロシアもなのですが、もともと陸軍国なのです。海軍国イギリスがなぜこれに参加したのか理解できませんが、ドイツ・中国・ロシアは海上のラインを抑えることはできません。海軍国ではないし港を持っていません。中国もロシアも実は太平洋に出て行くことはできません。アメリカと日本が頑張れば絶対にできません。海軍国イギリスがなぜ後押しをしたのかが分からないのです。海軍国・陸軍国というのが昔からあってロシア、中国は陸軍国で、日本もアメリカも海軍国です。第二次世界大戦は海軍国の日本がアメリカと組めていればあんなことは無かったでしょう。それはあのときの失敗ですね。

シティは怪しい闇取引、オフショアの代表で一種の闇金融です。しかしヨーロッパの社債などの5割くらいをシティで発行していますが、タックスヘイヴンの総元締めみたいなところがあります。いっぽうで2008年以来アメリカは必死になってタックスヘイヴンや闇金融を押さえようとしています。ところが2008年の金融ショックで、アメリカがタックスヘイヴンを経由してお金がテロリストに流れるということがはっきり分かったので、それを止める。北朝鮮のタックスヘイヴンも止める。マネーロンダリングを止める。アメリカはスイスの闇金融まで押さえようとしていますね。まだ完全には出来ていませんが。おかげでスイスは国家的危機に陥っています。ところがイギリスはそのタックスヘイヴンを復活させたいわけです。それを中国という闇がタックスヘイヴンを始めたらとんでもないことになりはしませんか。私はそういうことを心配しています。資本主義の大変質が起こるのではないでしょうか。アメリカがそんなバカなことを許すでしょうか。まだ信じられません。本当のことは分からないのですよ。だけれど人によっては、中国をこの制度に入れてやらせると中国も初めてまともな国になるとこういうことを言います。まともにせざるをえなくなり、開放して人民元が下がりはしても、まともな資本主義国家に変質していくステップになるだろうということです。そうされては困るということで、中国共産党内には簡単に入らない方がいいという議論があると聞いています。分かりませんが。議論はそういうところらしいですから皆さんもちょっと調べてみてください。つまり悪いところを考えれば、人民元のタックスヘイヴン化ということ。良いことを考えれば、中国はこれで表街道に引っ張り出されて、オープン化されるのではないか。どちらか分からりません。でも私は前者だと思っています。だからやっちゃいけない。いつも裏切られているではありませんか。

もともと南太平洋のことをイギリスやフランスやドイツはどう考えているのでしょうか。南沙諸島のあの島々のことをイギリスは喜んでいたのですよ。いまでこそアメリカは怒っているということを知っていますが、一時イギリスはあそこの軍事基地を喜んで応援しようとしていたのです。それくらいアジアのことをナメているのです。そういうことを騒ぎ立てるのが遅すぎたわけで、フィリピンは国際提訴したので国際政争が続くことでしょう。日本は南太平洋の人工島の要塞化を恐れているけれど、何れにしてもイギリスもフランスもドイツもあまり気にかけていません。どうでもいいことなのです。それで中国経済が盛り上ればそれでいいと思っています。

中国に恩恵を与えてやれば、お金持ちになれば民主国家になるだろう、というのが多くのひとの願いだったけれど、ぜんぜん逆の方向へ走ったというので、アメリカが怒りだしています。でもそんなことは分りきったことではないですか。あの中国人が唯我独尊になるのは初めからのことで、いつもそうしてきた民族です。嘘ではなく、思ったとおりにやっているのです。期待して恵みを与えれば感謝して「よき国」に変わるだろうという期待をもってやるのだとしたら、アメリカもおかしいですね。裏切られてやっと、というのは何とも知恵の無い話であって、アメリカは本当にやっと今気が付いたのです。アメリカはやっと気が付いているけれど、しかしイギリス・ドイツは気付いていないということです。そしてSDR、金融面での人工島が造られてしまうのではないか。私はそう思うのですが、心配のし過ぎですか。ただ、AIIBについては銀行で、政治的に日本の復興銀行とかと同じようなものでしょうから。でも日本も中国に対抗して13兆円出すとか復興銀行の条件を緩和するでしょう。

私もよく分からず、皆さんと同じように新聞やインターネットを見たりしている一介の素人です。こんな深刻な難しいテーマには入ってゆくべきではないし、入れない立場ですが経済のことは本当に分らないのです。それと政治の未来も分かりませんね。アメリカがリーマンショックで衝撃を受けて、金融を粛正しなければ自分たちが危ない。なぜならそのバブルになった金がテロリストに流れてゆく。それは今後もそうで、それを抑えなければいけない。2008年以降、アメリカの金融がそのような危機感から問題の引締めに入っているわけですね。それでもアメリカには何処かにまだタックスヘイヴン的なものが残っていると聞きました。全部は100%の排除は出来ていない。ですからイギリスのあり方には、多分ドイツもですが、アメリカの一部の指導者は渋い顔をしているだろうと思うのです。特に共和党なんかの。でもそれもよく分かりません。人民元のSDR承認については一時アメリカ議会の承認が必要だとも聞きましたが、共和党がいるので反対はするでしょうけれど、どうもそういう条件は無いらしいですね。IMFの理事会の判断らしいですね。オバマはOKを出しています。オバマっていう人も本当にノータリンですよね。今はもう完全にプーチンに手玉に取られているではないですか。任期はあと1年ですか。誰が大統領になるかで日本の運命が動いたりするというのは厭ですね。この先どういった動向に向かうかは、この年末まで世界のニュースを見守っていてください。

文章化:阿由葉秀峰

「ドイツ・EU・中国」そして日本の孤独(七)

 講演後の対談から(対談者の発言は省きます。)
 
 日本の孤独ということについて、2012年に中国で反日暴動がありましたが、世界は日本に同情をしませんでした。それで中国の味方をする。アメリカもそうでした。全く理解できないのは第二次世界大戦の前にも同じようなことがあって、日本商品はボイコットされた。「日貨排斥」といいます。「か弱いシナ人を邪悪な日本人が虐めている。キリスト教の精神からも許せない。」それが戦前のアメリカの人の大方の心理でした。今だってそうです。そしてアメリカもイギリスもドイツも中国で稼ぐだけ稼いでさっさと立ち去って、日本にだけ政治負担が残る。今回もそんな感じでしょう。これからもそうなるのではないのでしょうか。だから中国に介入しないのが一番賢い。中国から稼ごうと思わないで、他から稼いで出来るだけ中国に介入しない。少なくとも韓国にはそうですね。そのことは気づきましたね。ならば中国にも同じです。一切貿易もしなくていいんじゃないでしょうか。中国と貿易をしないと成り立たないのですか。三橋貴明さんは中国との貿易は必要ないと書いているけれど、どうなんでしょう。

 日本はドイツ帝国と中国で対立するだろうと私は言いましたが、中国とドイツが以上のような関係なので、ドイツは経済的だけではなく技術的にも軍事的にも中国を応援をするでしょう。ドイツの技術を惜しげもなく与えているようですから。日本の技術なんか要らないと中国は豪語しています。

 問題はなによりも軍事技術です。今武器輸出国の1位がアメリカで2位がロシア、3位が中国で4位がドイツという順序です。日本はやりませんから。しかし諸外国は武器輸出をした国のほうが信頼できる国と評価します。新興国や小さな国は輸入品として最新の武器が欲しいのです。いま潜水艦の問題で最終的な結論は聞いていませんが、オーストラリアが日本の潜水艦を欲しいと言っていますが、政府がはっきりしないので日本の三菱重工業も煮え切らない。アメリカの信号システムが入っているからオーストラリアは日本製が欲しいといいます。ヨーロッパ・ドイツのシステムではアメリカのものに整合できないので、システムを整合させたいとオーストラリアは思っているそうです。通信システムとかでしょうか。それにもかかわらず日本のメーカーが積極的ではないということです。日本は不思議な国です。ドイツ・中国一致と日本との対立は軍事的な面ですね。ドイツは表に出てきません。ちょうど蒋介石を応援したゼークトのように、ドイツは後ろで中国を支えることでしょう。でも皆さんは日本が戦争をするわけないと思うことでしょう。

 ドイツが日本憎しになるのは仕方のないことで、フォルクスワーゲンの走行中の検査機械は日本製だったそうですね。これでドイツはまたやられた、と思っているでしょう。でもヨーロッパはそんなバカではありません。中国が為替を変動相場制にしないとか、あの滅茶苦茶な株式マーケットのやり方を知っていながらSDRを推進する理由は、よく分りません。一方で反対している人も沢山いるわけですから、今でも分かりません。またこういう考えもあるかもしれません。SDRを引き受けるのなら、習近平が半年後に履行するなどという口約束ではだめで、これだけのことを実行せよ。そういうことになると中国経済はガタガタになると宮崎正弘さんは言っていますね。人民元が変動相場制を受け容れたら、もの凄い急落をするでしょう。4分の1くらいになるでしょう。それを待ち構えているのは禿鷹ファンドです。上がっても落ちても儲けるのです。だからじっと見ているのではないですか。人民元が轍にはまったら大変だから、中国の国内でも簡単に受けない方がいい、という声もあるようで。だからよく分からないのです。変動相場制になったら人民元が急落することだけは確かなようです。そうなると日本のGDPがまた2位に戻ってしまう。ドル高計算ですからそうなるのではないでしょうか。

 これから10年くらい中国経済はダメでしょうけれど、20年後はわかりませんね。皆さんも何かで読んでご存知でしょうけれど、中国は今の政治体制では続かないでしょう。つまり7つくらいに軍閥(今は軍管区というが)ごとに国が割れてしまうのではないでしょうか。そう言う人もいます。軍管区が7つありますね。あるいは連邦スタイルになるとか、チベットとウイグルが独立するとか、台湾もそれを望んでいるでしょうし。そうなればまともな国になるかもしれません。だいたい中国はヨーロッパみたいに各地で文化も言葉も違う地帯ですから一つになっているのがおかしいのです。ヨーロッパがバラバラなように、もともとバラバラな国なのです。中国はたくさんの地方、地域、国々があって、字を読まなければ意思伝達ができない。毛沢東が大演説をしても地方から来た議員たちは何を言っているか分からなかったそうで、そのうちにペーパーが回ってきて読んでわかるということです。ですから漢字だけが唯一の伝達手段で、発音も文法も違うのです。それは黄文雄さんも言っていますね。しかし最近は北京語が普及してきているということです。一概には言えませんが、それでも文化はバラバラです。ちょうどアイルランドやポーランドが英語を使わなければ理解できないとかそういう様なことで、インドはもっとすごいので唯一の公用語が英語にならざるを得ない。日本は珍しいのです。タクシーの運転手も日本語が通じます。最近はスポーツ選手に日本国籍の黒人が入ってきて驚きましたね。

 日本はすでに移民国家です。だから「移民国家宣言」をしたらいいのですよ。日本は移民を受け入れていないということはなく、すでに100万人くらいは受け入れているでしょう。でも宣言なんかしたら「入れてくれるんだ!」ということになって・・・。言わない方がいいのかもしれません。政治難民、迫害されている難民の受け入れについても、ある程度入れているのでしょうけれど、今はかなり少数でしょう。外国人を入れるということは「外国に依存」することになります。大相撲がはっきりした例ですね。私は制限をしたほうがいいと思います。どこそこ国からは何人とか。

 日本が他国の移民政策の失敗に学べずに政策を進めていることについて、まだ実施していないと思うけれど、安倍さんは怪しいですね。「特区」というかたちで神戸のほうで外国人の女中さんを受け入れるというのが始まるでしょう。何人受け入れるか知りませんが、やめた方がいいと思います。というのも東南アジアの若い女性を家事労働者として迎え入れて、代わりに主婦がライフスタイルを変えて外で働けるために、ということらしいけれど、そんなことをしたら子供たちは日本語を話せなくなりますよ。もう一つ大事なことは、他の国は外国人を搾取することに慣れていて、使用人は使用人として区別して暮らせるけれど、日本人はそれが出来ないから「○○ちゃん、一緒にご飯を食べましょうよ。」となるに決まっています。そんなけじめの無いことをやっていたらいつか逆転します。中国人を非常に大事にした老夫婦が殺害されているではありませんか。そんな目立つ事件がすでにいくつもありましたよね。ですから慣れていないのです。パリは道路の清掃はチェニジア人などの黒人で、不動産屋はベトナム人、花屋さんはイタリア人で、なんていうことになっているらしいのですが、そしてアパートの受付はスペイン人で持ち主はフランス人だとか。そいうことを平然と何百年とやっていますから、パリは人種差別都市なのです。だから「外国人お断り」という張り紙をしたら人種差別撤廃法に引っかかったのです。日本は迂闊でそんな背景が無いから、すぐに「人種差別をしている国」というレッテルを貼られます。差別が固定化して当たり前になっている社会とはいろんなことが違うのです。今度のフランスの事件は驚くべきことでしたが、今後も続くことでしょう。ベルギーにもパリにもそういう人が住む町がありますね。アラビア特区のような所が。東京にも大久保とか北池袋とかがありますよね。そういう地域は自然と出来るのです。排他的で警察も容易に立ち入れないということです。今日はあまり移民の話をするつもりはなかったのですが。もうこれだけ世界で広がればどうでしょう。それでも日本には無理でしょうか。これだけ世界の教訓を見ていたら学ぶのではないでしょうか。

 介護領域の雇用に外国人を使うことがいけないのは、そういうことではなく、それよりも介護要員の給料を上げるべきということなのです。つまり移民を入れればその職種の賃金はさらに下がるということを意味するのです。だから怪しからんのです。それは雇い主の側だけが利益を上げることになります。だからこそ賃金を上げることが絶対に必要なのです。スーパーマーケットだって外国人を雇ってはいけないということにすれば、アルバイト店員の給料も上げることになるのです。一時そういうことがあったではありませんか、人が来てくれないから、ということでどんどん上がったと。それは労働者にとって幸せなことではありませんか。外国人を入れると経済的減速がおこり自由競争ではなくなり、どの職種でも日本の労働者が不当な扱いを受けることになってゆくのです。

 では高等人材だったら良いだろうということですが、これもまたとんでもないことで、今6年制一貫校、麻布とか開成とかにドドッと中国人が入っているようですよ。それで彼らが東大に入って官僚機構に入っていくのですよ。恐ろしいことです。一方でそれはたいしたことは無い、例えば大昔に大化の改新のころに帰化人とかあったじゃないかとか。それは意味が全然違います。中国人やイスラム系民族大移動の時代という現代現象と古代の話は違うのです。それから石原慎太郎は昔から何かというと外国人を入れろと言い、日本人は宗教的にも懐が深いので、どんな人がどれだけ入ってきたって、いつか抱え込んでしまうから大丈夫なので、ケチなことを言っちゃいけないなどと書いています。これは知らないのですよ、あの人は。日本の文化は確かに包容力があり、いろいろ巻き込む力をもっているのですが、ある特定のものは置き去りにしてゆくのです。仲間に入れないのです。人種的にも民族的にも置き去りにしてゆきます。まずキリスト教がそうです。キリスト教は受け容れていないのです。つまり置き去りにされていくわけです。韓国儒教も受け容れないでしょう。日本の文化体系の中に入っていません。つまりこの国は「原理主義」は受け容れないのです。だから意外と拒絶的なのです。包容力があるなどというのは古代と現代を勘違していて・・・。変なことを言う人です。保守に非ざる考えですね。

(まとめ 阿由葉秀峰)

つづく

「ドイツ・EU・中国」そして日本の孤独(六)

 ここにきてドイツは、移民が入ってきて更にとんでもないことになるのではないでしょうか。良いことは絶対に起こりません。それでも私はドイツを根源的に信じているところがあって、それは何かというと、ナチスがあったためにメルケルさんがあんなセンチメンタルなことを言い出して大変なことになっているわけですけれど、ドイツはEUの陰に隠れて、ナチスのために「ドイツ・ドイツ!」と言えないのです。やってはダメだから。ドイツ主義を隠して、「EU・EU!」と言っているうちに自分が大きくなって、EUの陰に隠れて自民族の拡大を図ったのではないか。あるいは図ろうとしているのではないかと。「膨張するドイツ」とはそういうことで、「仮面としてのEU・正体はドイツ」そういうことがあるのではないでしょうか。同時にユーロが無くなることをドイツは、ドイツの企業家は最大限に恐れています。

 フランスの知識人エマニュエル・トッドはユーロを無くしたいと思っていて、ギリシャもそうなのですが、フランスはドイツ産業にすっかりやられているわけです。フランスもイタリアもドイツほどの力を出せないのです。そのためユーロから外れてそれぞれ元の通貨に戻ると一時は経済が下がりますが、しかし「平価切下げ」を行うことができるわけです。切り下げると今度は独自に展開を遂げますから、マルクに支配されないでフランスは競争力をとり戻すことができるかもしれません。フランスには独自の産業の力があるのに、マルクに思うままにされていたらダメだから、フランの復活ということです。それは国民戦線党首のル・ペンが言っています。フランを復活させようと。そうすれば平価切り下げをして。ギリシャもそうです。ドラクマに戻れば最初は大変でしょうけれど、ギリシャは黙っていても観光収入があるから、それを柱にします。国際通貨としては安いドラクマです。しかし安いから人は行く。ユーロは高いから行かなくなってしまうのです。他にもそういうことは沢山あります。私はイタリアに昔よく行きましたが、安かったからよかったのに、ローマの空港に行ったって今は高いですよね。ユーロになったら昔だったら考えられないくらい小さなパンが千円もするとか。平価切り下げをすれば競争力を持つわけですね。それがEUの失敗であり、矛盾であると私は思います。だからEUはいつか無くなるだろうと言っているわけです。

 各国の主権の回復、EU議会の権限の制限をやる。そういうことで意見が一致して、イギリスもドイツもそう言っているわけです。しかしドイツはユーロが無くなったら、各国が独立したら、ドイツの一人勝ちができなくなります。今のドイツはこの構造に守られて、ドイツの産業界だけ儲かっています。そうではないですか。日本が円高で苦しんでいるときユーロがどんどん安くなって、競争力を高めた。韓国もウォンがどんどん安くなって貿易の競争力で日本に立ち勝りましたね。あの時期ドイツと韓国は輸出立国で稼ぎに稼ぎまくりました。今日本は円安になったのでようやく競争力を回復するようになったけれど、長い間円高で苦しんだ私たちは、EUを犠牲にしたひとり勝ちのドイツのことを変だと思って見ていました。長い間ドイツは儲けるだけ儲けたのですから、いってみればドイツの力がEUにヒビを入れたと言っても良いでしょう。それは先ほど言ったように、地方が衰え東京ばかりに富が集中するというのと同じように、ヨーロッパは北にだけ偏って富が集中するから、これは解体するか、帝国ドイツが本当に出現して一国が全ヨーロッパに富を分配する、というふうになるかどちらかであるべきなのですが、難しいですね。

 ドイツが中国と組んでいるのは現実ですが、ドイツと中国の間の「二国間政府サミット」というのがあるらしいのです。それくらいドイツは中国に入れ込んでいるし、中国人はドイツ人にペコペコに頭を下げます。川口マーンさんに聞いてびっくりしたのは、ドイツは鉄道の全車輌を中国から入れることにしたというのです。それまではジーメンスだったのですが。イギリスは日本から入れます。日立がもうイギリスに送り込んでいるようですが、最近のイギリスとドイツの関係を考えると、これも将来わかりません。「中国の車輌に命を預けていいの?脱線して土に埋められちゃうよ。あれはニュースにならなかったの?」と聞いたら「ニュースにならなかった。」というのです。中国の悪いことはドイツで報道されないそうです。もちろん専門家の間では知られていますが、皆が見る時間帯のニュースにはならなかったそうです。あんな大きな事故がテレビの画像に出てこなかったのです。それから中国の株を政府が止めたことも報道されなかったというのです。つまりドイツも中国に対してなにか意図的なのです。中国も日本の悪口を言うためにドイツを利用するし、もちろんこの紛争の問題では「日本はドイツのようになれ」とうるさいことを言ってきます。(註・2015年末ごろから2016年にかけてドイツのメディアは様子が変わり、厳しい中国報道を少しづつするようになった。)

 孔子学院をご存知でしょう。これは中国共産党のイデオロギーを教える学校ですが、これがもうカナダとアメリカでは追い払われています。その理由はカナダやアメリカに逃げた中国人が共産党から逃れて来たのに、ここに来てまでこんな教育を受けるのは厭だ、と言ったそうです。ところがヨーロッパではドイツの国立大学の中に入り始めていて、ドイツのある学者は「中国の民主主義は他の国が及ばないほど立派である。」と讃えています。この姿は第一次世界大戦の戦間期のドイツとシナの関係によく似ています。

 ハンス・フォン・ゼークトをご存知でしょうか。蒋介石を応援したドイツの将軍です。ドイツは第一次世界大戦のあと、戦争放棄する形をとりますが、密かに武装を続けていてシナにも潜り込んで蒋介石を応援します。蒋介石は長い間日本を苦しめます。1937年に第二次上海事変があり、日本は大変な苦労をして、将兵4万人くらい失っていますが、そのときゼークトが指導して作らせたトーチカでやられるのです。それは1936年の日独防共協定の後なのです。「頭は左で財布は右」という言葉があるそうですが、蒋介石とドイツが繋がった一つの理由としてタングステンがあり、比重が大きく硬度が高いため軍事上としても貴重な金属です。ドイツが産出量の多いシナからタングステンを手に入れるということがひじょうに大きな動機のひとつと聞いています。それは戦間期の歴史にありますが、日本の歴史教科書には出てきません。日本の歴史教科書は話になりませんね。つまりドイツは歴史的に日本に対して非常に悪質な国なのです。やっぱり私はドイツ文学をやらなきゃよかったと・・・。

 最近のドイツはイスラエルに反発するようになりました。今までそんなことは考えられませんでした。メルケルはイスラエルで「ドイツ語」で演説しました。イスラエルは「イスラエルの地でドイツ語を使うとは何事か」と反発しましたが、これはイスラエルもおかしいですね。だからメルケルは堂々とドイツ語で演説をしました。これは評価できます。つまりユダヤ人も戦後いい気になってやり過ぎたのです。ユダヤ人がそんなことをしてドイツ人を虐めていると必ず報復される、というかまたユダヤ人殺戮が起こります。そんなことは無いと皆さんお思いでしょうけれど100年、200年後には分かりませんよ。日本と韓国だって分かりません。100年、200年後には「征韓論」を言い出すかもしれませんよ。「西郷隆盛に続け」とばかりに。歴史は分からないのです。

 中国のAIIBにイギリスが真っ先に参加すると言いましたね。私は「腐肉に群がるハイエナ」という題で論文を書きました。というのは中国はいま金が無いのですから、他国の金を当てにして自転車操業しながら過剰生産設備投資をやり過ぎていて、鉄鋼でも何でも、労働力も余り過ぎてどこかで使わなければならない。それを他人の金でやろうとしている。AIIBとはそういうことです。何で日本がそんなものに参加する必要があるのでしょう。他国の金で自国の欲望を果たそうとしている、なぜイギリスやドイツはそれが見抜けないのか。見抜いているはずです。アメリカからも私たちよりもっとたくさんの情報が入っているでしょう。見抜いても中国が潰れるまでしゃぶりぬけということか。潰れたって知ったことではない、儲けるだけ儲けよう。多分そうでしょう。習近平も同じでしょう。自分が少しでも延命するためには国民がどうなったって構わない。未来がどうなったって構わない。どんどん火ダルマのように積み上げて自転車操業すればいい。そういう悪魔同士が握手をしているということです。それがEUと中国との結びつきです。私たちはそれを呆然と見送っているばかりですが、アメリカは多少は気がついていることでしょう。中国が大きくなることはアメリカの利益に反しますから。しかしアメリカとイギリスは兄弟国だったはずです。最近ではイギリスはアメリカの意向に完全に逆らっています。でもよく考えてみると、シティとウォール街は決して別人格ではなく繋がっているのですから、お互い照らし合っていることでしょう。それがどうなのかは言えません。分かりません。分かっている人は日本にはいませんよ。私たちは歴史と時間の推移をじっと見守って正体はどこにあるのか。でも今日はどっちか分からないところにあると最初に申しましたね。サイコロを転がさなければわからない。最後はシティとウォール街が何を考えているのか分からないので何も言えないというのが正直な答えですが、もう一か月くらいでいろいろなことが分かってきますから、見つめ続けることにしましょう。どうもありがとうございました。

(まとめ 阿由葉秀峰)

つづく