九段下会議の歩みと展望 (二)

お知らせ

つくる会のホームページでは、文部科学省の許可を受けて、教科書採択の透明化の一環として教科書の一部を公開しています。(約100ページ)

 なお、市販本については、現在扶桑社が諸手続きをしているところであり、時期については未定です。

《テレビ出演》 
TVタックル「靖国問題を徹底討論する」(仮題)
7月11日(月)21時~22時テレビ朝日

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 九段下会議の歩みと展望 (二)

 さて、これから九段下会議をどう進めるかという問題を討議するわけですけれども、ここにも皆様方の何人かの進め方に対するご提案をいただいておりますし、今日また新しい話がいろいろあると思うのですが、私は個人的な好みというか、感想を最初に申しておきます。

 私は、大体が理念として片付いた問題には興味を失っちゃうという少し困った人間で、教科書問題もジェンダーフリーの問題も心の中ではもう終っているな、なんて思っているんですよ。もちろん現実の解決はこれからです。もう心の中で終ったなんてことを言うと叱られるんです、実は。一生懸命やっている人には叱られるんですが、もう具体的な方策をどうするかだけの問題になってきて、あとは身体を使って、あるいは組織を作って運動を展開するということが残っていて、思想上のレールを引くというところまでは終ったわけです。少なくとも教科書問題はそうなっています。

 ジェンダーの問題も自民党が取り組んでくれ始めました。八木さんが自民党の方へ招かれて話したり、色々な形で動き出しているので、これももう、終ったと言ったら失礼かもしれませんが、私の気持の中ではいつまでもかかずりあっていてもしょうがないんじゃないかという気持があるということで、その専門、そちらの方に特化されている方々にはご無礼かもしれませんが、多少ともそういう気持があるというのは事実なんです。

 九段下会議の一年を振り返ってみたら、現実の大きな変化というのが起っていました。日本は米中の谷間にあるということの深刻さが、本当に数年前から比べると一段とリアリティを帯びてきたのではないかと思うのであります。

 中国が6000億ドルくらいの外貨準備を増やしていて、驚くべきことに、アメリカの会社を次々と買収すると。最近ではIBMのパソコン事業、これは最初アメリカは議会が拒否するような姿勢を見せたのですが、どうも買収されたらしい。それからユノカルという有名な石油会社の買収交渉に入って、これもブッシュ政権がなにも言わないですね。つまり、不気味な動きが急速に拡大しているように思えるのであります。

 加えて、軍事的にもですね、これは今日の宮崎正弘さんのレポートからですが、アメリカのワシントンタイムズが6月26日付けで、二年以内に中国が軍事力を駆使して台湾を制圧する軍拡能力を保有するだろうということを、ペンタゴンの筋が言っているという、つまりアメリカの予想をはるかに上回るスピードで、中国の軍拡力、軍事力の増強がすすんでいるということです。しかも中国の軍事筋は北京オリンピックへの悪影響をほとんど考慮していないとワシントンタイムズは伝えているそうであります。

 同時に6月29日付けの東方日報が中国が航空母艦の建造を開始したという情報を伝えております。中国という国が、さながら巨大な資本主義国家のような立場をとり始めていて、また現にそういう姿勢をとりつつあるわけでありますが、どうしてそんなことが可能なのかという謎がわれわれにあるわけであります。トータルとして最貧国中国という現実はあまり変わっていないはずなのですから。

 これに対し、今日の30日のニュースですが、韓国がおたおたし始めた。中国と日本に挟まれてですね、もう韓国が中国に対して優位に立つ分野というのがほとんどなくなってきたというのです。繊維産業などは完全にもうやられてしまっていて、韓国で販売されている衣類の、6~7割は中国産だそうです。半導体と自動車など幾つかの分野でしか韓国は中国に優位を保っていない。といってもその半導体だって、自動車だって、日本の力があって韓国は成り立っているわけですから、韓国はここに来て、日本の背中をみて一生懸命威張りまくっていたところが、中国いう巨大経済大国が出現したために、後進国へ転落する門口に来ているという自覚が韓国の中に急に芽生えてきているというニュースも入っています。

 これはまぁ、理由もなく自惚れるものは必ず罰せられるということで、少し肝に銘じたろという気も多少あるけれども、まあしかし、もともと韓国というのは、我々はそんなにこわくない。うるさいというか、面倒くさい連中だという感じはあり、とにかくなんかまあ嫉妬深い女に絡みつかれるような、そういう思いをいつもしておりましたけれど、中国はちょっと違うんですよね。我々のイメージも違うし、中国という大陸の持っているパワーというものが違うということ、それでそのパワーが今まで観念的に意識されていたのが、ここへ来て現実体として迫ってくるようになった。僕なんかもう中国はとおの昔から現実体として、うっとおしい巨大な圧力として意識しておりましたけれど、日本の国民も政界ものんきだから、「友好」なんていって、それほど考えないでいたわけです。

 ですからODAをずっとやり続けていたり、ごく最近になっても中国の言うとおりに、靖国の参拝を自粛すれば安保理常任理事国への承認を中国は許すのではないか、というような類の有り得ない、今では誰も信じることの出来ないような甘い考えをつい2、3週間前までテレビで語っている人が少なくありませんでした。

 中曽根さんまでが、首相の靖国参拝を諦めることは一つの立派な決断だ、というようなことを言ってですね、どうかしているんじゃないかと、私なんかは思いましたけれども。中曽根さんがあゝ言ったのも嫉妬かもしれませんね。小泉さんに8月15日に堂々と靖国に行かれると、自分の過去の自粛がミットモナイ失敗にみえてくる。そういうことかもしれません。

 けれども、ともかく中国の力というものに関しては、日本人は今までの観念がずっと続いていて、こっちが自分のカードを捨てて譲歩すれば、無限に向こうも了解するというような、日本的な発想できたら、ごく最近になっておっとどっこいそうではないということが、やっと分ったんじゃないでしょうか。これはいいことだと私は思っているんですね。

 つまり、靖国なんていうのは、向こうの中国にとっては手段なんです。これを使えば日本があたふたするから面白いからやっている。面白いからというよりそれを使えば政治的に効果があるから日本を制圧するためにやっているわけですから、従って、中国側が握っているカードとして有効だから使われているだけですよ。おどしに使われている方が悪い。ぐらぐらするのはすべて日本側の問題にすぎないわけです。

 ということは、日本をとにかく屈服させるということが、彼らの最大の目的であります。しかも領土の問題で、尖閣諸島を先に中国が攻撃するなんてことは、考えられていないでしょう。まず、台湾解放です。台湾を自分のものにしてしまえば、あのあたりの海域は殆ど全部中国のものになってしまう。宮古島以下、南西諸島は完全に中国の領土になってしまうでしょう。

 そんな明瞭な事態にわれわれはいま直面しているんだろうと思うんです。そこへもってきて、アメリカがどうもアジアでは戦争をしたくないと、非常に強い感情をもっているように思われてなりません。

 となれば日本は心細い。中国はそこを見越していて、いち早く機先を制し、日本の精神を打ちくだいてしまいたいと思っている。靖国をうるさく言ってくるのはそのためです。

九段下会議の歩みと展望(一)

お知らせ

つくる会のホームページでは、文部科学省の許可を受けて、教科書採択の透明化の一環として教科書の一部を公開しています。(約100ページ)

 なお、市販本については、現在扶桑社が諸手続きをしているところであり、時期については未定です。

《テレビ出演》 
TVタックル「靖国問題を徹底討論する」(仮題)
7月11日(月)21時~22時テレビ朝日

《講演》
 「これでよいのか!日本の姿勢」
7月9日(土)午後2時~4時30分
鎌倉市 鶴岡八幡宮境内 直会殿
(JR鎌倉駅下車 徒歩10分、Tel 0467-22-0315)
参加費:  ¥1000
主 催: 教育を考える湘南地区連合会・鎌倉市の学校教育を考える会
      教科書を良くする神奈川県民の会
代表連絡先: Tel 0467-43-2895(木上)

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 九段下会議の歩みと展望(一)

 九段下会議は『Voice』(平成16年3月号)に提言を掲げたのを機に、各界に幅広くよびかけ、協賛の原稿を募集して約50人のメンバーを選定して、民間審議会としてスタートさせていただいたのはご報告ずみである。

 当「日録」の書き込み者の中からも10人近くが参加しているが、ハンドルネームでそれがどなたであるかは明示していない。

 まず一年の歩みを以下に表示する。

平成15年5月29日 九段下会議「第一回会合」
(代表西尾幹二・中西輝政)
安倍晋三・中川昭一両議員出席
           以後、毎月1回のペースで研究会を開催

平成16年 3月 1日 提言「国家解体阻止宣言」を『Voice』3月号に発表
     
5月 1日 同「宣言」をパンフレットにして広く頒布活動開始
    
7月26日 第一回「オープンフォーラム」
             賛同者に呼びかけ約50名が結集。
             民間審議会を作り、外交防衛、ジェンダーフリーと少子化問題の
             二つの部会で研究を続けることえ決定。
             安倍晋三・衛藤晟一・山谷えり子、城内実議員が出席
     
       9月24日 第一回「外交防衛問題部会」
             講師・平松茂雄杏林大学教授・・・中国の海洋覇権戦略
     
       9月27日 第一回「ジェンダーと少子化問題部会」
             講師・野牧雅子公立中学教諭・・・「過激性教育」の実態

      10月27日 第二回「外交防衛問題部会」
             講師・亀井浩太郎元陸将補・・・「南西」脅威論について

      11月24日 第二回「ジェンダーと少子化問題部会」
             講師・米田建三前内閣府副大臣・・内閣府官僚との戦い

      12月14日 第三回「外交防衛問題部会」
             講師・山内敏秀前防衛大学校教授・・・中国潜水艦の脅威

平成17年1月25日 第三回「ジェンダーと少子化問題部会」
            講師・西尾幹二・八木秀次・・・『新・国民の油断』の内容

      2月25日  第四回「ジェンダーと少子化問題部会」
             講師・光原正元郵政官僚・・・国連とフェミニズム

      3月25日 第四回「外交防衛問題部会」
             講師・吉野準元警視総監・・・情報国家のすすめ
 
      4月25日 第五回「外交防衛問題部会」
             講師・太田文雄前防衛庁情報本部長・・・情報と国家戦略

      5月25日 第六回「外交防衛問題部会」
             講師・馬渕陸夫前キューバ大使・・・日本外交の緊急課題

       7月1日 二部会・合同会合

 ※「九段下会議」の活動の一環として国会議員との共同研究会「情報国家構想」
  研究会を6月15日に発足、内容は以下の通り。

 代表 西尾幹二・衛藤晟一(衆議院議員・厚生労働副大臣)
 座長 中西輝政

 第一回研究会  講師・中西輝政
 第二回研究会  講師・菅沼光弘(元公安調査庁第二部長)

 メンバーを「外交防衛問題部会」と「ジェンダーと少子化問題部会」との二つに分け、前者は日本政策研究センター主催のシンポジウムに、後者は『新・国民の油断』の出版にそれぞれ成果として結実し、各々が一つの結節点となった。

 次いで、九段下会議から独立した「情報国家構想研究会」が起ち上がり、現在17人の衆参両院の議員を入れた勉強会が開始された。ここには九段下会議のメンバーは一、二を除いて参加していない。

 7月1日に一年目を迎えた九段下会議で、今後どうするかを含めた相談会がもたれ、冒頭約30分、私が中国の新しい現実を踏まえたうえ、米中のはざまに立つ日本の問題点について、スピーチをした。以下にその内容を公表する。

 尚、会議の一年を振り返り、会場を提供し事務局を運営して下さった伊藤哲夫日本政策研究センター所長が事実上の会の中心であったことをお伝えし、御礼申し上げる。

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 丁度一年経つのでしょうか。われわれは、二つの部会に分けて、「防衛、外交」とそれから「ジェンダー、教育問題、少子化」、つまり外と内というふうに二つの部会に分けて会の運営を始めたのですが、現実にはくっきり分かれたわけではありません。また、テーマそれ自体も最初に二つずつ別個に上ってきたのではなくて、内的にからみ合って一体になっているものでした。便宜上、外交と内政とに分けてみただけです。

 われわれは現実に具体化した何かの結論を出したいと考え、ただ観念的に討議をしているだけではだめだという気持が非常にあった。そういう気持で始めた会議でした。

 第一歩として、成果が一つだけあがっているわけです。ここにおられる皆様に全員参加していただいたわけにはいかなかったのですが、たった今申し上げた通り、「情報国家構想研究会」というのを外部で立ち上げることに成功しました。これにはこちらにおいでの飯田耕作様の、御資金の援助がございまして、可能になりました。おかげさまで有難うございました。

 まだ始まったばかりで、まず最初は情報国家の実態、インテリジェンスの国際比較を研究にしている中西輝政さんの話をみんなが聞くということで、主として自民党の若手の、自発的でしかも主体性のある議員の皆さんにおでましいただいて、熱心で約10数名のメンバーが集って、その人たちに話しを聞いてもらうという、そして討議を深めていくということで、少しでも実行の世界に移していくということが目的でしたから、ここの会からはインテリジェンスのことを専門に勉強している柏原竜一さんが一人、参加されています。中西先生と私の両方の関係者でもあるので、そういうことでお願いしておりまして、他はご参加いただけないということで、申し訳ないんですけれども、会場も外部ですし、またご希望があれば別途考えます。別に閉ざしているわけでは全くないので、そのことは個別に考えていきたいと思います。

 ですが、観念論を展開するだけではなくて、さっき申し上げた通り、一歩でもとにかく何か現実化したいというのが我々の気持でした。まず第一部会の方面の、外交防衛の問題を展開していくうちに、どうしても情報国家、インテリジェンスの問題が重要だということに自然になってきまして、この会の中から、それなら、専門特化の勉強をすべきだということで、しかもそれを、我々だけが研究するのではだめで、志ある政治家を仲間にしていかなくてはいけない、ということから、そういう方向が一つだけでも実現したのだということを、ご了解いただきたいと思います。

私のささやかな愛国心

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 なお、市販本については、現在扶桑社が諸手続きをしているところであり、時期については未定です。

《テレビ出演》 
TVタックル「靖国問題を徹底討論する」(仮題)
7月11日(月)21時~22時テレビ朝日

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 「これでよいのか!日本の姿勢」
7月9日(土)午後2時~4時30分
鎌倉市 鶴岡八幡宮境内 直会殿
(JR鎌倉駅下車 徒歩10分、Tel 0467-22-0315)
参加費:  ¥1000
主 催: 教育を考える湘南地区連合会・鎌倉市の学校教育を考える会
      教科書を良くする神奈川県民の会
代表連絡先: Tel 0467-43-2895(木上)

西尾幹二の現在までの著作==========================
私のささやかな愛国心
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岩田温(いわた あつし)

昭和58年生まれ。現在早稲田大学政経学部四年生。
専攻分野は政治哲学。歴史、哲学、文学も幅広く勉強していきたいと考えている。
勉強すればするほど日本が嫌いになっていく現在の日本には失望しつつも、日本への愛着との一点から勉学、活動を行っている。現在NPO法人磐南総合研究会(http://www.wadachi.jp/)代表を務める。

 複数の人間がお金を出し合って、一枚のソフトを購入し、それをコピーして皆で共有するという光景を御覧になった方はいないであろうか。

 この行為は法律では明確に禁止されているにも拘わらず違反者は罪悪感をほとんど伴っていないかのように見える。むしろ、彼らはまるで当然の行いであるかのごとく、平然と違法行為を行う。だが、考えてみれば一つのソフトを複製することは、その会社からもう一つのソフトを騙し取っている、ありていに言えば盗んでいることと同じことである。つまり、万引きと罪の重さは全く同じであるといえよう。ただ、その犯行の容易さ、検挙率の低さのみが圧倒的に異なっているだけのことである。そして、この点からこの種の詐欺が横行している。

 逆に言えば、万引きとて容易であり検挙率さえ低くなれば横行するのが、悲しいかな、日本の現状ではないか。犯行そのものを憎むのではなく、捕まるというその恐怖のみで犯罪を避ける、倫理的に弛緩しきった民族の姿がここに明らかであろう。彼らは、そのソフトが作成されるまでに幾多の人々が努力を積み重ねてきたかなどは全く慮ることもなく、平然と詐欺をやってのけるのである。
 
 国家の栄枯盛衰には国民の精神的な力、創造的な活力が大きく関与するのは、ローマ帝国、大英帝国の衰亡の例を挙げるまでもなく歴史の鉄則である。その点から考察しても現在の日本の状況は殆ど危機的といっても過言ではあるまい。
 
 だが一方で、日本の田舎風景の一つに「良心市場」と称される無人販売店がある。市場とは言うものの、畑のほんの一角にこじんまりと野菜と箱が置いてあるだけのものである。この販売が成立しているところに、私は日本人の美徳を見出す。そしてこの美徳こそが日本の繁栄を支えてきた、精神的活力の源泉なのではなかろうか。
 
 近年愛国心の復活が叫ばれて久しい。当然のことである。だが、愛国心とは口だけの表層的なものではあるまい。あるいはサッカーでの馬鹿騒ぎのみがまともな愛国心の発露ではあるまい。
 経済的合理主義的立場から考えれば愚かな行為と呼ばれるかもしれない。だが、それでも私は違法コピーを憎み、拒み続けたいと思う。
 
 何故なら、それが私のささやかな愛国心の発露だからである。

教科書展示会に出かけて

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TVタックル「靖国問題を徹底討論する」(仮題)
7月11日(月)21時~22時テレビ朝日

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 「これでよいのか!日本の姿勢」
7月9日(土)午後2時~4時30分
鎌倉市 鶴岡八幡宮境内 直会殿
(JR鎌倉駅下車 徒歩10分、Tel 0467-22-0315)
参加費:  ¥1000
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長谷川真美
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 今話題になっている教科書問題とは、科目ごとにいくつもある教科書会社の15社の中に、中学校の歴史・公民の教科書としてたった1社が参入したことに対する大騒ぎをさしている。

 4年前の教科書採択で、私はその決定権限が法律的にあるとされる教育委員であった。自分で調査し、歴史教科書では扶桑社を推薦する結論を提示したが、選定委員会が答申したものを覆すことはできなかった。その時の経緯については『正論』(2005・5月号)に「今だから明かす、私が教育委員を辞めさせられた理由」で詳しく書いた。あの時の無念をはらすためにも、今年こそは常識的な教科書が日本の中学生の手に渡ることを願っている。この4年の間に、教科書会社は常識を取り戻してきたのだろうか。

 6月中頃から、教科書展示が日本全国で行われた。私の住んでいる市では、7月1日まで展示していると広報に載っていた。つくる会に反対している人のブログでは、扶桑社の教科書は恐ろしいと、根拠のない印象操作で、ありもしない恐怖を煽りたてている。私は真偽を確かめるためにもと、会場に出かけて行った。

 市役所の6階、602会議室が展示場だ。8畳位の大きさの部屋の真ん中に大きなテーブルがあり机の対角線に1m50cmくらい、本がズラッと立てて並べてあった。その他には「本市の使用教科書一覧」「教科別教科用図書採択対象発行者一覧(平成18年~21年度使用)」と裏表に書いてある紙と、アンケート用紙が置いてあった。

 30代くらいの係りの女性――市が雇ったアルバイトだそうである――が一人、静かに机について何かをしていた。一日目は最初から最後まで、他の誰も入ってこなかったので、私と彼女の二人だけ。二日目は60代の男性が入って来た。教育委員会に県の選定資料について、コピーしていいかどうかを聞いてくると言って、出て行ったきり、帰ってこなかったので、両日とも、開いたドアの向こうを市役所の人が通りすぎる気配のほかは、本をめくる音だけが聞えていた。

 今回は中学校の教科書なので学年別も分けて数えると134冊ある。国語にも家庭科にも音楽にも、そして英語にも問題があることが言われているが、これら全部に目を通すわけにはいかない。私は歴史教科書の中で、自分が住んでいる市が採択しており、日本全体のシェアの半分以上を取っている東京書籍を調べることにした。

 幸い、三浦朱門氏編著の「全『歴史教科書』を徹底検証する」や、東京都教育委員会の資料、広島県の選定資料(教育委員会から借りてきた)他、多くの調査資料が手元にあったので、実物をこの目で対比しながら、その指摘している問題点の真偽を確かめることから始めようと思った。その中でもまた、私は歴史上の人物に的を絞ることにした。

 私自身は高校の時には世界史を選択したので、実は日本史は余り詳しいわけではない。そんな私でも知っている人物、私程度の一般的な人間が知っている人物に注目してみればいいのではないかと思った。他の教科書では大体取り上げられているのに、東京書籍には一字も取り上げられていない人物で、特に気になった人物をピックアップしてみたのが以下である。

 明智光秀、新井白石、石田光成、柿本人麻呂、行基、勝海舟、小村寿太郎、、昭和天皇、高杉晋作、東郷平八郎、北条時宗、明治天皇、野口英世、吉田松陰

 小学校の学習指導要領で、必ず学習するようにと指定されている人物も7人いる。明智光秀は、東京書籍以外には全部掲載されている。吉田松陰は、他の教科書会社は一社を除いて全部扱っているが、東京書籍は取り上げていない。どうやって明治維新を説明するのかと思って、その時代のページをめくると、「安政の大獄」が載っていない。索引にもない。小学生では勉強しなくても、中学校では勉強すべき人物達ではないか。

 柳宗悦という人は、朝鮮半島の陶磁器を見直し、それらを作った半島の人々を敬愛した人である、と写真入りで半ページ割いて書いてあった。石井十次という人は他の教科書には全くでてこないが、これも肖像画と関連写真を使い丁寧に説明してある。私は展示場で教科書を読むまで、これらの人物が何をした人か知らなかった。有名な人を省き、無名の人を載せる、このバランスの喪失は近隣諸国への配慮から来ているのだろうか。

 正直いって、本当にがっかりした。従軍慰安婦という言葉は消えたが、それ以外は以前とほとんど変わっていない。

 中学校の歴史の勉強で、その後一生歴史を勉強しない人はたくさんいるはずだ。最小限度の日本の歴史常識のはずなのに、肝心の人物達を教科書に載せないのは犯罪的だとさえ思う。教科書会社最大手の東京書籍が今までと同じように採択されるとなると、日本の半数以上の中学生に歴史常識を養う機会が奪われることにもなる。

 私は
「現在話題になっている歴史教科書を調べてみました。本市が今まで採用している会社の教科書には、明智光秀、新井白石、石田光成、柿本人麻呂、勝海舟、昭和天皇、高杉晋作、東郷平八郎、明治天皇、吉田松陰が載っていません。

 歴史常識を教えることの出来ない、この会社の教科書の採択には反対します。」
とアンケートに書いて帰った。

 どんなに図版が美しくても、どんなに課題学習の提示が豊富でも、歴史常識を教えることが出来なくては、歴史教科書とはいえないのではないか。

新刊『民族への責任』について(十一)

お知らせ

 つくる会のホームページでは、文部科学省の許可を受けて、教科書採択の透明化の一環として明朝より教科書の一部を公開します。(約100ページ)

 なお、市販本については、現在扶桑社が諸手続きをしているところであり、時期については未定です。

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 本日は三氏からいたゞいた拙著の書評と感想を紹介する。

(1) 力石幸一氏(産経新聞平成17年6月11日)
 

 本書が取り扱う問題は多岐にわたる。扶桑社版の『新しい歴史教科書』に対する中国、韓国のヒステリックな反応、ジェンダーフリーという歪(いびつ)なフェミニズムの存在など、何年も前から顕在化していたテーマもあれば、日中中間線付近での中国のガス田開発や竹島問題、そしてホリエモンによる敵対的企業買収と新会社法への疑義など、この半年あまりの間に急激に浮上してきた問題もある。内と外から日本を揺るがすこれら一連の出来事は、一見すると相互に関連がないように見える。しかし、その背後には「日本人の弱さ」が見え隠れしてはいないだろうか。

 対立を避けようとソフトでつつましい性格は、日本人の美質と言っていい。日本の住みやすさはこの性格に大きく依存している。しかしその美質は、外国からの攻撃の前には自我の弱さとして現れてしまう。敵は外だけとはかぎらない。国家を内側から食い荒らすシロアリのような勢力の跋扈(ばっこ)を許してきたのもこの日本人の弱さではなかったか。敵を見ようとしない弱さこそが、戦後60年の空白の中心に横たわる問題なのだと説く本書の指摘は鋭い。

 じつは本書の企画は4年前に遡(さかのぼ)る。当時、西尾先生からタイトルを聞いたとき、「民族」という言葉にどこかどぎつい印象を感じて、反対した覚えがある。しかしいまその印象はなくなった。そのことがこの4年間の危機の深まりをよりいっそう強く感じさせる。問題はさまざまである。しかしそれを受け止める民族の性根は変らない。そこを見据えることからしか、民族の再生はありえないはずだ。本書のテーマは深く重い。

                    徳間書店 一般書籍編集長 力石幸一

(2) 小堀桂一郎氏(私信)
 

 『民族への責任』御恵興にあづかり御芳志忝く、厚く御禮申し上げます。今回はその標題からして、文字通りの並々ならぬ責任感を讀み取って、襟を正す思ひでした。就中、皇位継承問題にも立言して頂けたこと甚だ嬉しく存じます。保守を自称する小粒の言論人達は「敵」の手強さを知らないのです。その他の諸々の問題にしても、小生から見て、これだけ言はれてもまだわからないのか―と言はずにゐられない現在の亡状に憮然とするばかり、とにかく頼りにしてゐます。

(3) 大西裕氏(7月9日の私の鎌倉講演の主催者)
 

 民族への責任 読まさせていただきました。話題が直近の反日運動、領土問題、人権擁護法案から、皇位継承、アメリカとの経済戦争など、深みのあるテーマ、また、先般の教科書採択の生々しい実相など多岐にわたり、かつ、余計な遠慮のないタッチであるため、じつに迫真ある力に圧倒される思いです。
 
 最近いくつかの、活字にはふれておりますが、本書からはある感動が伝わってまいりました。

 勿論事象についての深いご理解があっての事でしょうが、いわば、論理的予言性とでもいうべき、将来への示唆を含みひさしぶりにある興奮を覚えています。
(歴史的証言の書として保存さるべきものですね)

 7月9日には、ぜひこれに基づき講演をお願いいたします。

 ついでに講演の日時をお知らせする。

 7月9日(土)午後2:00~4:30
 鎌倉鶴岡八幡境内 直会殿

新刊『民族への責任』について(十)

 この本の中から、あまり人の気がつかない、しかし本人は気が利いたことを言ったと少しだけ得意に思っている文章をひとつ引用させていただく。

 

戦闘において無類に強いアメリカは、イラクで戦術の甘さを露呈した。戦闘の終了後、50万人の大軍を派遣して国境封鎖と武装解除を徹底すれば、イラクの今の不始末はない。そう進言した武官の提案を退けたラムズフェルドの誤算である。

 「次第に明らかになってきた事実だが、米国はフセイン政権を倒した後のイラクをどうするかについて、明快な青写真を描いていなかった」(江畑謙介『日本防衛のあり方』KKベストセラーズ)

 戦後のイラクに第二次世界大戦後の日独方式が当てはまるだろうとの幻想を脱していなかったからである。アメリカのような用意周到な国も過去のイドラにとらわれている。アメリカだけでなく、どの国も過去の幻想に生きている。北朝鮮が半世紀前のソ連製の武器と地下壕だけで重武装のつもりでいるのも、イラクがアメリカ軍との開戦でフセインに勝ち目はないのに、湾岸で生き残った「フセイン政権自身は生き残れると考えていた」(江畑前掲書)のも、みんな過去のイドラにとらわれている自己幻想の姿である。ソ連消滅後に日米安保はもう日本防衛用ではなくなっているのに、北朝鮮問題がある限り、あたかも安保が有効であるかのように信じている日本も、過去のイドラを抱えて生きている。

 今の世界はどことなく箍(たが)が外れて、いささか滑稽である。そういう言い方は流血の犠牲者には相済まぬが、各国は互いに尻尾を出し、腹を見せ、間が抜けている。アメリカといえども例外でないのは今見た通りである。

 物事を少しばかり斜めから見ると、喜劇に見える。こんな風にも見えるではないかと、書いた本人は少し得意になっている。笑いながら読んでいただきたい。しかし笑わせておいて、ヒヤッとさせようと、私はすぐつづけて次のように書いた。

 

であるとすれば、北朝鮮に対してもアメリカは「明快な青写真」なしで、いきなり軍事行動に走らないとはいえない。海兵隊の上陸作戦と平壌の占領がない限り、空爆を始めてもらったら困る。日本が一番困る。

 アメリカが海兵隊を上陸させて平壌を占領してくれないと、本当になにも解決しない。空爆だけされたら、半島は反米一色になり、おいしいご馳走は全部中国の頂きである。日本は困ったことになる。

 結局、中国の体制が崩壊し、ソウルに軍事クーデターが起こらない限り、何も当分動かない。

 私の目にはだから今のところはすべてが喜劇的に見える。喜劇と悲劇は紙一重である。

 私の本にはこんな観察もあるということをお伝えしておく。

中国からの圧力

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中村与志也

『男、三十代、東京在住・・・。お嫁さん募集中・・・。
田中真紀子のように、よく通る、ある意味「うるさい」文章表現能力を持つ・・・^^; だが、その思想は、田中真紀子の「浅はかなアカ主義」と全く反対のベクトルである!
現在の、保守的に攻しつつも、共産主義の亜種・左翼に侵され続ける日本の現状に歯軋りし続けている。
そのおかげで、奥歯がボロボロだ。
一人になっても、戦い続ける所存だ。
自サイトでは、プライベートなことも書いてるのだが、書けば書くほど、謎が深まる「ミステリーボーイ」である。
それは、饒舌でありつつも、けして言わないことがあるからだろう・・・。
それは、「非合法」な問題などではなく、「愛」と言う<業>の問題か・・・。』

中国からの圧力

『俺を好きにならなかったら殺す』という、究極の社会通念破壊発言で名をはせた、少女監禁魔・露天商手伝いの鄭隆之・・・。
凄まじきは、暴力をもってして、好意を持った相手の心を支配しようとする精神性だ。・・・この男、在日だそうだ。
が、その犯罪の性質に、在日朝鮮人としての民族的特質を見るよりも、私は、昨今の中国人民の、政府主導による反日活動を重ねて見てしまう。
中国が日本に突きつけているものは何か?
狂人国家の北朝鮮はさておき、韓国は曲がりなりにも、それが事実認定において間違っていようとも、信念に沿った日本への強硬な態度を示しているようだ。
だが、中国は違った。
鷹揚な大国と思われた中国が、崖っぷちの、なりふり構わぬ、内実スポンジ的国家と言うことが、日本の大衆レベルでも分かってきた。
その「反日」には、日本と衝突に値する具体的事例などは、もはやない。
靖国参拝問題も、歴史認識問題も、領土問題も、東シナ海ガス田開発問題も、そして、常任理事国入り問題さえも、私には関係ないと思えるのだ。
いや、ある意味、その全てをひっくるめて、中国は、「日本の精神を屈服させる」ために、一連の「反日」行動に出ているのだと考えられる。
そう、上記の在日犯罪者が、女の子にとって最も大切な恋愛感情を暴力で支配しようとしたように、だ。
日本の精神を服従させた時、日本の全てが手に入るって寸法だ。
中国は、韓国の扱い方などは慣れていよう。「<属国>としての兄貴格」を与えればいいのだから・・・。それで、韓国は満足するだろう。・・・その程度の国体だ。
しかし、大陸の歴代王朝は、その半島の先の島国・日本の扱いに通算二千年以上も悩まされてきている。
「日本への<洗脳>は、何故、完遂できないのだろうか・・・」 中国の首脳は思い続けてきたことだろう。
中国共産党自体も、ここにきて、我が儘にも堪忍袋の緒が切れ始めたのだ。具体的事例一つ一つづつ解決していくのに疲れたのだろう、十把一絡げの解決法としての「暴動」を扇動したのだな。
あまりにも無法で、国際常識を蔑ろにした中国の対日外交だ。無理を通せば道理が引っ込むと言ったゴリ押しのダメ押しだ。←こうして、言葉にしてしまうことで、文字に表現出来ない、馬鹿げた中国共産党政府の、あまりにもの稚拙さ・杜撰さを伝えられなくて口惜しい。
・・・しかし、別に世界各国が何と言おうと関係ないのだろう。中国13億人・・・、それこそが「世界」になってしまうような大きな人口なのだから・・・。

中国は、実質は他国を属国、建前上は東アジア共同体の宗主国を目指すのだろうが、日本の左翼どもが参考にしているEU共同体は、その共通憲法の制定に際し、さっそく御フランスが国民投票にて否決したぞ! ほころび始めたぞ、案の定^^;

宮崎正弘氏を囲む――中国反日暴動の裏側(十九)

D:面白い見方があるんですが、ベルリンオリンピックが盛大に盛り上がって、丁度9年後にナチスが崩壊する。それからモスクワオリンピックの9年後にソ連が・・・・・(笑い)・・・・北京オリンピックの9年後まで長生きしたいという先輩がいるんですよ。(笑い)それは冗談ですけれどね。

宮崎:それは2017年ですね。

C:東京オリンピックのあとはどうなったんです?

D:東京オリンピックは民主主義国家だから、そうではなくて、独裁国家がオリンピックをやると9年後に崩壊すると。

西尾:まぁ今のこの新聞にも、日本歴史教科書って出ているね。

B:大躍進の時に餓死者が2000万と3000万とも出ていますね。あの時内乱が起こらなかったのはどういうことですか?

宮崎:やはり軍事力ですよね。それに鎖国していましたから、外国からバイキンというか、自由思想が入っていませんでしたから。

西尾:今でも私は鎖国だと思うのですけれども。携帯電話というのは鎖国をやぶる力になるんですか。

宮崎:なると思いますね。海外ともかかりますから。一部のGPSとか、ただこの間の上海デモの時に、あらゆる携帯電話にまで、当局から通知が入ったというあの恐さ、みんな登録番号をどこかが控えているんですよね。文字通信で入っていて、声では入らないけれど、声の通信がどこまで統御されているか、ちょっと疑問です。

 今日言い忘れたのですが、反日といっていても、本気の反日の人は少ないと言いましたけれど、反日というのは、これが記号でこれを反日=反共産党と置き換えますと、彼らはそれで通信をやっている形跡があるんです。若者達が。それだと当局にはキーワードには入っていないから、それで自由な通信をしているんです。

西尾:一字置き換えて読み直せと。

宮崎:そうそう、そういうことあると思いますよ。それは複雑な思考回路を持っている民族ですから。

西尾:それは法輪功の中のメディアとも違うと?

宮崎:そうとうダブっているんです。法輪功がこれだけの力を持ったということは、今までの民主人戦とか、中国民主党とか、北京の春、中国の春、その外世界中の反体制派が結局ここに、収斂しているんです。コメントはみんなここに出す。自分達の機関紙はまあせいぜい・・・・

西尾:じゃあ、アルカイダなんかとも繋がっているの?

宮崎:アルカイダとは繋がっていないでしょう。

C:大紀元はいつから出ているのですか?

宮崎:これは去年あたり、おととしに池袋に撒いていたのが最初で、えっと思って取ったんですね。

西尾:資金は何かというさっきからの質問ですが。

宮崎:資金は法輪功です。

C:法輪功はそんな資金があるんですか?身銭ですか。

宮崎:話半分、3000万単位だって、創価学会600万であれぐらいの金があるんだから、そりゃ3000万というと相当あるでしょうね。

A:その情報が出回るのは在外の人たちに向けてなんですか。

宮崎:在外です。内部には一切入りません。

西尾:だから弱いね、内部に入らない限り。携帯でどうなのか、というところですね。えっと、三好さんどうぞ。

M:ちょっとひとつお聞きしたいのですが、今回の中国の反日の引き金、韓国の反日がありましたけれど、それが引き金になったのではないかと言われましたが、韓国の反日と中国の反日は、何かつながりがあると見た方がいいのでしょうか。

宮崎:情緒的な部分の反日感情は近接していると思いますけれど、韓国の場合は盧武鉉の延命が第一でしょ。そのために、昔日本に協力したやつをとっつかまえて、罰金を課すとかいう法律を作ったり、いろんなことをやっていますね。

 それから反日グループは殆どプロですからね。戦争中に抗日分子であったということを言えば、年金をもらえるんですよ、ずーっと。強盗やった犯人も刑務所から出てきて、みんな私は抗日分子だと言って、金を貰っているんですから。その団体が大きなメジャーで、三つか四つあって、彼らは会費をとっていますから、常に日本大使館に行って、何かをやらないと、レゾンデートルにならないんですよ。そうやってやってきたら、今度はたまたま竹島でぶつかったでしょ。島根県が竹島の日を制定した、それでまた燃えていると思います。中国の場合は反国家分裂法と2プラス2があったけれど、韓国の場合はやはり竹島問題で火がついたんでしょう。

C:呉善花さんは、中国の反日デモも韓国が作ったんだと言っておられましたけれどね。

宮崎:世界中に文化を発信したのは韓国だと言いたくなるのでしょう。

C:韓国に触発されたんだろうと。

西尾:少しはあるけれど、中国は中国で別です。あとの方、いかがでしょうか。

L:中国から日本にたくさん留学生が来ているわけですけれど、あの人たちは日本の中で学生生活を送りながら、中国の政治的立場というものを日本の学生の中で言わないように、ひっそりしているということはあると思うのです。この間テレビを見ていましたら、日本に来ている優秀な中国の留学生達は今度の反日暴動をどう考えるかということで、アンケートに答えていましたけれど、日本を相当理解しているはずの学生達が、大体半分ぐらいは反日暴動賛成だと、答えていたんですよね。ちょっと質問するとすぐに、大虐殺だとか、侵略だとか、簡単にそういうことを言うんですよ。

 つまり、歴史の知識というものがないので、つくる会が矯正しようとした反日の歴史知識のまんまで見るんですね。だから、それを教育する手段が日本側にあればいいものだと思うのですが、まさか留学生に入国前に日本史の試験をやるわけにもいかないでしょうし、考えてみると、つくる会の歴史教科書が大きく普及することが鍵だなというふうに、思います。どうにもならないんだなと、閉じられた気分になりました。

西尾:それでは最後に今のことについて感想を述べますと、基本的には悲観しておりましてね、要するにレッテル張りですね、余り深い意味もなく。つくる会というものも世界で有名なレッテル張りをされているわけですよね。アメリカやヨーロッパの世界まで、歴史修正主義が悪いことをしているから、それは一部除いて、小泉初め政府は謝罪して、それで、中国が収まった、結構なことだというような言い方になっていますね。こういう構造でことが収まるのは、ものすごく嫌なんですよ。

 むしろ逆に大混乱が起きてですね、中国は野蛮な滅茶苦茶な国なんだよと、我々の主張しているのは、結局正しいんだよと、言うことが日本国民が肝に銘じるためには、中国の国民が自滅するくらいのことが起らないとだめなんじゃないかと思っているんですね。大躍進のころのことがまた起って、それが海外に今度は広く知られて、日本も外国もそれで初めて眼が覚めるじゃないかと、こう思っています。これで本日の会の最初の山口先生のお話と逆で、大混乱、大波局を期待しているという私の最初のテーマに戻ります。小泉さんがなんか謝罪めいた変なことを言って、収束してしまうのは、結局負債がこっちに残るだけと思っています。

 
 
 過激な発言をしたのは、私だけでしたが、今日はどうも有難う御座いました。

日本会議へのメッセージ

 日本会議から私に「みんなで靖国神社に参拝する国民の会」の発起人に就任し、国民に呼びかけるメッセージを書き送って欲しいとの依頼があったので、就任を承諾し、次のメッセージを認めた。

  弁解、釈明、反論などの

「罪」を前提にした議論をすべて止めよう。

日清戦争以来の日本の戦争が中国を一国として保全し、

韓国と台湾その他に現代文明を与えた

アジアの歴史の母であることを前提にした議論を、

政治家が国際舞台で当然のごとくに語るように導こう。

宮崎正弘氏を囲む――中国反日暴動の裏側(十八)

西尾:そのとき武器は返すの?その辺の管理はどうなっているんですか。

宮崎:これはちょっとわかりません。管理はあってないようなものかもしれません。ともかくね、モラルがないでしょ。私ね、海南島の山奥の五師団、昔日本の監視所があったところに行ったんですよ。突然山の中にピンクのビルがあってね、何だこれと思うと、それが兵舎なんですよね。私が泊ったのがなんとか賓館というんですが、一泊2万1500円ぐらいで、値段はともかく、外人はこっち側、あっち側に違う旅館があるんですよ。それで朝みていましたら、皆軍人が女と出てくるんですよ。なんだこの腐敗ぶりは・・・と、そういう印象を持ちました。

 チベットへ行く時に、西都から320人乗りのエアバスだったのですが、310人が兵隊なんです。今兵隊が勤務の移動を飛行機でやっているんですけれど、たまたま30分ぐらい飛行機が遅れた時にね、ロビーのソファにふんぞりかえって寝ているのはみんな軍人でね、日本の自衛隊ならあんなこと絶対にしないでしょ。一般乗客が立って待っているのにね。それで若い兵士に、いろいろ話し掛けて、「おまえ等何処へ行くんだ?」「ラサに行く」「何年勤務だ?」「1年勤務だ」と。それでね、バリバリ、バリバリ食べてました。「ところで、隊長は何処に居るんだ」と聞きましたら「隊長はあそこで飲んでいる」と。

 一事が万事そうではないと思いますけれど、「台湾向けに700基のミサイルといっていますけれど、使えるのはおそらく200基くらいだろう、その中で台湾に飛んでくるのは75基ぐらいしかないだろう」と佐藤守さんが言っておられましたけれど、それに近いのではないでしょうか。

東中野:どうなんでしょう?200年大体国家が治まって、200年天下大動乱あって、この繰り返しがチャイナの大陸でしたけれど、1840年のアヘン戦争からまだ200年経っていないんですよ。1840年からずっと内乱が続いていると考えていいのか。年表を作ってみますと、そうなる。

西尾:共産党政権も内乱のひとつと?

東中野:そうです。大躍進政策の3000万も内乱の一つ、毛沢東の文革も内乱の一つ、年表を作っていきますと、私はこれはチャイナの内乱はまだ終わっていないんではないかと思います。ひょっとして内乱の原因は、いっぱい下に隠れているわけですから、天下大乱が起きてきても不思議ではないと思います。

西尾:2040年に別の政権が生まれると?

東中野:そうかもしれませんね。

西尾:それは群雄割拠ですか?

東中野:それはわかりませんけれど、今の中国共産党の磐石の独裁というのは、クェスチョンマークがつくんだなと、お話をうかがっていて思いました。

宮崎:法輪功は会員数を7000万人と言っていますが、話半分にしたって3500万。

東中野:共産党員は何人くらいですか?

宮崎:6400万くらいですから、今100万人脱党したといっています。法輪功がアメリカに行って、英字新聞を出して、それから香港、台湾、日本、アメリカで漢字の新聞を出しているんですよ。日刊ですよ。この軍資金はどうしているのかということですが、すでにそれだけの反政府運動が広がっているんですよ。

東中野:これはインターネットですか?

宮崎:インターネットも出しています。英語版、日本語版、支那版。

C:資金源は?

宮崎:ですから法輪功。会員がみんなで身銭を出す。

東中野:すごい反政府運動ですね。

宮崎:統一教会が世界日報を出していて、アメリカに行っても世界日報がありますけれど、ワシントンタイムズは完全に統一教会ですからね。

東中野:え?ワシントンポストじゃなくて。

宮崎:ものすごくいい新聞があるんです。原理色、統一教会色はぜんぜん出していない。で、申し上げたいことは、そこまでの反政府運動が巨大な組織として、世界に散らばっている。そしてテレビ局もアメリカに一個作りましたから、毎日反共、反政府です。