新刊『民族への責任』について(一)

 先日西荻窪の飲み屋「吾作」で宮崎正弘氏と、一夕歓談した『民族への責任』(徳間書店¥1600)の見本が自宅に届けられていたので、一冊持って行ってお渡しした。そうしたらもうたちどころにメルマガに書評を書いて下さった。

 自著を、自分で紹介するのは難しいので、氏の書評を掲げさせていただく。そしてその上で、目次を掲示する。

 なおご好評いただいていた「宮崎正弘氏を囲んで―中国反日暴動の裏側」はまだ終っているわけではない。あと6~7回は連載される。

<<今週の書棚>>
西尾幹二『民族への責任』(徳間書店)     宮崎正弘

民族への責任最初に本書の独特な構成に気付かれる読者が多いだろう。
 四年前に書かれた一連の雑誌論文と、最近書かれた論考が、あたかも一対になって比較できる編集上の構成は、意図的な配置であると思われる。
 過日、杉並の居酒屋でご一緒したおりに、やおら西尾さんが鞄から出されたのが、この新刊だった。かなり分厚く活字もぎっしり。通読に時間がかかりそうだった。そこで小生は講演旅行に携行し、時間をみつけてようやく通読した。
 本書が扱うのは皇位継承、会社法改正、中国のガス田開発、中国・韓国の反日デモ、さらには少子化問題と対策にまでテーマが拡がる。一見、整合性がないように見えて、じつは四年間のブランクを一挙に埋める、つまり日本人に共通する自由の不在についての批判に纏められ、その狙いは通底するのである。
 教科書問題は北京とソウルの指令によって教育委員会の現場で採択されている。現場の委員達には脅迫まがいのFAXや電話が集中し、決断を示せない。
 大事なことを多くの教育委員が決断できないのである。
大げさな表現ではない、あのやる気のない文科省の役人をみていたら、こういう結果は予想できたことだった。
 教科書以外の問題も、「いずれも待ったなしの決断を迫っているテーマ」であり、日本を衰弱から守るための「悲しいまでの裁定の条件」であると西尾氏は言う。
 だが政治はつねに問題を先送りして次代に無責任にバトンを投げ、「どこかから吹いてくる政治の風にあわせて自分の道徳を政治に合わせた」。
保身に陥り、現実の解決を逃げた。
「現実には存在しない何らかの空想を選んで、しかも道徳や思想や教育の名においてそれを実行する。そうすることで、自分が道徳や思想や教育の『基準』をつくっているのだという恐ろしさの自覚すらない」。
 これが西尾さん特有の語彙によれば「平和のままのファシズム」である。同じことをすでに四年前にも書かれていた。
しかるに状況は四年前もいまも不変であり、「政治的道徳家は群れをなし、後から後から登場する」と嘆かれる。
教科書採択の決断のシーズンが四年ぶりにやってきたのに国民の危機意識は希薄であり、「やるか、やらないか」を一日延ばしにしてきた。小泉政権はやることをやらないで、やる必要のない郵政改革、道路改革という「粗悪品法律」の濫造という政治をしている。
中国についての危機意識も鋭敏であり、日本はいかにして自分たちの衰亡を防御するかを考えるべきであるに対して「中国はいかに自己の過剰と欠乏を調和させるかが究極の課題である」。
したがって「日本人と中国人の間には生命のリズムという点での共通性はなにもない。どちらにも危機があるが、その内容と性格を異にしている。日本人と中国人の間では、深い精神的な意味での共同作業は考えられない。『東アジア共同体』などというばかなことを言うのはやめたほうがいい」
 ついでながら本書52ページには小生も登場するが、その部分ははしょって、つぎに女性天皇擁護論批判の一節。
 「皇室の『本当の『敵』がみえないままで『皇室典範』に手を加えるのは、外敵に気付かぬままに国境を自由開放するのにも似ている。中国問題で奥にいる『敵』の仕掛けが見えない不用意な外務官僚』」もまた文科省の役人同様である。要するにかれらは「開かれた社会の自由が恐ろしいのである。自由に背を向けて、『閉ざされた社会』のシンボルやイメージに取り巻かれて、自分を守っていたい」のだ。
 現代日本への痛憤、悲嘆、哀切。読んでいて未来が悲しくなる。救いがない役人たちに政治教育道徳をまかせておくのはもう止めなければ、日本は衰退を免れないだろう。

 過分のことばを数多くいたゞき、宮崎氏には心より厚く御礼を申し上げる。

 このご書評の中に出てこないテーマや内容もあるので、まだ書店でご覧になっていない方のために、目次をお示しする。

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   目  次   民族への責任

中韓の反日暴動と歴史認識――序にかえて――

第1部 平成17年(2005年)

 第一章 民族の生命力をいかにして回復させるか   
    ――性と政治の関係

 第二章 領土問題           
    ――和を尊ぶ日本的美質ではもう通らない

 第三章 皇位継承問題を考えるヒント    
    ――まず天皇制度の「敵」を先に考えよ

 第四章 ライブドア騒動の役者たち     
    ――企業、司法、官庁に乱舞する無国籍者の群れ   

 第五章 怪獣は四つの蛇頭を振り立てて立ち現れた 

 第六章 アメリカとの経済戦争前夜に備えよ   
    ――日本の資本主義はどうあるべきか

 第七章 韓国人はガリバーの小人   

 第八章 第四次世界大戦に踏みこんだアメリカ  
    ――他方、北朝鮮人権法で見せた正義

第2部 平成13年(2001年)

 第一章 歴史の矛盾     

 第二章 文部省、約束を守ってください   

 第三章 売国官庁外務省の教科書検定・不合格工作事件  

 第四章 われわれのめざしたのは常識の確立  

 第五章 『新しい歴史教科書』採択包囲網の正体

 第六章 平和のままのファシズム  

 付録1 歴史を学ぶとは――扶桑社版『新しい歴史教科書』序文  
   2 教科書検定・不合格工作事件(平成12年)の略譜  
   3 「歴史認識」問題に関する西尾幹二の全発言リスト  

 初出紙誌一覧  

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 「領土問題」には地図が、「皇位継承問題」には皇室の略系図がのせられてある。後者は所功氏のご指導もいたゞき、苦心のうえつくり上げた3ページの自信作である。

 伏見宮家が南北朝時代に始まり、戦後GHQの指令で廃された11宮家の基で、今上陛下の系譜とは別であることはよく知られていると思う。今上陛下の系譜は江戸時代に新井白石が断絶を恐れて考えだした閑院宮家の流れをくむ。つまり、このとき緊急避難的な措置がすでにとられているのである。

 こうして生まれたのが第119代光格天皇だが、今度調べていて面白いと思ったのは、置き去りにされかけた系譜から光格天皇の皇后が選ばれていることである。過去にはいろいろな工夫がなされていることが分った。

 有栖川宮、桂宮は江戸時代に絶家し、伏見宮家のみが敗戦まで宮家でありつづけた。孝明天皇の妹に皇女和宮がいることは有名だが、その姉君の淑子内親王は桂宮家を継ぎ、女性で宮家の継嗣となった珍しい例である。しかしそれゆえであろうか、ここで絶家している。女性天皇の行方のあやうさを暗示していないだろうか。

 現在、三笠宮家の宣仁親王が桂宮と呼ばれているのはなぜかと不思議に思っていたら、これは祭祀継承といって、お祭りごとだけを引き継いでおられるのだと所先生に教えてもらい、成程と合点がいった。

 皇室の系図は入り組んでいて難しい。まあざっとこれくらい頭に入っていれば、一番肝心な議論にはこと足りる。大切なことはこのままでいけば20~30年後に皇室の「敵」が巨大な姿を現わすことだ。それは現代日本の社会意識そのものに深く根を張って、巣くっている。

 天皇家も迂闊であり、不用意であったと今にして思う。もうひょっとしたら間に合わないかもしれない。

お知らせ

日本文化チャンネル桜に次の3回出演します。★

6月7日(火)  20:00(30分)
   報道ワイド日本 水島総氏、鈴木邦子氏

6月8日(水)  19:00(1時間)
   明日への選択  伊藤哲夫氏

6月15日(水)  22:00(1時間)
   大道無門  渡部昇一氏

最高裁口頭弁論 (四)

 アメリカは文明国だと果たしていえるのだろうか。しかし失われた本を回復せずに、60年も放置してきた責任は何といっても日本人自らにあるだろう。

 目録を見て、日本人の協力なしで出来る作業ではないと思った。ユダヤ人に対するナチスの犯行はユダヤ人の協力なしでは不可能だった。

 件の『没収指定図書総目録』の最初の「ア」のページから何冊か書名を書き出してみよう。

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(以下略)

 これらの書物が暗示する一つの大きな心の歴史、それがぽっくり抜けて、空洞となり、私たちは歴史の連続性を失った。

 ミラン・クンデラの言ったことば、―国民の記憶を失わせるのは簡単である、「その国民の図書、その歴史を消し去った上で、誰かに新しい本を書かせ、新しい歴史を発明することだ。」をあらためてよく、憂悶の思いをこめて噛みしめておこう。

 話題を再び現代に戻すが、私たちの口頭弁論のあと、船橋市代理人が裁判長の質問に答えて、文書で提出した以上に新たに申し立てることは特にない、と述べた。裁判長横尾和子氏が「判決申し渡しは次回7月14日午前10時30分です」と宣言し、ただちに閉廷となった。

 法廷に私たちがいたのは全体で30分未満だった。

 外は小雨が降っていた。

最高裁口頭弁論 (三)

以下の3点において日録をリニューアルします。

(一)[ブログとしての日録本体]
1)西尾幹ニのコラム 
2)新人のコラム(不定期・週1回予定) 
3)海外メディア記事の紹介(不定期)
日本に関する海外メディアの記事をピックアップして日本語に翻訳して紹介

(二)[会員制サイト設置]

(三)[オピニオン掲示板について]
上記の変更により、オピニオン掲示板は日録のコンテンツから外れ一般リンクへの組み入れとなります。

*詳細はここを御覧ください。

 最高裁口頭弁論 (三)

 私にひきつづいて井沢元彦氏が意見陳述を行った。私はすぐ隣の席で聞いていたが、氏の意見を記憶だけでうまく表現する自信がない。幸い裁判所に提出されていた氏のメモのコピーが私にも渡されていたので、これを掲げさせていただく。

勿論、氏が口頭で展開された陳述内容はこのメモの何倍にも及ぶのであるが、私がへたに要約するよりは、たとえ量が少なくても、ご本人の要旨メモのほうが正確であろうと思われるので、以下に示す。

意見陳述上の趣旨について
                        原告本人 井沢元彦

○ 被告の行為は、民主主義社会への挑戦であり、文明への冒涜である「焚書」に値する行為であり、厳しく責任を問われるべきである。

○ にもかわらず、原判決は被告の「非行」に触れながら、この問題に対する認識が余りにも低いと言わざるを得ない。

○ 著作者にとって、作品は「子供」のようなものであり、それを恣意的に廃棄された苦痛は大きい。

○ このような行為に何のペナルティも課さなければ(単なる内部処罰でなく)今後も、こうした行為がくり返される恐れがある。これは、すべて著作権を持つ人に、あるいは著書を持つ人にとって、重大事であり 、もっといえば裁判官も「判例の著作者」という意味で、決して他人事ではなく、かつ、この事態を放置することは国民の「知る権利」への重大な侵害に発展する可能性もある。

                                  以上

 ひきつづいて内田弁護士より意見陳述がなされたが、一つの事実指摘が私の印象に残った。

 内田氏は言った。「船橋市は、本件事件の発覚が、一図書館利用者からの『最近、蔵書がなくなっていないか』という疑問から端を発していることを、故意に無視しているのではないか。」(氏の提出文より)

 あゝそうだったのか、と私は合点がいった。読者は敏感である。書物は世に出された瞬間に、著者の手を離れ、読者のものになっているとはよくいわれる。著者にとっては自分のものであって、自分のものではない。そのことをわれわれはとかく忘れがちである。

 関心をもつ著者の本がごっそりなくなっていることに読者の誰かが気がついたのだ。船橋市民の中にそう気がついて、不思議に思う人がいた。そのような素朴な知覚から端を発して事件へと発展したということには、ある深い意味がある。
 
 事件を起こした土橋司書のある「意図」が敏感な読者のアンテナにひっかかったのである。

 としたら、アメリカ占領軍の数千冊に及ぶ「焚書」が日本国民のデリケートな読者としてのアンテナにひっかからなかったはずはない。気がついても、読者の中の誰も何も言わなかったし、言えなかった。あるいは言えないものと思いこんで沈黙した、そういう長い、暗い歴史があるのである。

 私たちはすべての本を再発掘して、もう一度自分の歴史をとり戻すことはできるのだろうか。

最高裁口頭弁論 (二)

 チェコ出身の作家ミラン・クンデラは次のように語っています。

 「一国の人々を抹殺するための最初の段階は、その記憶を失わせることである。その国民の図書、その文化、その歴史を消し去った上で、誰かに新しい本を書かせ、新しい文化をつくらせて新しい歴史を発明することだ。そうすれば間もなく、その国民は、国の現状についてもその過去についても忘れ始めることになるだろう」

 とても示唆に富むことばですが、逆に一冊の本に書かれた内容がある民族に致命的であって、それへの反証、反論の本が書かれなかったために、その民族が悲運に泣くという逆の例から、歴史の記録がいかに大切か、歴史を消すことがいかに恐ろしいかをお示ししてみたいと思います。

 近代ヨーロッパの最初の覇権国スペインはなぜ進歩から取り残されたか。16-17世紀に歴史の舞台から退いた後、なぜ近代国家として二度と立ち上がることができなかったのでしょうか。

 それもたった一冊の薄っぺらい本から起こりました。一修道士バルトロメ・デ・ラス・カサスが1542年に現地報告として国王に差し出した「インディアスの破壊についての簡潔な報告」がそれです。からし粒ほどの小著ですのに、大方の国語に訳され、
世界中に広がり、深々と根を下ろし、枝を張りました。日本でも岩波文庫から出て、よく読まれてきました。書かれてある内容が凄まじい。キリスト教徒はインディオから女や子供まで奪って虐待し、食料を強奪しただけではありません。島々の王たちを火あぶり刑にし、その后に暴行を加えた、等々です。

 それ以後スペインとなると「黒の伝説」がつきまといます。中南米のインディオを大量虐殺し黄金を奪ったスペイン、狂信のスペイン、異端尋問のスペイン、文化国家の仲間入りができないスペイン、凶暴きわまりない闇の歴史を持つスペイン――そういうイメージにつきまとわれ、スペイン人自らが自分の歴史に自信を持つことができなくなりました。

 最近わが国でも歴史認識に関する「自虐」心理が話題になっていますが、自分で自分を否定し、自己嫌悪に陥り、進歩を信じる力を失った最大級の自虐国家はスペインです。

 それもたった一冊の薄っぺらな本に歴史的反証がなされなかったからです。あまつさえオランダとイギリスが銅板画をつけ、これを世界中にばらまきました。しかし近年の研究で、あの本に書かれた内容には誇張があり、疑問があるということが次第に言われるようになってきました。とはいっても、なにしろ16世紀です。ときすでに遅しです。

 じつは日本にも似た出来事があるのです。この赤い一冊の大きな本をみて下さい(私は裁判官の方に本をかゝげた)。アメリカ占領軍による『没収指定図書総目録』です。

 マッカーサー司令部は昭和21年3月に一通の覚え書きを出して、戦時中の日本の特定の書物を図書館から除籍し、廃棄することを日本政府に指示しました。書物没収のためのこの措置は時間とともに次第に大かがりとなります。昭和23年に文部省の所管に移って、各部道府県に担当者が置かれ、大規模に、しかし秘密裏に行われました。没収対象の図書は数千冊に及びます。そのとき処理し易いように作成されたチェックリストがここにあるこの分厚い一冊の本なのです。

 勿論、占領軍はこの事実上の「焚書」をさながら外から見えないように、注意深く隠すように努力し、また日本政府にも隠蔽を指示していましたので、リストもただちに回収されていたのですが、昭和57年に「文部省社会教育局 編」として復刻され、こうして今私たちの目の前にあるわけです。

 戦後のWar Guilt Information Program の一環であった、私信にまで及ぶ「検閲」の実態はかなり知られていますが、数千冊の書物の公立図書館からの「焚書」の事実はほとんどまったく知られておりません。

 今となっては失われた書物の回復は容易ではないでしょう。しかし私は書名目録をみておりますと、この本がもどらない限り、日本がなぜ戦争にいたったかの究極の真実を突きとめることはできないのではないかと思いました。

 「焚書」とは歴史の抹殺です。日本人の一時代の心の現実がご覧のように消されるか、歪められるかしてしまったのです。とても悲しいことです。船橋西図書館のやったことは原理的にこれと同じような行為につながります。決して誇張して申し上げているのではありません。

 裁判所におかれましては、どうか問題の本質をご洞察下さり、これからの日本の図書館業務に再び起りかねない事柄の禍根をあらかじめ断っていただくべく、厳正にご判断、ご処置下さいますよう切に希望する次第です。

最高裁口頭弁論 (一)

 最高裁判所の建物内には初めて入った。外観は高速道路からいつも見ていた、コンクリートを打ちつけた侭の、材質を剥き出しに、飾りを省いた現代建築である。近寄ると砂岩をかためたような、ざらざらした粗い目の石材で、予想していたようなコンクリートの地肌のまゝではなかった。

 なにかに似ているなと思った。裏口から入った。雨が降っていて、吹きっさらしの幅広い戸外の石段を昇っていて、あゝそうだ、ヨーロッパの古城だと気がついた。内部に入って、広間を見て、カルカッソンヌの中世末の城を思い出した。積木を組み合わせたような石組みといい、内部の天井の高い大広間のたたずまいといい、ヨーロッパの古城の模倣であることは疑いをいれないように思えた。

 迎賓館はベルサイユ宮殿のイミテーションだし、東京都庁舎のモデルは、ノートルダム寺院だと私は秘かに信じている。現代建築家といえども、西洋の古い建造物に原像を求めているのがおかしいようでもあり、悲しいようでもあった。

 弁護士さんが主任の内田智氏のほかに、五人集っていた。みなさんいずれもみな理念のための戦いに参じた、無私の法律家のかたがたである。口頭弁論に各5分の時間を与えられているのは、私のほかに作家の井沢元彦氏、そして主任弁護士の内田氏である。

 最初上告人の控室に案内された。第一審では原告、被告の名で呼ばれる区別が、第二審では公訴人、被公訴人、最高裁では上告人、被上告人と名づけられ方が変わっていることを、このとき初めて弁護士さんの一人から教えられた。私は本当に何も知らないのだな、と思った。

 平成17年6月2日午後1時、最高裁第一小法廷は開廷された。裁判官は五人、中央の裁判長席にいる方は女性である。訴えている上告人は9人の焚書された本の執筆者と、「新しい歴史教科書をつくる会」である。訴えられている被上告人は船橋市である。傍聴席の約半分が埋まっていた。知っている人の顔もあった。

 裁判長が案件の名をあげ、上告人代表の内田弁護士が手短に応答した。そしてすぐに最初が私の口頭弁論の番である。

 数日前に原稿用紙二枚の予定の発言内容の提出が求められていたので、三点に分けて箇条書きしておいた。しかし喋ったのはその約5倍はある。文章にはしておかなかったので、メモを見ながら早口で話した。録音は許されていないので、以下、記憶とメモに基いて書く。

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上告人の西尾幹二です。三点に分けて考える処を申し述べさせていただきます。

 日本国民の一人として、日本国の公立の図書館から、理由説明もなく一括して廃棄された本のうちに、自著が含まれたことに、私は屈辱と怒りを覚えました。私の過去の全著作活動が公的機関から、理由もなく「差別」されたという感覚、私の人権が一方的に侵されたという強い認識をもったことをまず第一に告知しておかなくてはなりません。

 第二点以下は私個人の感情ではなく、そこから離れた公的問題に絞ってお話ししたいと思います。

 廃棄の対象となった私の本の9冊のうち7冊は、歴史にも政治にもほとんど関係がありません。私が「新しい歴史教科書をつくる会」に関わるより前の文芸書や人生論のたぐいで、私が会の代表であったというそれだけの理由によって、昔の本に遡って無差別な廃棄の対象となったのであります。

 これはある集団に属していればそれだけで罪になる、という断罪の仕方であって、ユダヤ人であれば罪になるというナチスの論理、地主や資本家であれば罪になるという共産主義の理論を思わせるものがあります。「つくる会」に属していれば、それだけで、属するより前の書物までも罪になる、というこんな全体主義的な発想が許されてよいのでしょうか。

 なにかに属している者はそれだけで罪になる、という「集団の罪」Kollektivschuldの概念に立脚して、1930年代に二つのの全体主義、ナチズムとスターリニズムは無実の人々を処刑しました。尤も、この「集団の罪」の概念は被害者である場合と加害者である場合とでは意味が逆になり、必ずしも一筋縄ではいきません。ドイツ人は戦後、悪いのはヒットラー「個人」であり、ドイツ民族という「集団」には罪はない、という詭弁を弄しつづけてきたのは周知の通りです。

 ですが、本件のような被害者の立場からいえば、「集団の罪」を被せられるのは恐ろしいことで、私の本は私がなにかに属しているかいないかで判断されるべきではありません。

 当件にナチスまで持ち出しては大袈裟に思われるかもしれませんが、決してそうではありません。体制の犯罪、自由の扼殺(やくさつ)は小さな芽から始まるのです。

 図書館員の特定の思想をもったグループが団結して、しめし合わせて、歴史を消し去るということもあながちあり得ないことではないと思わせたのが本件であります。

 さて、そこで焚書とは何か、歴史の抹殺とは何か、という三点目のテーマに移ります。

宮崎正弘氏を囲む――中国反日暴動の裏側(十四)

以下の3点において日録をリニューアルします。

(一)[ブログとしての日録本体]
1)西尾幹ニのコラム 
2)新人のコラム(不定期・週1回予定) 
3)海外メディア記事の紹介(不定期)
日本に関する海外メディアの記事をピックアップして日本語に翻訳して紹介

(二)[会員制サイト設置]

(三)[オピニオン掲示板について]
上記の変更により、オピニオン掲示板は日録のコンテンツから外れ一般リンクへの組み入れとなります。

*詳細はここを御覧ください。

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 宮崎正弘氏を囲む――中国反日暴動の裏側(十四)

西尾:今のような内閣のやり方だと、靖国と教科書だけが悪ものになって、総理が靖国に行かない、教科書は採択させない、なんていうのがカードになって、その分だけ教育委員がびびっちゃって、採択をしない教育委員は大人だという気分になりかねない。いままでの日本の国内の空気では、教科書はどうも中国や韓国が悪いんだから、日本人は自分達の道をまっすぐ行けばいいんだと思っていた。だけど、そこは風圧が烈しくなれ、教育委員たちも、事後責任を感じるような、心理においこまれてですね、マイナスイメージになるんじゃないかと、私はそこをしきりに心配しています。

B:小泉氏があそこでまた村山談話をいいましたね、やはり影響をちょっと心配しているんです。私は村山と、河野談話を早く廃棄してもらわなければ困ると思っているのです。なかなか、やりにくくなりましたよね。むしろ村山談話に沿っているのは他の教科書ですから。

宮崎:あの人はおかしいですね。頭が。

C:どの人?

宮崎:小泉さん。

B:ないんだからしょうがないんですからね。

A:彼のやり方は、全部そうなんだけれど、憲法は私の在任中はやりませんということでやっていてね、なんでこそこそやるのか。どうして国民に語りかけて、ふつうの国になるんだからと言ったらいいんですよ。そうしたらもっと・・・・、口を開くたんびに謝罪、哀悼。

D:宮崎さんのメールマガジンに読者の方が、バンドンの会議で謝罪の話をしたのは、何も中韓に対してではなくて、欧米諸国の、元植民地国家の前で一般論を言ったことは非常にいいという論説をのせておられる方がいたと記憶していますが。村山元総理があの談話を言ったのは、社会党だからということで許せていたんですが、政府も外務省も含めて保守の小泉総理がまたあれを繰返して踏襲したというのは困ったことで、つまり一切政府の人間は、もうこれ以上言えなくなってしまっているということになると思うんですね。以前は、せめてもの言い訳は政府が言ったといっても、あれは社会党だったわけで。

B:あの件は閣議決定をしているのです。閣議決定というのはのちのちの内閣までね、ずっと縛り付けるんですよ。だから今役人は何も言えないわけなんですよ、あれに関することはね。ただ、ですが、強いて村山談話をひっぱりだす必要はないんですよ。町村さんにしても向うに行って村山談話と変らない・・・・

西尾:先に言いましたね。町村さんが。

宮崎:あの論理はね、高坂正堯みたいな人がいるんで、なんでも是認するわけですよ。いい方に、外務省の見解をみんなプラスに変えていくでしょ。高坂正堯が甦ったかと。

 年内のことよりも、もうちょっとスパンを広げて金融危機の問題はさっき申し上げました。今度はエネルギーの問題ですが、中国が今毎日240万バーレル石油を輸入しているんですけれども、おそらく10年くらいで一日500万バーレル輸入になるでしょう。それで、早め早めというのはいいんですけれども、国内的には新疆ウイグルから上海まで、4200キロのパイプラインを引きましたね。そのパイプラインを次にカザフスタンにまで伸ばしているんですが、これが1900キロ、それから、ロシアのシベリアの途中から分捕る。とうとう中国の方が先に工事をしますから、・・・

西尾:日本はそれにお金を払うんですか?

宮崎:いえ、先にするのなら日本はそこまでお金を払わない。それからサハリンのガスも一本は中国向けです。それから、イランにですね、イランには総額2000億ドルの投資をしているんですよ、中国は。それからブラジル、インドネシア、あらゆる所に投資をするんですけれど、これは日本の大東亜戦争の資源を求める戦線の拡大と同様に、ものすごく危険じゃないかと思うのです。一つは、金銭的にもうアホができなくなるんですよ。2000億だの1000億だののプロジェクトを、ぼんぼんぼんぼんやっているわけだから。そのエネルギー投資の破綻がおそらく、三年から五年くらいで出てくるだろうと思うのです。

 もう一つは国内的に、今発電所をものすごく作っているんです。今でも発電は石炭が72パーセントです。五年以内に原子力発電を30基くらい作ると。今もさかんに作っています。水力発電もそこらじゅうにダムを作っています。ダムなんですが、今22000箇所ダムがあるんですが、実際に2000くらいは機能していないんです。水力発電が壊れているんです。山峡ダムも今2mくらい亀裂が入っています・・・・(笑い)

 山峡ダムは軍が反対したんですよ。あれ破裂したら100万くらい流域が水没します。原子力にいたっては、日本製をまだ入れていませんので、ロシア製でしょ。これはチェルノブイリの二の舞があるんじゃないでしょうか。あれぐらいの原子力のレベルでは。ですから大変なことになるんですよ。そういう意味でね、次の問題は水もさりながら、このエネルギーに対する無謀な投資がどこかで破綻をきたすような気がします。

西尾:ちょっとお伺いしますが、日本の10倍の人口があるから、そんなにエネルギーを確保する必要があるのですか。日本は中東から順調に安定した輸入があるから、賄われているんですか。日本のエネルギーの何倍くらい、中国は必要としているのですか。

宮崎:石油消費でいえば、中国は世界第二位です。日本を越しましたから。

西尾:同じくらいなんでしょ。

宮崎:人口比から言えば、よくこんなものですんでいるなという気がするんです。

西尾:でもとんとん、同じぐらいなんでしょ。なんでそんなに・・・・

宮崎:今申し上げますが、今までは国内にあったんですよ。大慶油田があったし、勝利油田があった。大慶油田が今枯渇しています。それから勝利油田も今生産を拡大できない。ですから東シナ海も日本と衝突おこしてまでしてむちゃくちゃ開発をする。ベトナム、フィリピン、マレーシアともそうで、石油からガス重視に移管しているんですよ。ガスの契約が多いですよね。石炭はだからといって、急に壊せないんですよ。廃坑、安全基準を満たしていない炭坑を次々に廃坑を命じているんですけれど、その廃坑を温州の資本が入って、また営業をやって、ひそかに石炭を取っている。

 それからこれは我々の常識では考えられないのですが、エネルギーを盗むやつがいるんです。しかもこれがまた凄い盗み方なんです。例えば石炭を、20輌の貨物列車が通りますよね、その列車ごと全部盗んじゃうんです。その規模の強盗事件がそうとう起きています。それからガスも盗むんです。途中からパイプラインを引いて。

(笑)
C:盗んでどうするんですか?

宮崎:闇で売るんです。

西尾:でもどこかにいったん貯蔵しなくちゃならんでしょ。

宮崎:それはタンクローリーを盗むんですから。何台も盗みますから。それから漏電、漏水の問題があります。水道管が悪いんですよね。40パーセント漏水だっていうんですよ。その無駄遣いがあるでしょ、電力もおそらく30パーセントくらい無駄になっているんです。それプラス電力を盗む奴がいますからね。このエネルギーをもうちょっと日本なみに締めるとですね、漏水、漏電をなくして、省エネを図ればいいんです。石炭の電力発電のところは、公害装置を取り付ける。日本はこれで成功したから、消費がこれですんでいる。中国は目先の消費と、バクチ性があるから、儲かると思ったらそっちへ入り込んでくる。収拾がとれなくなっているんでしょう。
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宮崎正弘氏を囲む――中国反日暴動の裏側(十三)

以下の3点において日録をリニューアルします。

(一)[ブログとしての日録本体]
1)西尾幹ニのコラム 
2)新人のコラム(不定期・週1回予定) 
3)海外メディア記事の紹介(不定期)
日本に関する海外メディアの記事をピックアップして日本語に翻訳して紹介

という3部構成でお届けしたいと考えております。

1)は今まで通りの西尾幹ニの日録
2)についてですが、既存のメディアでまだ十分にご活躍になっていない方を対象とします。
その中には、日録の読者も含まれます。
西尾先生による選考の上、一定のレベルをクリアしている方に日録への参加権を認めることも視野に入れることとなりました。

そこで、我こそと思わん方の参加をお待ちします。

応募要綱
2)については特にジャンルを定めませんので800字程度のブログエントリとしてのコラムをnishio@hz.sub.jpまでメールにて送付してください。

※採否の発表は当日録において行ないます。個別のお問い合わせには応じられませんので、悪しからずご了承下さい。
※下記のような場合は、審査対象から除外させていただきますのでご注意下さい。
・住所、氏名等の情報が明記されていない場合

西尾先生による選考の上、このエントリ上で該当者を発表し各々1回ずつ日録上に文章が掲載されます。
その後の評判により、2)については専用カテゴリーを設け、定期的な継続をお願いする予定です。

(二)[会員制サイト設置]
これは全く新しい試みです
実名、プロフィール公開を原則とした会員制サイトを設け、より深く掘り下げた論考を展開したいと思います。
ここでは、西尾先生以外に西村幸祐氏遠藤浩一氏他何人かのプロの書き手の方にも参加いただく予定です。
何度かの議論を行なった後、西尾先生を含む可能な限り全員での飲み会を予定しています。
やはり、直接会って気心の知れたほうが議論に身が入り実りあるものになるだろうとの考えからこうなりました。
とは言え、人となりがわかりませんので当初は推薦制とさせていただきます。
メンバーの推薦により広げていくつもりです。
ソーシャルネットワーキングのようなものとお考え下さい。
まずはパスワード制の専用掲示板を設けます。
先述の2)のライターさんはもちろん当初より参加していただきます。

(三)[オピニオン掲示板について]
上記の変更により、オピニオン掲示板は日録のコンテンツから外れ一般リンクへの組み入れとなります。
つまり、西尾幹ニの公式サイトの扱いではなくなるということです。

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宮崎正弘氏を囲む――中国反日暴動の裏側(十三)

西尾:それでは話は最初に戻りますが、2プラス2の理由でもってデモをやった。中国政府はコントロールしたデモをやったつもりが、そうはいかず、ちょっと不安になった。であるならば、コントロールできてよかったなという山口さんの、最初の発言は、私はおかしいと思う。コントロールできなくて、中国政府が慌てれば慌てるほど、それみたことかと、日本の立場からはいえる。

 日本を恫喝する為にやったのですから、それでまた、日本が謝罪をするなんていうのは、バカな話で、謝罪をしたことで静めたというなら、大損をしたのは、日本だけになります。やっぱりそれはおかしい。私たちとしては、中国が冷や汗をかくどころか、泥汗をかいてほしいわけですよ。そういう状態になって初めて、少し彼らも反省をするわけで、下手な手は使えないぞとなる。そうでなければ、また日本をいじめるデモをやって、又日本がどんな反応をするかを見てやれという話になってくる。

L:よくわからないのは3月の全人代の時にね、対日三原則を出しましたよね、あの時は一応少し靖国なんかを後に置いていこうという方針だったと思うのですよね。それが2プラス2が出た後に、そういう方針を確認したらしいんですよね、全人代の協議会かなにかで。そのあとひっくり返って、今度はまた靖国がケシカランというような話を持ってくるということになると、真ん中にはいった3月の、文藝春秋なんかはそれを取り上げてやっていましたが、胡錦濤政権が靖国を諦めたとか、放棄したとかいうタイトルでなんとかという人が書いていましたよね、そうすると胡錦濤政権は、しょっちゅう変るということですね。なぜ変るんでしょう。

西尾:盧武鉉みたいだね。

L:それは内部での突き上げがあって、変ったんじゃないかなぁと、確証はないけれど、そういう感じを私は持っています。

西尾:靖国を一回我慢しようという姿勢を見せた。ところがまた元に戻ったというわけですね。

L:どこかから、そんなのはけしからんという声があがった。ネットから起ったというんだけれど、ネットだけではそういうのは起るわけはないので。

宮崎:今先生がおっしゃったのは、慶応大学の国分○○が言っているわけですがね、要するに靖国問題を一時的に引っ込めるというのを、3月の温家宝の全人代最終日の記者会見で対日三原則を出している。そのさなかに、胡錦濤を中心に特別な討論会が開かれたという、この二つの情報なんです。

 全人代というのは、2000人からの会で、その最中にそういう重要な基本路線を策定するかどうかは、疑問だと思います。それから外交に関して言えば、胡錦濤さんは外交はあまり慣れていなくて、誰がブレインかというのが問題だと思いますが、前は(せんきしん)がいましたけれど、彼が引退しので、今はどうやら唐家セン、この人は例の日本に靖国神社に行くなと厳命しましたと、えらそうなことを言ったあの人ですが、どうも影の宮崎:そう、あれは非常にうまくいったと言っていましたね。

西尾:今年短期的に見て、このデモが5月、6月、7月どうなるのか、それから経済やその他の要因とからめて、中国大陸の行方はどうなるのか、そのあたりで宮崎さん、もう少しご示唆いただければと思います。

宮崎:年内の可能性は小泉さんが靖国に行くかどうかで変わる。行かれればもうちょっと大規模な反日デモがあると思いますね。それこそ今度は火炎瓶あたりが飛んで、けが人ももう少し出るというようなことにもなりかねない。

西尾:やっぱりそうですか。官製デモだったんだから、私はそうならないと思う。

宮崎:いえ、それはやりますよ。今まで言ってきたことで、靖国に行かないということが勝利だと言ってきているのだから、靖国に行ったら向こうのメンツがつぶれますから。ただ、それがまずい時には、小泉さんが靖国に行ったということをいっさい報道しないでしょうね、今度は。そうするとデモは避けられますから。

B:中国が報道しない?それはやるでしょうね。

宮崎:そういうことは平気でやりますから。

B:でも、日本や世界のテレビに出れば・・・

宮崎:出てもアクセスがないんですから。携帯電話でわかりますけれど、人民日報が言わない限りは国民は動きませんから。

B:教科書採択はどうですか?やはり6月以降、7月、はっきりしてくると・・・・韓国はやろうと・・・・

宮崎:採択というよりは、検定が通ったことがけしからんということでここまでやったんですから、採択の問題はそんなに大きな問題にはもうならないんじゃないかな。むしろ韓国でしょう。

B:韓国はね、来るっていいますからね。

日録が生まれ変わります

以下の3点において日録をリニューアルします。

(一)[ブログとしての日録本体]
1)西尾幹ニのコラム 
2)新人のコラム(不定期・週1回予定) 
3)海外メディア記事の紹介(不定期)
日本に関する海外メディアの記事をピックアップして日本語に翻訳して紹介

という3部構成でお届けしたいと考えております。

1)は今まで通りの西尾幹ニの日録
2)についてですが、既存のメディアでまだ十分にご活躍になっていない方を対象とします。
その中には、日録の読者も含まれます。
西尾先生による選考の上、一定のレベルをクリアしている方に日録への参加権を認めることも視野に入れることとなりました。

そこで、我こそと思わん方の参加をお待ちします。

応募要綱
2)については特にジャンルを定めませんので800字程度のブログエントリとしてのコラムをnishio@hz.sub.jpまでメールにて送付してください。

※採否の発表は当日録において行ないます。個別のお問い合わせには応じられませんので、悪しからずご了承下さい。
※下記のような場合は、審査対象から除外させていただきますのでご注意下さい。
・住所、氏名等の情報が明記されていない場合

西尾先生による選考の上、このエントリ上で該当者を発表し各々1回ずつ日録上に文章が掲載されます。
その後の評判により、2)については専用カテゴリーを設け、定期的な継続をお願いする予定です。

(二)[会員制サイト設置]
これは全く新しい試みです
実名、プロフィール公開を原則とした会員制サイトを設け、より深く掘り下げた論考を展開したいと思います。
ここでは、西尾先生以外に西村幸祐氏遠藤浩一氏他何人かのプロの書き手の方にも参加いただく予定です。
何度かの議論を行なった後、西尾先生を含む可能な限り全員での飲み会を予定しています。
やはり、直接会って気心の知れたほうが議論に身が入り実りあるものになるだろうとの考えからこうなりました。
とは言え、人となりがわかりませんので当初は推薦制とさせていただきます。
メンバーの推薦により広げていくつもりです。
ソーシャルネットワーキングのようなものとお考え下さい。
まずはパスワード制の専用掲示板を設けます。
先述の2)のライターさんはもちろん当初より参加していただきます。

(三)[オピニオン掲示板について]
上記の変更により、オピニオン掲示板は日録のコンテンツから外れ一般リンクへの組み入れとなります。
つまり、西尾幹ニの公式サイトの扱いではなくなるということです。

2005,0601,17:55 遠藤浩一氏の名前とリンク追加訂正
文責:WebMaster(福井)

宮崎正弘氏を囲む――中国反日暴動の裏側(十二)

J:だけどね、小泉さんの公式の談話とか、見解を見ていると、首相がこれだけ謝って、哀悼だ、反省だの、靖国神社を前倒しにしますだの、あのときの談話読んでごらんなさい。あれが首相だったら、あの下にいる外務省はそれより前に出るのは不可能です。あの首相の言っていることはおかしいんだな。それで中国の裏をかくようなことをやっているんですよ。
 
 宮崎さんのテーゼっていうのは、中国に社会不安があって、それをそらすために、日本というスケープゴートを捜しているんだという推論の立て方だと思うのですが、僕は、今年の2月19日のワシントンでの戦略目標っていうのが発表されて、あれはね、中国から見ると、かなりびっくりするような方針転換だと思うんですよね。日本が台湾の防衛にコミットするなんてことは、中国は考えてもいなかったんじゃないでしょうか。日本が悪いというのではなくて、僕は当然だと思うし、台湾防衛大いにやりましょう、という鷹派なんですけれど、しかしこれは小渕氏の時や橋本さんの時は周辺事態法なんていうわけのわからない法律を作って、よく読んでみると、何もやらないって書いてあるんでしょ。あれから比べたら、小泉さんはかなり踏み込んでいるんですよね。

西尾:じゃ、それが原因なの。今度の反日暴動の原因は、台湾で共同行動を取るという外相会談だってきめてしまっていいわけ?

J:中国は最初はそう言わなかった。最初は国連の常任理事国入りを問題にした。僕はおかしいなと思ったんだ。その次に教科書とか歴史認識とか出てきて、胡錦濤が出てきたら、彼は台湾ということをはっきりと言っているんですね。

西尾:やっぱり、台湾があったから今度の官製デモがあったと?

J:だって、反分裂法というのを全人代で通したのは胡錦濤なんだから、あれはアメリカと日本に対する平手打ちみたいなものでね、正面からこんなことは許さないよと言ったんでしょ。だから小渕さんの頃の周辺事態法からみたら向うとしては、かなり脅威だと思うよ。

西尾:それだけ事柄があの時代より切迫しているということですね。だから今度の官製デモもあり得た。他の方どうですか?

K:今のとも関係があるんですけれど、一つは片岡さんも言われたんですが、先行きに中国が大きな問題を抱えていると、宮崎さんも水の問題とか、言われました。私はそこは本当にそうなのかなと、八年前にアジア経済という本を書いたのですが、その中で中国の経済の問題として、エネルギーが不足しているとか、食糧が足りなくなるとか、不良債権の問題とか、摩天楼はがらがらになって、空家と化すのではないかとかを書いたんですけれど、それぞれそういう問題になりそうではあるんだけれど、全然今の中国の経済というのは、膨張の障害にはなっていない。

 だから個々に書いてある水不足というのも、大きな問題だろうけれども、これはいざとなったら水を飲ませないようにすればいいし、環境汚染の問題だって、平気のへいざでやり過ごすのですよ。まぁ一般住民を無視するわけで、あんまり大きな問題として意識されていないんじゃないかと思うのです。本当に彼等にとって、危機意識があるんでしょうかね。ここにかかげてあるたくさんの問題。

宮崎:いや、暴動が年間20万件くらい報告されているんですが、その暴動の原因別でいうと、汚職、立ち退き問題、それから汚染、水、そんな感じです。水は深刻な問題だと思いますよ。ガンジス川でね、泥の河で顔を洗って、となりで排便をしているって、あれと同じですからね。そういう水しか飲めないような、地方の中国人の農民がたくさんいますからね。それから、ホテルは皆、ミネラルですよ。風呂はだめですよ。風呂は汚い。

 片岡先生のさっきの政策問題、今回はまさしくその政策なんですね。台湾は12月に、ちょっと国家分裂法を作るぞとアナウンスをして、三ヶ月様子を見ていたんですよ。そしたら、反撥が強そうだから、法律の条文を変えて、わずか10項目にしたんですね。ただあれは、法律というより、宣言です。それにもかかわらず、世界の反撥が強いということ等、ヨーロッパはついに、中国に対する武器輸出を1年以上延期すると、これは中国外交の大敗北ですよ。そこへもってきて、2プラス2で、日本が生意気に反中行為に走ったと。これはやってやろうということになったと思いますね。それが何時の時点なのかわかっていないですが。

 ただ早い時期に4月の確か12日だったと思いますが、北京で緊急政治局会議をやっているんですよ。で、やりすぎだと、4月10日です、その時に胡錦濤から初めて、批判的な発言が出ている。これはニューズウィークかなんかが書きましたよね。つまり、あわてたんです。ちょっとやりすぎだと。やりすぎという発言には、その裏には自分達が企画した、反日デモ・組織的なデモの動きというのが、国連の常任理事国に加盟するから云々というのは、表向きの理由で、隠された理由は2プラス2だと思います。それが企画した以上の暴力デモになったので、相当慌てたんだと思います。