○○:確かにね、それはまさに、軍人らしいといえば、軍人らしいんですがね、だけど軍人らしいものの背後の、つまり政治的な判断とか、歴史的な判断とかいうものはやはり、政治家が本来なら考えなけりゃならないんでしょうけどね。しかし、一佐ということは、昔は大佐のクラスですね。大佐ぐらいのレベルの方が、そういう政治的な課題に発言権なり、実際に一番希少な体験をして来た人間なんだから、どういうふうにこの経験をね、これからの自衛隊に反映させるかというようなことは、多分お考えだろうとは思いますが。
西尾:多分、こういうご質問でしょう。少し私の付言が誇張になるかもしれませんが、政治に対する不満、政治体制の自衛隊の努力に対してこのままでいいのかと、次の課題として、自分達の経験を生かして、政治にかくあってほしいというようなことかと思います。そう理解しましたけど。
○○:そう、そのとおりです。
西尾:質問が面倒だったら、お答えになる必要はありません。お立場上ね。
○○:よろしいでしょうか?
西尾:今のことですか?ちょっと待ってください。今のこと、お答えになれないなら、しなくてもいいですから。
番匠:あのぉ、現場で武器使用の基準が不十分だから困ったんじゃないかとか、集団的自衛権の問題、或いは海外における、武力の行使というものが禁じられているが故に、現地における任務が非常に困ったんじゃないかとか言われましたけれど、実は本当に正直に申し上げて、現地ではそんなことを考えている暇もありませんでした。ないものをねだってもしょうがない。むしろ我々がいただいている武器使用基準の中で、それをどう100%ものにするのかと、100%理解をして最大に発揮するためにどうしたらいいかと。そのための訓練とか、或いは勉強といいますか、そういうやることが山ほどありまして、且つ、皆さんが思っておられるよりは実は結構柔軟性があるというか、幅は広いと私は解釈してます。ですから、そういう意味ではなんというか、ちょっとたてまえ的かもしれませんけれども、政治がやれと言われたことを、我々は淡々とやるという・・・・
西尾:実はですね、政治はですね、現状の法整備で、現状の自衛隊の体勢のままに支援行動から、さらに一歩進んで警備行動をせよというふうに進みかねない。アメリカからそう言われたからやらざるを得ないから、もっと危ない所へ行ってやれということを、これもまた自衛のうちなんて拡大解釈で、言わないとも限らないわけですよ。僕はそれをずーっととても危惧している。アメリカが更なる協力を求めてくると、そうした時に、現行体制のままで、今の自衛隊の状態のままで、もう一歩進んだことをやれという理不尽な要求を政治がしてくるという、まぁ、これは仮定の話ですけれど、いかがです。ないと思いますか?
○○:それはあるとおもうんです。ただ、今のイラク支援法の武器使用基準で例えば今までオランダがやっていたような、警備行動ですね、治安任務。
西尾:そう、やらざるを得ない。
○○:これを遂行できますか?
番匠:できません。
○○:どこが出来ないんですか?
番匠:警護任務がないんです。
○○:警護任務をつければ、今のままでもできるんですか?
番匠:つけていただければ、オランダの代わりということは出来ると思います。ただ、その警護任務というのが実は非常にむずかしくて、今憲法上の疑義があるということで、なかなかそれは、要するに任務遂行のための武器使用といわれているものですね。
西尾:警護任務というのは、町の警護もするわけですね。
番匠:町の警護というのは、自衛権ですから、これは問題ないと思います。
西尾:町ですよ、シティですよ。
番匠:あ、シティですね、
西尾:それをオランダがシティの警護してやっているわけですよね。それを今自衛隊がやらないといけない、それをやれと今の政治が好き勝手な拡大解釈で言ってくるんじゃないかと、それをうかがっています。
番匠:スーダンPKOのニュースがこの前出ておりましたけれども、あそこで同じような疑問を私たちは持っているのです。PKOがスーダンに限らず、PKO法というのは、平成3年に出来て、2001年に法改正されておりますけれど、本隊任務というのが、今まで凍結されていたんですね、法律が出来てから。2001年に本隊任務の凍結が解除されたんですけれど、その本隊の任務をよくみると、ある停戦監視地域の侵入の防止だとか、或いは鹵獲、あるいは遺棄された武器の監視、兵力の引き離しの為の監視とか、そういうことが書いてあるわけです。
西尾:ほぉ~そりゃぁもぉ
番匠:そうすると、かなりそのパトロールというか、その任務に近いわけです。ところがPKO法に書いてある武器使用基準という24条に書いてあるのは、いわゆる自然権的権利に基ずく、自己防護の為だけの武器使用というもので、非常にパッシブなもの。正当防衛、緊急避難の延長線上の武器使用権限であります。今までずっと言われてきたのは、凍結解除された任務と、それから武器使用権限というものが、マッチしてないんじゃないかという議論がこれは自民党の先生方からも出ているんですね。今回スーダンなりどこかのPKOで、この任務を、本隊任務をやるといったときに、それにふさわしい武器使用権限があるかというと、そこはなかなか難しい部分があります。
西尾:今申し上げたのはそのことです。
番匠:ですから、そこは、こちらのところをふさわしい武器使用権限というものにしていただくという手続きが、あればそこはやると。