九段下会議の考え方 (二)

5月1日、日本政策研究センター(所長 伊藤哲夫氏)の創立20周年記念を祝う集いがホテル・グランド・パレスで行われた。

JR東海社長葛西敬之氏、御茶ノ水女子大学教授藤原正彦氏の講演があり、ひきつづき懇親会も賑やかに行われた。

懇親会の挨拶には西尾幹二が最初にさせていただいた。そのときも伊藤さんへの賛辞のほかに、自民党国防部会がせっかくしっかりした答申を出したばかりなのに、山崎正和、五百旗頭真らの知識人をまじえた怪しげな防衛懇談会が内閣府につくられた。手足をしばろうとする陰謀だと思うと、私は言及し、「白アリ」がいたるところで日本の国家をムシばんでいることを訴えた。

私につづいて次の方々が政策センター20周年を祝った。古屋圭司(衆議院議員)、大前繁雄(衆議院議員)、山本卓眞(富士通名誉会長)、田久保忠衛、小田村四郎、大原康男、八木秀次、浜渦武生(東京都副知事)、近藤健((株)ピコイ社長)、司会・江藤晟一(衆議院議員)。これらの方々はいわば伊藤さんをバックアップする有力メンバーである。

九段下会議と日本政策研究センターはあくまで別の組織である。この日650人ものお集りのお客さんに渡した袋の中に、マニフェスト「国家解体阻止宣言」の小冊子とセンターの会報『明日への選択』の最新号が入れられてあった。

どこまでも別組織であり、別の活動だということを前提に、同誌にマニフェストの意味を考え、九段下会議の趣旨をあらためて訴える伊藤哲夫、八木秀次、西尾幹二の三人の鼎談がのっている。他の二氏のご諒解を得て、以下に転載する。

≫≫≫新たな「革命戦略」を阻止し保守派何を為すべきか≪≪≪

伊藤: 先日『Voice』3月号に、「九段下会議」が「国家解体阻止宣言」という政策提言を発表しました。この提言には、ここにいる3人を含めて、中西輝政、志方俊之、遠藤浩一の三先生が署名者として加わっておられますが、「九段下会議」自体はこれに多数の雑誌編集者、ジャーナリストが加わった総勢15人による研究会で、そこで提言に向けた作業が進められました。その内容についてはこの「国家解体阻止宣言」をお読みいただくほかありませんが、ここではその結論部分たる「緊急政策提言」http://f1.aaacafe.ne.jp/~aramar/index0.htmをご参考までに掲げさせていただき、この提言に込められた会としての意図、あるいは認識について、本誌読者にもご紹介いただけたらと存ずる次第です。

というのも、わが日本政策研究センターはこの春、創立20周年を迎えたわけですが、この20周年という節目に立ってこれからの運動のあり方を考えようとすると、その方向性、問題意識がこの提言とかなり重なり合う部分があると思うのです。「緊急政策提言」のかなりの項目はわれわれもまたこれまで主張してきたことでありますし、とりわけ最後の社会政策の部分は近年最も力を入れて現に取り組んでいる問題でもあります。そこで、われわれがこれから展開していく運動の意味を更に深いところで把握することにもなると考え、この企画を思い立った次第です。
それでは、西尾先生からお願いします。

九段下会議の考え方 (一)

九段下会議の「国家解体阻止宣言」を2月初旬に『Voice』3月号に掲示し、一般読者に訴え、その後小冊子も作成して、約2000部を各方面に配布した。感動した、賛成だと言ってくれる人は多いが、それ以上のものではない。

このマニフェストは従来の同種のものと異なり、賛意と署名を求めていない。類似の意見も求めていない。投稿することの好きな人の投稿も期待していない。自ら参加し、活動し、行動することだけを期待している。

何に参加し、どんな活動をするのか――それはまだ何もきまっていない。それは参加する人たちがきめる。そういう宣言文である。

とりつく島もない内容と思われるであろう。時代がそこまできているということは前から言っている通りである。ただの意見の交換の時代は終った、という認識である。この認識は本日録においてもいくたびも掲示して訴えてきた。

今日までに本部に約100を越える文書が届いている。私個人あてにもきている。何を勘違いされたか自分は何をするかも書入れず、会のメンバーに入れて下さい、と葉書に署名してきた方もいる。そういう会ではないのである。

5月12日午後執行部会を開いた。最大の問題は自民党政府の各省庁の審議会の全ての委員がリベラル左翼にほぼ100%握られている事実である。自民党は間抜けでそのことに気がついていない。

内閣府、外務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、防衛庁のすべての審議会の委員リストを作成してよくよく見た。驚くべき人名である。これらの委員を誰がどうやって決めているのか。
日本の国家という屋台骨は毎日のように内側から白アリに食い亡ぼされている。九段下会議は「白アリ退治委員会」である。ターゲットはそこに絞られつつある。

ただし、具体的にそれをどうやって処理するのか、いまだ確定していない。具体的な名案をいまこそお寄せいただきたい。

※※※ 国家解体阻止宣言 ※※※

「平成の革命勢力」を打ち砕いて日本の大本を改めよ

≪≪≪ 九段下会議 ≫≫≫

伊藤哲夫(日本政策研究センター所長)
遠藤浩一(拓殖大学客員教授)
志方俊之(帝京大学教授)
中西輝政(京都大学教授)
西尾幹二(電気通信大学名誉教授)
八木秀次(高崎経済大学助教授)

***** 緊急政策提言 *****

国家基本政策 //////////////////

1 憲法改正はまず9条2項の削除を
2 歴史認識の見直しは「村山首相談話」の撤廃から
3 8月15日の首相靖国神社参拝を慣例化せよ
4 国産技術の防衛と育成に国家戦略を
5 政府審議会から左翼リベラル勢力を一掃せよ

外交政策 ///////////////////////

1 対北朝鮮経済制裁の即時断行を
2 朝鮮半島の「中国化」を阻止する対中政策を確立せよ
3 インド・ASEAN・台湾重視へ対アジア外交政策を転換せよ
4 対米依存心理から脱却した日米関係の再構築を
5 竹島・尖閣をめぐる日本側主張を国の内外に向け鮮明にせよ

防衛政策 ////////////////////////

1 専守防衛体制から「防衛の開国」へ
A 敵ミサイル基地への攻撃を含めた対ミサイル防衛態勢の整備
B 自衛隊による「領域警備体制」の確立
C 自衛隊武器使用基準の見直し
D 自立的な情報機関の確立
2 集団的自衛権の行使の意志確立を

教育政策 ////////////////////////

1 教育基本法の改正は愛国心書き込みだけに留めるな
2 教育責任の不在を生む「教育委員会制度」を廃止せよ
3 ゆとり教育は「見直し」ではなく「全廃」へ
4 国語教育の総点検を
5 教科書問題は「教科書法」制定から
6 「子供の権利条約」の弊害是正を
7 文部科学省の「日教組化」を阻止せよ

社会政策 /////////////////////////
1一連の「家族つぶし政策」を見直せ
A夫婦別姓の阻止
B少子化対策の見直し
C税制・年金における改悪の再検討
2ジェンダーフリー政策の駆逐を
A男女共同参画基本法の廃止
B過激な性教育の一掃
C男女共同参画の予算の大幅削減
3ヒステリカルな政教分離要求にまどわされぬ伝統・慣習の擁護政策を
九段下駅(半蔵門線)

Posted by nishio_nitiroku at 21:32 │Comments(3) │TrackBack(1)